攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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お疲れモードの一日も、みんなでカレーでも食べれば元気回復するもんだ

 ヴァール達を見送って俺達も帰還する。ワームホールで直接俺の家へ、香苗さんも今回は一緒だ。

 うちの家族への説明とか明日のことについて軽く打ち合わせもしておきたいからね。なんていうか忙しない一日だったなあ。

 

 すっかり日も暮れた俺の家の前、お腹をくうくう鳴かせつつ辿り着く。

 何はともあれまずはご飯だな。小一時間もすればヴァールからも連絡が来るだろうし、シャルロットさんも多少は落ち着いてるかも知れない。

 

 あんな惨い目に遭わされたんだし、少なくとも今日のところはすべて忘れてゆっくりと過ごすべきだね。アンドヴァリめ、改めて思うけどなんて真似をしたんだ。

 敵だとか過激派だとか師弟だとか以前の問題だ、まともな人間のやることじゃない。一歩間違えなくてもアレは致命傷だったし、下手したらあそこでシャルロットさんは死んでいてもおかしくなかったんだ。

 

 そうなればダンジョン聖教という、世界最大の宗教の象徴的存在が喪われることになる……その存在証明とも言えるだろう世界に唯一の超レア称号《聖女》とともに。

 間違いなく世界が揺れ動いてしまうだろう、悪い方向に。聖女が殺された国ってことで日本そのものにも責任追及がなされるだろうし、その場に居合わせたWSO統括理事たるソフィアさんや能力者犯罪捜査官、およびS級探査者に関係している各組織各人物みんなに累が及んだ可能性さえある。

 

 あるいはそれを見越していたのかもしれないけどね、アンドヴァリも。

 いずれにせよまずはヴァールから明日、話を聞いてそのへんの思惑や今後についてを決めたいと思うよ。はあ、疲れたー。

 

「学校生活でも悪魔がやって来るし、シャルロットさんと愛知さんが関西に来てるし、挙げ句にアンドヴァリと神谷さんに追加で三体の悪魔まで……さすがに疲れましたよ、なんか」

「お疲れ様です、本当に……しかし、つまるところ我らが救世主たる公平くんはこの日だけで四体もの悪魔をその尊くも眩き光によって祓い、この世の安寧を守り抜いたということですよね? なんという素晴らしい話でしょうかしかもそのうち一体に至っては学校生活を送るあなためがけてやってきたと言うではないですかこれは間違いなく救世主神話伝説です救世主vs悪魔が子羊達が群れて学ぶ神聖なる学び舎にて行われたのですからああなんていうことでしょう私もその場にいて偉大なる祓魔の姿をこの目に焼き付けたかったです叶うならばもちろんカメラに収めてそのお言葉の一言一句お振る舞いの一挙手一投足に至るまですべてを記録して信者達と共有したかったです!」

「えぇ……?」

 

 疲れたって言った傍から句読点が飛んだ。この人いつでも元気だなあ。

 しかも昼間の件についてハッスルしているし。いやまあ、正直俺も多少なんていうかその、これ香苗さんが認識していたら大はしゃぎだったろうなーって光景だったという自覚は多少あるよ自分でも。

 

 そも探査者にとり"大勢の人の前でモンスターを相手取り華麗な活躍をする俺/私"なんてのは結構憧れのシチュエーションみたいだし。

 学校の始業式、みんな集まる体育館でモンスターならぬ悪魔を相手にドンピシャなことしちゃったなーって感覚はあったよね、さすがに。

 

 ──時間が止まってさえいなければの話である。

 俺は苦笑いしつつ、やんわりと香苗さんに伝えた。

 

「い……いやあれ止まった時間の中での話でしたし、どこにいようが認識なんてできなかったと思いますよ? そういう権能持ちだったんです。時間停止の権能」

「止まった時間、時間停止の権能!? 件の悪魔はそのような能力を持っていたのですかそしてそれを一切ものともせずあなたは返り討ちにして捕縛したとおおこれぞまさしく救世の御業と言えますこれは使徒宥とも急いで共有しなくては最近ではすっかり彼女とグループチャットでの神話研究および救世主様信仰に対する議論を日夜交わしてより良い伝道への道を構築しているのですがここに今しがたの話が加わるとなれば彼女もきっと喜びに咽び泣きその場にて五体投地するでしょうもちろん私も同じ思いです今からしてもいいですか五体投地!」

「駄目です」

 

 人の家の前でおもむろに膝をつかないでくださいよ怖ぁ……

 どうどうと興奮する香苗さんを宥め落ち着かせ、俺はいいから入りましょう我が家へと促す。

 こうなると伝道師さんも育ちがめっちゃ良いからスンッと落ち着きを取り戻し、クールで気品ある振る舞いに戻るのだからなんていうか信仰ヤバいっすねって感想しか抱けないや。

 

「ただまー」

「おかりー。案外早かったわね、まあご飯はみんなもう食べ終わったけど。カレーよ今日、香苗さんも良かったら召し上がっていって?」

『カレー!! 公平、カレーだって!!』

 

 何はともあれ帰ってきたよと告げれば、我らがお母様から即座に返事と今日のお夕飯を教えられる。

 マジかカレーか! 脳内のアルマさんが即座に反応するけど俺も同じ思いだ、カレー大好き!

 

 やたら大変だった今日という日の終わりにコイツは素敵だ、最高だ。

 一気に疲れもぶっ飛ぶ気持ちで俺は香苗さんと二人、靴を脱いで居間に向かうのだった。




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