攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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謎が深まるアレクサンドラ

 シャルロットさんを瀕死にまで追いやった、アンドヴァリが何をしでかしたのか。

 詳細な話を聞く前に、ひとまずこの場を離れてアンジェさんチームとも合流し、すぐさま安全な場所に引き返すべきだと俺達は踵を返した。

 

 というのもやはり、傷は癒えても過去は消えないものだからシャルロットさんの衰弱が激しいのだ。

 命の別状こそないものの、精神的にだいぶ参ってしまっているようだった……無理もない、手足を切断されたんだからな。

 ショックもそりゃ大きいよ。

 

「七代目様、すぐに安静な場所に向かいます。今しばらくのご辛抱を……!」

「ぅ……く、ぅ。アレク、サンドラ……!!」

 

 神谷さんに背負われて力なく呻く、彼女の姿が痛々しい。時折憎悪を込めてアンドヴァリを、アレクサンドラ・ハイネンの名を呼ぶのだからなおのことだ。

 さっき何があったのか。そこももちろん気になるとしてシャルロットさん自身の過去もやはり大いに気になってしまう。

 

 こうなってもなお尽きることのない憎悪だなんて、どう考えても尋常ならざる何かがあったとしか考えられない。

 アンドヴァリとの間に、師弟関係の中でなにがあったのか……そこを知ることでやつの行動原理や目的に対する理解を得られる可能性も、少なからずあるかもしれないからね。

 

 とはいえ今はもちろん、シャルロットさんの回復が最優先だ。来た道を引き返し、俺達は建物を出て門の前まで戻ってきた。

 当然そこにいたのはアンジェさん達。こちらを見て、驚いたように叫んでいる。

 

「戻ってきた! けど……神谷さんに、シャルロットどうしたの!?」

「シャルちゃん!? う、うそ、まさかどこか怪我して!?」

「神谷さんがいて、シャルロットが背負われている……確実に何かあったのは分かるが、これは一体」

『さっき建物の中から得体の知れない気配もあったし、アンドヴァリはいたんだとは思うよ、千尋』

 

 構成員達を軒なみ気絶させ、縛り上げた上で山のように積み重ねたその傍らにいた彼女達にも、やはり真っ先に気になるところがシャルロットさんの様子だった。

 クールながら戦意と憎悪を隠すことなくアンドヴァリ討伐に向かった彼女が、戻ってきた時には力なく背負われているわけだものな。血相を変えて心配するアンジェさんとランレイさんに、やっぱりこの二人はなんだかんだ彼女の友人なんだろうなって感じがしたよ。

 

 他方、冷静に状況を推量しようとする神奈川さんとステラ。やはり俺同様、得体の知れないナニカの気配は感じ取っていたか……アレなんだったんだろうな、ホント。

 状況から考えてもアンドヴァリだったのはなんとなく察せられるし、ヴァール曰くの"誰にも想定できていなかっただろう事態"が起きた結果なんだろうとも思うんだけど。

 それでもさっきのは普通の気配じゃなかった。バグモンスターや概念存在ともまた異なる、異形めいた気配。

 

「──今は考えても仕方ない。みなさん帰りましょう、シャルロットさんを安静なところに連れて行かないと」

「首都圏はワタシの滞在している部屋につなげてワームホールを開く。ホテルのシーツだ、清潔だし安全性も保たれている」

『なら私と千尋が構成員達を警察まで連れていきます。いける? 千尋』

「もちろんだ、任せろ」

 

 ヴァールとステラ、それぞれがワームホールを開く。一つはヴァールの滞在先、例の朝のステーキがすごい美味しかった高級ホテルの一室でステラがうちの県の警察署の前だ。

 そして神奈川さんが、構成員達を一人ずつワームホールに投げ込む。結構乱暴だけど仕方ないね、全員担いで丁寧に、なんてのは悪いけど言ってられないし。

 

 彼らはここからおまわりさんに事情を説明して、構成員達の引き渡しをするんだろう。郷田局長さんや島根室長さんにも連絡することを踏まえても、ここからざっと1時間くらいはかかるかも。

 スマホで時計を見ればもう19時だ。シャルロットさんの精神が安定するのを優先したいし、俺も帰らなきゃだし、さすがに今日はここまでかな?

 話はまた明日でってやつだ。

 

「──ってなわけで何があったのかについては明日の学校終わり、改めて聞きたいんだけど大丈夫かヴァール?」

「もちろん構わない。緊急だった神谷の身柄も確保できたし、シャルロットの心身の回復が優先だからな。遅くまで連れ回して済まなかったな山形公平、それに御堂香苗も」

「いえ、それほどでも。救世主様とともに救いの道のりを征く、これこそ伝道師の使命ですから」

「怖ぁ……」

 

 一切ぶれない香苗さんは置いといて、ヴァールもそう言ってくれたことだし一旦帰ることにする。

 ていうかお腹も減ったし、いろいろ衝撃的な流れ続きで疲れちゃったし。

 

 

『やっとご飯か……さっさと帰って美味しい食事にありつけよ公平、どうでもいい雑魚どものささやかな小競り合いより食べることのがずっと大事だ』

 

 

 脳内のアルマさんも案の定そんなことを言ってくるし。お前にとっては小競り合いでも、現世にとっては一大事なんだからな!

 と、そんなやり取りをしつつも俺は首都圏へ帰っていくヴァール達を見届けるのだった。




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