攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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武闘派だらけの空間だァ……

 あまりにも、それこそシャルロットさんさえ超えて物騒なんじゃ? ってなる神谷さんの怒り。

 今でこそ落ち着いているものの、少なくとも認定式の日にはもうそうした感情の下で動いていたんだろう。だったら誰にも告げず一人、アンドヴァリを追ったという行動も納得は行くかな。

 

 無論、是非は別にしてね。

 だからこそ謝罪する神谷さんに、ヴァールもマリーさんも、また他の人達も誰もが許しはしても擁護はせず苦言を呈しているんだ。

 それを受けて神妙にうなずく彼女に軽く吐息を漏らし、ヴァールは肩をすくめて話を続けた。

 

「とはいえこのあたりの話は本題ではない。問題は隠し拠点に着いてからだ……件の地には敵組織、ダンジョン聖教過激派およびサークルの構成員が配置されており、こちらの襲撃もある程度予期していたようですぐさま応戦してきた」

「それもおそらくは私の影響でしょう。最初、アンドヴァリには平静を装い近づき話し合いをしようという体で拠点内に入り込みましたから」

「い、怒りで頭が一杯になっていたのにそういうところは冷静なんですね……」

 

 昨日、倶楽部の隠し拠点に着いた時点ですでに敵は待ち構えていた。あきらかに敵襲が来ることを予期した人員配置が行われていたんだよね。あれはたしかに俺としてもおや? とはなったところだ。

 そこについてもどうやら神谷さんが絡んでいるらしく、そもそもどうやってそうした敵構成員を潜り抜けたのかが端的に示された。

 

 最初は穏便に済ませる体で近づいたんだな、この人……絶対に殺してやるって決めてる相手にも冷静なのが、逆にクリアな殺意を感じさせて本当に怖いよ。

 アンジェさんが顔をひきつらせてそのへんを指摘した。さしものこの人も、人間相手に殺意なんて抱きやしないだろうからさっきからドン引きしまくってるよ。

 

 それに対して答えられた神谷さんの言葉は、さらに俺達を戸惑わせるものだった。

 

「悔しくはありますが、アンドヴァリを相手に私では力不足でしたから。真っ向から行くより搦手で行くべきだと思ったのです……内部から施設を崩壊させ、混乱の中やつを一撃で仕留めるつもりでした」

「えぇ……?」

「あの女には私が、手ずから信仰から振る舞いから戦闘術に至るまで授けました。いわば弟子です。いかに実力で上回られようが本人にも気づかないレベルの隙や弱点を突ける、それが師匠というものなのですよ」

「あー……まあクリストフなんかも未だに自覚してない癖とかあるからねえ」

 

 怖ぁ……殺伐としすぎな師匠トーク止めてください神谷さん、マリーさん。

 神谷さんがアンドヴァリと師弟関係だったことは知ってるけど、それゆえの弱点を容赦なく突いてやつを倒すつもりだったんだな。そしてそのためにわざと敵の拠点に入り、内側から崩落させるつもりだった、と。

 

 理には叶っている、のか? 弟子なんて持ったことない俺には分かんないけど、理屈が正しいのならなるほど、今や実力的に格上のアンドヴァリ相手に神谷さんが勝つ唯一の筋だったってのは理解した。

 ヴァールが何を考えているんだこいつは、みたいな呆れ返った目を神谷さんに向けつつも、続けて言う。

 

「……戦闘員が配置された理由は分かったが。ともかく我々はそうして身構えていた連中相手に真っ向から向かったわけだな。第一陣たる門前の集団にはアンジェチームが対処し」

「楽勝でした! ……まあ、でも悪魔憑きにスレイブモンスターは結構いましたから時間かかっちゃいましたけど」

「や、やややりがいはありました! はい!」

「嬉々として刀と脚とを振るってたな、お前ら」

 

 昨日の戦闘について振られ、元気よく応えるアンジェさん、ランレイさん。

 やりがいってあれかな、殺り甲斐ってことかな? ランレイさんだけさっき、神谷さんにドン引きすることなくなるほど! とうなずいていたのを俺は見たよ。アンジェさんとはコンビだけど、ジャンキー度で言えばランレイさんのほうが上なんですね。

 

 二人にツッコミをいれる神奈川さんの、イケメンながらも漂う常識人感が助かる。このチーム、神奈川さんがうまいことブレーキ役になってくれてるのかもしれない。

 そんな俺の所感はさておき、次いでヴァールは俺へと視線を向けた。今度はこっちかあ。

 

「門を抜けた後、拠点施設の入口前でまたしても襲撃があった。悪魔が三体……いずれもまとめて山形公平が相手を引き受けてくれた。連中はどうした?」

「二体は消し飛ばして一体は捕縛した。三体ともアバター……本体じゃなかったから消した二体は戻ってくるかもだけど、それなりに威圧はしたから昨日の今日で来ないとは思うよ」

 

 かくかくしかじかわーてるろー、ってなもんで一応ことの顛末を話しておく。もちろん事情を知らない人もいるからシステム領域とかそのへんについてはぼかしてね。

 悪魔を威圧しました。一体は宇宙までぶっ飛ばしました。もう一体はその場でビームしました。最後の一体は別空間に閉じ込めてあります。

 ついでに昨日の昼間、時間まで止めて殴り込んできたやつがいたことも告げる。さすがにこれにはシャルロットさんはじめ、ダンジョン聖教の方々や愛知さんも驚いているみたいだった。

 

「つまり、あなたは四体もの悪魔を昨日? それも三体は同時に……?」

「馬鹿な、こんな子供が? 信じられん……悪魔については何度か、召喚されたモノと戦ったことはあるがアレを三体も」

「し、しかも時間停止? 私もそれに近い権能を持つ方を召喚できるが、つまり君はそれにも対応できると……!」

「いや逆になんでそんなの喚べるんですか愛知さん!?」

 

 いろいろ信じられないってのは分かるんだけど、愛知さんの発言のほうが俺としては信じ難い。

 時間停止の権能って神にしろ悪魔にしろ、大概な大物しか持ってないような類なんですけど。ソレをさらっと喚べるって言ったね。

 

 この人、地味にマジですごいぞ。スレイプニルの時点で分かってたけどもさあ。

 ヴァールやリーベ、シャーリヒッタやミュトス、ステラまでもが静かに感心する中、俺も内心で舌を巻くのだった。




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