攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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この場で一番おっかないのが70歳超えのお婆ちゃんってどういうことだよ(真顔)

「ダンジョン聖教とはいろいろあったが、さしあたり現状の問題はアンドヴァリだ。そうでなければならなくなった……ともあれ話をしよう。昨日何があったのか、その場にいたワタシから諸君らに説明する」

 

 認定式の日に俺が愛剣へし折っちゃった、ダンジョン聖教騎士団長のオールストレムさんのじっとりとした複雑な目を誤魔化していると、ヴァールが助け舟を出してくれた。

 正直めっちゃ助かる。いや、別に俺は間違ったことはしてないというか斬り掛かってきた相手に抗っただけなので、そこに対して何か言われてもじゃあ黙って斬られろと? と言うしかないんだよね。

 

 オールストレムさんもそこは理解していて、そしてシャルロットさんの命を救ったことにも間違いなく感謝はしてくれているのだろう。でも同様に剣を折られたことへの怒りはあるがゆえのこのなんとも言えない間と雰囲気と見た。

 困ったなあ、と内心頭を掻いていると、シャルロットさんと神谷さんがそんな彼に言葉を投げかけていた。

 

「騎士団長、控えなさい。あの場で彼に対して一方的に斬り掛かったのがあなたである以上、剣を折られたのは正当防衛の範疇でしかありません。加害者が被害者に謝罪を求めるような素振りは厳に慎むべきです」

「オールストレムさん、話はシャルロット様から伺っておりますが、あなたはむしろ聖女様の過剰な攻撃を止めなければならなかった側でしょう? いかなアンドヴァリ相手とはいえ周囲を死に至らしめる攻撃など許してはならなかった、それを放棄した挙げ句追従するように山形さんに斬り掛かったこと、許されないことですよ。いずれこの国の法の裁きを受けること、覚悟しておくように」

「…………申しわけ、ありません。山形殿も、済まなかった」

「あ、いえ……こちらこそすみません、咄嗟だったので加減が利かず」

 

 まさかのダブル聖女からの擁護。神谷さんはともかくシャルロットさんまでもが俺の味方をするってのは、失礼ながら正直意外に思わなくもない。

 ああでも、これが本来のシャルロットさん、七代目聖女シャルロット・モリガナなんだろうな。理屈を重んじ、礼儀を弁える聖女然とした聖女、それが"いつもの"彼女なんだろう。

 

 それが認定式の日にはああまで頑なだったのはやはり、アンドヴァリへの憎悪と怒りがゆえか。

 一体二人の間に何があるのか、あったのか。そのあたりもこれから聞くことになるだろうな、きっと。

 

 オールストレムさんと互いに微妙な感じでやり取りして、俺はリーベやシャーリヒッタ、ミュトスのすぐそばの椅子に座る。

 全員着席だ。一つうなずき、ヴァールはそして切り出した。

 

「それでは始めようか……まずは前提からだ。昨日、ワタシとアンジェリーナ、ランレイ、神奈川、そして山形公平と御堂香苗、愛知とシャルロットは関西にある倶楽部の隠し拠点へと向かった。そこにアンドヴァリが向かったという情報から、やつを追って姿を晦ました神谷もいるのではないかと思ったからだ」

「みなさま、その件につきましては改めて深くお詫び申し上げます。勝手な判断による独自行動でみなさまの手を煩わせ、あまつさえ七代目様のお命まで危険に晒してしまったこと、まことに申しわけありませんでした……!!」

 

 話のはじめ、そもそも昨日どういう経緯で何をしたのか、というところから始めると神谷さんがまず深々と頭を下げて謝罪した。

 彼女の失踪と、目的だったろうアンドヴァリの討伐という目的があればこそ俺達はあそこに向かったわけだからね。そしてその末にシャルロットさんが死にかけたわけで、神谷さんの立場からすればもうひたすらに謝るしかないのは分かるよ。

 

 とはいえ俺としては別段、彼女を責めるつもりも特にない。

 気持ちもわかるし、というのは個人的な感覚としてそもそも神谷さん、別に立ち位置的にはWSO預かりとかじゃないしな。

 

 ダンジョン聖教の司教として、独自判断による独自行動の権利を持つれっきとした責任者である彼女のそうした立場からの行動は、いかなヴァールであっても止めるように要請はできても命令はできない。

 なぜなら以前にシャルロットさんが言っていたように、ダンジョン聖教は別にWSOの下部組織でも傘下でもない、完全に独立した組織だからだね……もちろんそれはそれとしてWSO側たるヴァールには、抗議と遺憾を示す権利もあって当然なんだけど。

 

「謝罪を受け取ろう、五代目聖女神谷美穂……だが言わせてもらうならせめて誰か、近くの騎士達とともに動きもしもの際の連絡網を用意していてくれれば良かったのだ。ダンジョン聖教への干渉はこちらとしても難しいが、それでも所在さえ把握できていたならばこうまで慌てて動く必要もなかった」

「神谷、あんた若い頃の悪癖が出たねえ。頭に血が上るとすぐに向こう見ずになっちまって、とにかくメイスと鉄拳で相手を血祭りに上げなきゃ気が済まなくなっちまう。歳をとってもそれとは、三つ子の魂百までとはよく言うもんだよ、ファファファ!」

「自分でも情けなく、恥じ入るばかりです……もうとにかくアンドヴァリを、アレクサンドラをこの手で止めなければと、たとえ刺し違えてでも仕留めなければと。その想いで頭が一杯になってしまって。ええ、はっきり言えば殺すことしか頭にありませんでした。シャルロット様のことをとやかく言えませんね……」

「怖ぁ……」

 

 血の気が多いとかそういうレベルじゃなくない? 

 神谷さん。血祭りにあげるだの刺し違えるだの、挙げ句はっきりと言ったぞ今、殺すことしか頭になかったって。

 

 こ、これが血塗れ聖女の由来かあ。

 俺も精霊知能達も香苗さんも、愛知さんも神奈川さんもステラも、加えてさしものバトルジャンキーアンジェさんでさえもドン引きしているよ。

 物騒すぎる……




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