攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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うわあ、急に面白殺法を語るな!

 狭い室内における、広範囲攻撃の封殺。あるいは、というか確実にこれも神谷さんによるアンドヴァリ対策の一つだったんだろう。

 《土魔導》と《風魔導》。二種類の魔導スキルを駆使しての多種多様な戦法がやつの持ち味なのだと予想されるけど、そのうち《土魔導》を使えなくしたわけだね。

 

 当の神谷さんに視線を向ければ、いかにもとうなずいて彼女は対アンドヴァリ戦法を明かしてくれた。

 

「アレクサンドラの戦法はお察しでしょうが大まかに分けて二つ。《土魔導》による広範囲殲滅と、《風魔導》による自己強化による肉弾戦です」

「《土魔導》のほうは認定式の日に見ましたけど、《風魔導》が自己強化?」

「はい。私が仕込んだ……もっと言えば二代目聖女、ラウラ様から伝わる聖女流殺法をより強力なものにせしめるだけの、いわばバフ技が多いのです」

「聖女……え?」

 

 聖女流、何? 殺法?

 唐突にすさまじいワードが出てきた気がして俺は自分の耳を疑った。なんなら周囲の反応を見る。みんな驚いている。

 いや、ヴァールとマリーさんにシャルロットさん、オールストレムさんだけは別だな。その四人だけは当然のような態度でうなずいていた。

 えぇ……?

 

「懐かしいな。ダンジョン聖教を興す時にラウラがでっち上げた我流格闘術だったか。それとて源流はエリスやラウエン、ベリンガムやレベッカから教わった戦闘術がベースだったはずだが」

「はい。私とマルティナに授けられましたそれは、ラウラ様が第二次モンスターハザードの際に初代様はじめ先達の方々から受け継いだ技法を昇華させたもの。マルティナを通じてはダンジョン聖騎士団の戦術へ、私を通じてはアレクサンドラへと受け継がれた由緒正しき聖女闘法にてございます」

「怖ぁ……」

「い、意外にバイオレンスだなあ聖女ってのも……」

 

 なんか知らない歴史を訥々と語られてしまった。当たり前のようにしたり顔のヴァールと神谷さんがなんだか面白いぞ。

 しかし二代目聖女のラウラさんを始祖とした戦闘術かあ、しかも元を糺せばエリスさんが、そして第二次モンスターハザードの時の彼女の仲間達の戦い方が基礎になっているのだと言う。

 

 うーん、そういう由来があったりするのはすごく文化的に価値がありそうというか、字面の強さと裏腹にガチな歴史を感じるんだけれども。

 にしたって聖女流殺法はすごいな。まるでバトル漫画みたいだと思ったのは俺だけじゃないんだろう、神奈川さんの引きつった声がかすかに聞こえてきたのに便乗して、俺もわずかにうなずく。

 

 この場における数少ない男性陣の静かなドン引きもそこそこに。

 神谷さんは引き続いて、アレクサンドラとの戦いについて述べていった。

 

「さて、それを踏まえた上でアレクサンドラの二つのスキルの攻略。その半分を私は戦う前に潰しました。施設内に入ることでやつの《土魔導》を封じたのです」

「……まあ、施設が崩壊するからねえ」

「元より私の戦法が乱戦の中、ターゲットを狙い撃ちして一撃必殺することに特化したものであるとはアレクサンドラも当然知っていました。となれば、施設を崩落させてまで《土魔導》を使用するのは却って危険だとやつも思って当然でした」

 

 アレクサンドラの広範囲攻撃を強制的に封じるやり方、それはすなわち神谷さんとのある種の絆によるもの。

 彼女の戦法がどうやら混乱した状況に乗じての一撃必殺らしく、それを知るからこその警戒。師弟関係として互いをよく知るからこその、いわゆる人読みってやつだね。

 

 おそらくは一騎打ちを想定していた神谷さんは、より厄介な広範囲攻撃を封殺した。

 となれば今度は《風魔導》のほうなんだけど……そっちはもう、完全に実力で相対するつもりだったんだろう。さっき師匠ゆえに分かる弟子の弱点的なこと言ってたしね。

 

 逆に言えばそこまでしなければ到底勝ち目がないくらい、両者の間には力の差があったってことでもあるけれど。

 とにかく神谷さんは策をもってアンドヴァリと、どうにか互角に近い形にもっていったわけだね。

 

 ……少なくともヴァール達が訪れるまでは、だ。

 ここからが話の核心だろう。ヴァールが話を引き継いだ。

 

「ワタシ達が到達した際、アンドヴァリと神谷は交戦の真っ最中だった。完全な近接戦闘だな」

「入り込んでまず、私が五代目様の前に立ってアンドヴァリに相対しました。そのまま攻撃を仕掛けようかとも思いましたがまずは五代目様の身の安全の確保が優先でしたので引き下がった形です」

「交代してヴァールが《鎖法》、愛知さんが銃を用いてアンドヴァリに攻撃を。私は彩雲三稜鏡を使ってやつの撹乱と攻撃から味方を護るためのサポートを行いました」

「とにかく神谷さんを下がらせつつアンドヴァリを追い詰める、そのための動きでした。事前に《召喚》で何か喚ぼうかとも思いましたが、やつと渡り合えるようなモノとなると被害が大規模になりかねないので断念しましたね」

 

 戦闘中の二人に割って入る形で、あの部屋に突入したヴァール、香苗さん、愛知さん、シャルロットさんの四人。

 呉越同舟に近い四人ながら、さすがは高レベル探査者達ということだろう。一番の目的たる神谷さん保護に向け、彼女達は素晴らしいコンビネーションを見せた。

 

 シャルロットさんが神谷さんを下がらせ、ヴァールと愛知さんが代わりに矢面に。

 戦う二人のサポートに香苗さんが回ったのは、彼女は能力者犯罪捜査官ライセンスを持たないためアンドヴァリへの直接攻撃が法に触れるからだろうね。

 いずれにしても、見事なチームプレーと言えた。




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