攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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アンドヴァリの目的……その地点にあるモノ

 ともあれアンドヴァリを追って独自行動している神谷さんを捕捉するべく、共闘することとなった俺と香苗さん、愛知さんとシャルロットさん。

 だからと言ってよしじゃあ今すぐ動くか……とはならないのが現実のところだった。シャルロットさんが現状を語る。

 

「ことさら早急に動くのは少々お待ちいただきたく。昨日から我がダンジョン聖教騎士団の者達が、山村で入手したアンドヴァリの足跡、すなわち今現在の居所を割り出すべく動いています」

「闇雲に動いたところで仕方ありませんからね、このあたりは特に山も多いですから。もう一日すれば判明してくるとは思いますので、それからにするべきです」

 

 今現在、シャルロットさんの部下にあたるダンジョン聖教の騎士団さん達がより確定的な情報を得るべく付近を探索しているとのこと。なるほど、それなら果報を待つべしかな。

 愛知さんも言っている通り、関西も実のところ山が多い。日本全国山ばっかりみたいな感じなんだけどこのへんの土地も例に漏れないのだ。

 

 だから神谷さんを急いで探すためって言って慌ててあちこちうろついたところで逆効果になりかねないのは明白だ。

 俺の称号効果によるオペレータ探知効果だって半径1km圏内にしか通じないからね。都市部なら十分でも山間部だとさすがに狭いと言わざるを得まい。

 

 そういったことから、まずは調査による精密な割り出しを待つってのは合理的、かつ結果的に一番迅速に話が進むやり方だとは俺も思うよ。

 香苗さんも納得してうなずきつつ、けれどそもそもの疑問を呈する。

 

「話は分かりましたが……大体、なぜアンドヴァリはこの近辺に? まさかダンジョン聖教過激派の拠点があるとでも言うのでしょうか。首都圏で活動していた連中の集まりが、関西にあるというのはいまいちピンと来ませんが」

「そこは我々にも疑問が残っているところです。アレクサンドラがこれまでに、関西に足を運んだという記録もありませんし」

「単なる逃亡にしても距離が半端で、余裕を見せるための行為にしても都市部で物見遊山めいたことをするわけでもなさそうなのが気にかかります。資料に残されていた地図も関西の、今我々がいるこの県と隣の県を隔てている山間部あたりに印がつけられていたたけで」

 

 愛知さんはそう言って、これですとスマホを見せてきた。写真だ……件の資料を手撮りした画像が写っている。

 地図の部分だな。大きな湖がなんとも分かりやすくうちの県であることを示しているけど、そこと隣県の間の山らへんにバッテンマークが一つ、つけられているね。

 

 なんとも分かりやすい印だ。ここに何かありますよーっていかにも印象付けに来ている。

 いやこれ怪しくない? 俺は不意に怪訝なものを覚えて、三人に懸念を伝えた。

 

「これ、罠じゃないですか? いくらなんでもこんな分かりやすいもの、現場に残して行きますか?」

「可能性としては大いに有り得ますね、無論。というよりこちらとしても十中八九、罠であると見て動いています」

「けれど山形さん。他に情報と言えるものが何も無い以上、我々も罠であることを念頭に置いた上でそこに至るしかないんだ。神谷さんも同じ考えだった……そこからアンドヴァリに至れる可能性があるなら、罠だろうが踏みしだいて突破するしかないと」

「加えてそうした動機から先々代様が先走られたことで、ますます罠であれ強行突破するしかなくなったところはあります。まごまごしていればその分、先々代様のお命が危ないのですから」

「なるほど……たしかに、そうするしか現状ではありませんね」

 

 もどかしい話だけど、愛知さんとシャルロットさんの仰ることは正しいものではあった。

 罠であれ、現状そこしか道がないなら行くしかないのだ。そう信じて神谷さんも突っ走っていってしまった以上はなおのこと。

 他にアンドヴァリの所在を示す資料がろくになかった以上、藁にも縋るような気持ちでそれでも突き進むしかないってことなんだな。

 

 だったら俺も、そんな罠など踏み潰せるように全力を尽くすしかないか。神谷さんもそうだけど、近隣住民の生活や安全、命だってやはりかかっているわけだしね。

 にしても山間か、好きだねワルの組織はどいつもこいつもこういうところ。そりゃ入り組んでいて人も滅多に来ないだろうから、拠点とか秘密基地を拵えるには都合がいいかもしれないん、だけ、ど。

 

 

 そこまで考えて、ふと気づく俺。

 あれ? このへん、なんか覚えがあるぞ。

 

 

「────このへんって、たしか」

「公平くん?」

「香苗さん……この近く、俺達こないだ行きましたよね。倶楽部案件の時に」

「えっ……あっ!」

 

 言われて香苗さんも即座に気づき、声を上げて立ち上がった。急に驚く俺達に、目を丸くする愛知さんとシャルロットさん。

 だがそれどころじゃない……覚えがある。このバッテンマークがついている山間付近に、ついこの間俺達は行ったことがあるのだ。

 

 それは倶楽部案件の最中、それも幹部との決戦の舞台。

 翠川、青樹さんに続く第3、第4の幹部たる火野源一と鬼島を同時に相手取った、あの場所だ。

 つまるところ、そう。

 

「……倶楽部幹部の隠し拠点、その跡地だ……!!」

 

 アンドヴァリの行く先、このバッテンマークに罠以外の明確な目的があるとすればそれはたった一つ。

 かつて倶楽部が隠し拠点として使用していた、その場所へと向かったのだと考えられるのだ。




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