攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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一人だけバトル描写がインフレしてるんだよなあ……(正論)

『死ねいっシャイニング山形ーっ!!』

 

 建物内の異変に気を取られ振り向いた俺を、背中から襲う悪魔──オロバス? とかいう名前か、そうか。

 腕を人間の倍以上にも伸ばし、爪も鋭くして躊躇なく突き刺しに来たそれを、俺はまともに背中から受ける。

 

 しかし。

 

「……こんな程度で不意なんて突かれるわけないだろ」

『な────っ!?』

 

 爪が背中に触れるか否かというタイミング、俺は超神速で右足を軸に身体全体をその場でターンさせ、その攻撃を回避。

 やり過ごしつつもやつの腕を左手で掴み、右手で軽くデコピンを当てた。上腕二頭筋部分、精神体でも構わず通る攻撃だ。

 

 そしてそれだけでやつの腕は消し飛んだ。

 精神体だから血とかも出てないけど、これ受肉してたらとんだスプラッタだったな、怖ぁ……いや自分でやっといていうのもなんだけど。

 

『ぐぉおおああっ!? き、きさ、ま』

「事情変更だ、とりあえずお前は本体に還っとけ。できればもう大ダンジョン時代に関わらないことをおすすめするけど、なっ」

『ぶぎぇっ!?』

 

 何が起きてるかは知らんがとにかく異常事態なのは分かる。俺も急ぎ建物の中に入って、ヴァール達と合流しなきゃいけないだろう。

 そういうわけで極力穏便に済まそうとしていた俺だったけどことここに至り、対応を変えることにした。つまりは全員ひとまず退治だ、アバターはここで始末して精神だけ本体の下に還ってもらう。

 

 抵抗するやつを無傷でワームホールに放り込むより、悪いけどこっちのが楽で早いからね。

 というわけでオロバスとやらにアッパー。極限倍率でこそないが《誰もが安らげる世界のために》、《風さえ吹かない荒野を行くよ》は発動している以上、S級探査者級の戦闘力をさらに100倍以上にした威力がやつを襲う。

 

 奇怪な声をあげ、アッパーで天高くまで吹き飛んだオロバスが散っていく。ありゃー宇宙まで行ったな、その前にはもう本体の下に意識も還ってるだろうが。

 お次は女のほうだ。と言って、やつも攻撃を仕掛けてきてるけどもね。

 

『敵わずとも、せめて一矢報いさせてもらうぞシャイニング山形ァッ!! ケケェェェーッ!!』

「矢の一つくらいなら通じると。そういう認識がもう違うんだよね、お姉さん」

 

 口をあの有名な都市伝説、口裂け女さんみたいにバックリ割かせてそこからビームを撃ってくる悪魔の女。すげえ、口からビーム撃ってきた!!

 まるで問題なし。蚊柱を払う程度の雑さで腕を振るえば、それだけで渾身だろうビームは霧散して口裂け悪魔だけが残される。驚愕に染まり汗さえ垂らす女悪魔さん。いや口は閉じてもろて。

 

『ほ……本当に貴殿、一体何者……!?』

「新人探査者、山形公平です。最後に聞くけど、お名前は?」

『…………た、タンニーン。悪魔タンニーン……』

「そっか。それじゃタンニーン、もう会わないことをお互い祈ろうか」

 

 愕然と、力なくして呆然と名を告げる悪魔、タンニーン。

 ここまで差があるとさすがに抵抗する気もなくなるか。悪いことをしている気になるよ、なんだか。

 

 とはいえ構ってられないのも事実。ここは大人しく本体に還ってもらおう。

 その胸元に手を添えて《あまねく命の明日のために》、つまりは山形くん光線を放つ。あっけないほどに胸を貫かれた悪魔が、そのアバター体を霧散させて消失した。

 さて。

 

「残りはお前だけだな。ええと、悪魔ナニさん?」

『ひ、ひぃぃ……!? 怖いんですけど! あ、ううん怖くないんですけど! あ、アンタなんかに殺られるオノスケリス様じゃないんですけど! でも殺られそうなんですけど!!』

「どっちだよ」

 

 どうもこの少女悪魔、掴みどころがないな……オノスケリスだっけ? いろいろいるもんだな、悪魔ってのも。

 まあ悪いけどこいつも還ってもらおうか。手を伸ばせば身を縮こまらせてぎゅっと目を閉じる悪魔。なんだか悪いことをしている気分になるけどそもそもこいつらのほうから襲ってきてるからね。

 見た目ってのは強いもんだ、まったく。

 

『ひぃぃぃぃ……殺さないでほしいんですけど! 殺さないでほしいんですけど!!』

「いや殺すわけじゃないから。お前の本体に還ってもらうだけだから」

『まだ積んでるマンガあるんですけど! 全クリしてないゲームもあるし、みたい映画も山ほどあるんですけど! 人間の文化最高なんですけど! オタク文化サイキョーなんですけどー!!』

「……………………」

 

 参ったな、そういうこと言われるとどうもな。

 そもそも別段、マジで殺すわけじゃないのに。本体に戻ったらまたアバター作って、今度はサークルとかと関係なくオタク文化に触れればいいだけなのにここまで命乞いするのか……

 

 仕方ない。明確に攻撃されたわけでもなし、この流れでこちらから仕掛けるのもな。

 俺は少女悪魔、オノスケリスの首根っこを掴んで持ち上げた。いよいよもう駄目かと身体を弛緩させる精神体がなんだろ、猫を思わせる。

 ため息交じりに俺は言った。

 

「《これ以降、委員会やその関連組織と関わりを持たない》ことを誓え。それなら見逃しても良い」

『ち、誓うんですけど! 《これ以降、委員会やその関連組織と関わりを持たない》ことを誓うんですけど!! えっ、マジ、見逃してくれるの……?』

「そもそも先の二体も別に、本体に還ってもらうまでは考えてなかったんだけどな。仕掛けてきたから対応したまでだし」

 

 呆然とこちらを見るその目が、死んだものから生気を取り戻していく。そんなに絶望してたのかコイツ、なんかあるのか?

 まあ、とはいえ誓いは結んでもらったしここからこいつもデータ領域入りだ、しばらく大好きなオタク文化には触れられないだろう。主観ではほとんど時間なんてながれないから関係ないだろうけどね。

 

「しばらく別空間に行ってもらうが、次に会う時はいろいろ話を聞かせてもらうからそのつもりで。じゃあな」

『いろいろ話って……ナンパなんですけど!? ちょっと茶ぁしばくやつなんですけど!? これがいわゆる当世風ってやつなの!? 照れるんですけど! 照れないんですけど!』

「じゃあな」

『え、あっ、ちょっとまっ、あ、あり、ありが──』

 

 バカなことを並べ立てるバカ悪魔を、有無を言わさずワームホールへ投げ込む。いい加減にしてくれ、この緊急時に。

 これにて三体の悪魔は処置完了だ。まったく、変に横槍を入れて時間を割かせてくれる。

 

 建物内の異様な気配は今は収まっている。オペレータの気配も、少なくとも後から入ったヴァール達については無事だ。

 急がなきゃな。俺は踵を返して建物へと走り始めた。




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