攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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おい、属性キメラも大概にしろよ(真顔)

「おもむろに懐から出したスレイブコア。それを、やつはためらいもなく口にした。丸呑みだった……止める間さえないほどあっさりと、やつは手のひらサイズのそれを呑み込んだ」

「そしてこう言いました。"先生を殺してからゆっくりとことを進めようとしましたが仕方ありません。今ここに、私はウーロゴス様と一つになりましょう"と」

 

 隠し持っていたスレイブコアを、なんと丸呑みしたというアンドヴァリ。

 手のひらサイズだったそうだけど、えずいたりはしなかったんだろうか? 素朴ながらそんな疑問が浮かぶ。

 

 そしてやつは決定的な言葉を口にしたそうだ……ウーロゴスと一つになる。つまりは融合、あるいは合体か。

 スレイブコアをトリガーにしてウーロゴスと融合する、のプロセスが今のところ理解しかねたけど、そこはヴァールが補足してくれた。

 

「そのスレイブコアからは、何か得体の知れない気配を感じた……いや。はっきり言うが認定式の日に感知したウーロゴスのソレだ。概念存在の権能、ソレそのものが放つ圧力を感じたのだ」

「つまり、そのスレイブコアらしき物体は厳密に言えばウーロゴスを凝縮、結晶化したようなものと?」

「そう捉えるしかない。実際、口にした後のアンドヴァリは間違いなくウーロゴスと一体化していたのだから」

「おぞましい。その一言でしたね、アレは」

 

 苦虫を噛み潰したようなヴァールと、端的に吐き捨てる香苗さん。見ればシャルロットさんも、神谷さんも愛知さんも同様の面持ちだ。

 この面々にこれだけの表情をさせるなんて、よっぽどな光景だったんだろう、アンドヴァリに起きた異変は。

 

 思えば一度だけ、青樹さんと相対した時にスレイブコアがその威力を発揮した場面に出くわしたことがある。

 あの時もかなりグロテスクな、冒涜的なモノだったな……彼女の肉体が爆ぜるように膨張し、ヒトの姿から肉の塊へと変じて肥大化し、終いには肉の柱、人の手足が生えた気持ちの悪いベーコンに変化したんだ。

 

 アレと同じものがアンドヴァリに起きたのか? いやでも、少なくとも巨大化はしてないはずだ、施設は無傷だったんだから。

 気になるやつの変化。愛知さんが客観的な立ち位置からの、変生後のアンドヴァリについて語った。

 

「アンドヴァリに起きた変化は劇的でした。体の至る所がボコボコと膨らんでは造り変わる、筆舌に尽くしがたい光景。そんなグロテスクが1分ほど続いた後、現れたやつの姿はアンドヴァリのソレではありませんでした」

「それは、モンスターになったってことなの!?」

「いえ、あくまでも人間体でした。顔立ちも同じです。ただそれまでのアンドヴァリと異なる、背が伸び、真っ白な翼が生え、真っ黒な角が生え、九つの獣の尾まで生やした……まるで天使か悪魔か、あるいは妖怪変化のような姿になったんです」

 

 

 愛知さん曰く──

 背まで伸びていた金髪が足元にまで伸びた、着物が完全に破れきった全裸の美女。

 ただし160cm程度だった身長が2m近くにまで伸び、その両目は元の青から、妖しい色気漂う金の輝きに変じていたらしい。

 

 変化する前はあるはずもない天使の翼が背中から生え。頭には悪魔を思わせる二本の角が生えて。

 腰部分からは狐めいた尾が九本生えた、そんな異形へとなったのだとか。

 

 いやどれか一つにしろよ、って言いたくなる。天使の翼に悪魔の角に妖怪の尾とか総取り過ぎるんですけど。統一感はあっても良いんじゃないかなあ。

 ……などと、聞いていて思いはしたものの。ソイツが現れた時はもちろんそんなコメディな空気であるはずもない。

 唖然としたヴァール達が警戒する中、アンドヴァリもまたすぐに行動したという。

 

「やつが、神谷に手を翳した瞬間。ワームホールが彼女の周囲にいくつも展開され、そこから鋭い刃のような触手が飛び出た」

「ワームホール!? 空間転移の権能を……ウーロゴスと融合したってのは、なるほどアレの権能を備えたってこと、だもんな」

 

 マジでウーロゴスと融合したんなら、それはすなわち異世界の神の権能を扱えるということ。

 つまりはミュトスの元々の権能を、ごく一部とはいえ使えるんだ。その力の方向性を調節すれば、ワームホールくらいは使えるか。

 

 いきなり示された変異アンドヴァリの力。そしてそれに晒された神谷さん。

 絶体絶命だ。だが……そこで、ヴァールはシャルロットさんを見た。

 

「不覚だった……あまりにも異常な事態に一瞬だけ行動が遅れた。狙われた神谷に対して、動けたのはたった一人」

「シャルロット、ですね。神谷さんを庇って、それで大怪我をした」

「うむ。彼女であっても手足を切断される攻撃だ、もしも神谷が直撃を受けていた場合、最悪即死だったかもしれん。とはいえシャルロット自身も瀕死の重傷を受けた以上、どういった言葉が適切かなんとも言いづらいが……その行動は、結果的にはたしかに正解の一つと言えたのだろう」

 

 そして、すべてがつながった。

 いきなりのワームホールを使っての攻撃。神谷さんに差し向けられたソレを、シャルロットさんがとっさに庇うことで彼女を守ったんだ。

 自分の身を引き換えに。そしてシャルロットさんの手足は切断され、俺が間に合わなければそのまま死んでいたレベルの傷を受けたというわけだった。




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