攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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救世主vs三体の悪魔─飛んで火に入る夏の虫─

 隠し拠点の建物に入ろうとした俺達を取り囲む、複数の概念存在。

 どれもこれも受肉はしていないもののヒトの形は取っている……昼間の時間停止系悪魔と同じだな。

 

『シャイニング山形……か。アガレスを、おそらくは殺したか封印するかしたのがこのような人間の子供とは。まったく世も末とはこのことだな』

『能力者もここまでくればもはや、我々概念存在にも匹敵するほどか。だからこそ、我々はすべてを尽くしてこれを排しなければならないのだろう』

『こーんなちんちくりんの子供がさ、きひひひっ! セーレちゃんやアガレスくんを仕留めるんだー、面白いんですけど面白くないんですけどー!』

 

 空中に浮き、俺を見下ろしてくるそのモノ達。ヴァールはともかく香苗さんや愛知さん、シャルロットさんは急に現れたことに対してもそうだけど、何より放たれるその圧力に押され後退りしている。

 S級探査者をも気圧してくるか、そこそこの格だな……とはいえオーディンほどでもないだろうが。

 

 男、女、そして女の子。それぞれラフな格好の若者って感じだがは立ち居振る舞いはそれ相応に威厳がある。

 女の子の悪魔だけはちょっとアレだな、小生意気な感じで見た目相応だけど、だからこそ逆に、そんな子が放つ気迫の恐ろしさが際立つように思えるよ。

 

 そしてセーレはともかくアガレスなる、聞いたこともない輩の名前を出しているがこいつはおそらく昼間のやつのことだろう。

 この時点でもう、察しなくともお仲間さんなのは分かるけども。まあ事実確認は大切だし一応聞いておこうか。

 

「アガレスってのは昼間、俺のところにやってきた悪魔のことか? 時間まで止めてやることが子供一人襲うことかと、ずいぶん呆れさせてもらったけど」

『いかにもアガレスとはその悪魔のことを指すがよく言う……子供一人? 我が眼に映る貴様は、子供どころか創世の神にも到らんとする不遜なまでの化物に見えるが』

『その口振り、やはり彼を倒したか。信じられぬ、時間停止は魂の格をもってその対処できるできないが決まる類の絶対権能。それを使われた上でとは、貴殿の魂とは一体……』

 

 俺の確認にあっさりうなずき、けれど動じることなく堂々たる態度で俺を警戒する男のほうと女のほう。

 うーん、冷静で厄介そうだ。ここで翠川とか青樹さんみたく頭に血を上らせたりしていてくれたら、高も知れてやりやすかったろうに。

 

 男の悪魔は俺の魂に何かを見出したのか、畏怖さえ込めて静かに見つめてくるし。女のほうもこっちはこっちで、時間停止権能の仕様を踏まえた上で疑念を抱いている様子だ。

 時間停止ってやつは特に、その権能を持つ魂の格次第で威力が変わるからね。アガレスとかいうあの悪魔は概念存在だけあって現世のすべてを停められたようだけど、あいつ以上の格の概念存在にはたぶん通じてなかったんじゃないかな。

 

 それを踏まえるとたしかに、俺ちゃんの魂って普通とは言い難いのがこいつらからしてもわかっちゃうよね。

 女の子の悪魔が、愉快そうになんかこう、煽るような笑顔を浮かべて俺を指差す。

 

『絶対人間じゃないじゃんこんなの! あーあ興ざめ、どこの神だかなんだか知らないけど、人間に混じって何やってんのさ大人気ない。ウケるんですけどウケないんですけどー』

「ウケるもウケないも勝手にすれば良いけど、それでなんの用かな? こっちも忙しいから手短に済ませてほしいんだけど……いや、違うな。俺が手短に済ませるからそのつもりで」

『は? ────ッ!?』

 

 悪魔達の圧を受けて、香苗さん達が戦闘態勢を取らざるを得ない今、こいつらと長話している暇もないんだよ。

 というわけでその俺の魂、コマンドプロンプトとしての格をもって威圧を放つ。悪魔三体のソレなどあっさり飲み込み押し返して逆に圧倒する気迫が、空中にいた彼らをまとめて地面に叩き落とした。

 

 膝をつく悪魔達が、血相を変えて叫ぶ。 

 

『ぬうっ! 圧か、我らのそれを押し退けて!?』

『馬鹿なっ! 我らとて上級悪魔、それをこうもあっさりと!』

『う、っ、くうっ……!? ちょ、ま……待ってコイツマジ、ヤバすぎて草生えるんですけど枯れるんですけど……!』

「最近は悪魔もネットを見るのか……こほん。香苗さん、ヴァール、コイツらは俺に任せて先へ! アンドヴァリと神谷さん、お任せします!」

 

 微妙にネットの影響を受けてそうな癖のある物言いをする女の子悪魔に、概念存在にもネットとかドハマリするやついるのかなーなんてことを思いながらもヴァール達へと叫ぶ。

 悪魔の威圧は消えた、もう自由に動けるはずだ。だったらここは俺が受け持つから、この建物の中にいるだろうアンドヴァリや、いるかもしれない神谷さんを相手してほしいね。

 

 知った仲の香苗さんやヴァールはすぐさまうなずく。反面、愛知さんやシャルロットさんは戸惑いと心配を覗かせて俺をみてきた。

 愛知さんはともかくシャルロットさんもか。今はゆえあってか暴走気味だけど、やっぱり聖女なだけはあって人を思いやれる心を持っていてくれてるんだな。

 

「助かる、山形公平! 行くぞみんな、この先へ!」

「だ、大丈夫なのですか彼は!? 見るからに禍々しい三人ですが!?」

「悪魔を一人で三体も相手取るなど無茶ではありませんか……!?」

「心配御無用! あの方を誰だと心得ていますか、我々の救い主たる山形公平様ですよ! あの程度の悪魔など星の数いようが御方にとってはスライムやゴブリンと大差ありません! 救世主様バンザイ!!」

「えぇ……?」

 

 心配御無用ってのは分かるがそれ以降は言いすぎである。いくらなんでも大言壮語が過ぎる、勘弁してくれ伝道師さん!

 とんでもなくハードルを上げつつも建物内に駆けていく四人をドン引きとともに見送りながらも、俺はここに残って一人、目の前の悪魔達を引き続き相手取ることにした。




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