攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
カレチャからの依頼を巡っての話し合いの翌日、日曜。
ワームホールを潜って首都圏は能力者犯罪捜査官、アンジェさんチームに合流した俺は、件の拠点についてヴァールも交え、ことの経緯を話していた。
みなさんが滞在しているホテルの一室。普段ヴァールが寝泊まりしている部屋のリビングに集い、俺とシャーリヒッタ、アンジェさんにヴァールが打ち合わせをしている。
リーベ、ミュトス、ランレイさんに神奈川さんとステラは実働で動いてくれている……最近の取り調べで判明した情報から、首都圏内のサークル拠点に踏み込んでくれているのだ。
その間に責任者側の俺達はこうして話し合いってわけだね。
「かくかくしかじかぺーねろぺー。というわけでして、なんか関西のほうにサークルの幹事長、いるっぽいんですよねー」
「ソフィアからはすでに報告を受けているが、よもや首都圏から離れていたとはな……あるいはアンドヴァリに合わせた? だとすればその拠点、アンドヴァリとているやもしれんな」
ソフィアさんからも予め話を受けていたヴァールが顎に手を当て考える。
うちの県の湖畔にあるらしい、カレチャOBOGが用意したという施設。それだけでも引っかかりがあるものを、なんと情報によるとそこにサークル幹事長、藤近功が足繁く通っているという。
もしそれが本当ならその施設は真っ黒だし、なんなら倶楽部の隠し拠点で姿を晦ましてから行方の知れない先代聖女、アンドヴァリだってそこにいるかもしれない。
ウーロゴスを取り込んだという、極めて危険な状態にいるあの女は……俺が直接相手しなければならないかもしれない敵だ。
警戒しすぎてもし足りない危険なやつだよ。
「今、関西に島根室長が極秘の形で向かった。ワタシの空間転移で送ったのだ。そして強制捜査の段取りを整え、数日後には踏み込めるように用意している」
「敵に気取られる危険性はあんのかよ、ヴァール?」
「ないとは言い切れんが、そこは考えても仕方あるまい。通常でない手段で室長が関西入りした以上、そこは勘付かれていないと思うがな」
可及的速やかに捜査を行うべく、急ピッチで準備をしている段階のようだ。空間転移での極秘移送まで行うとは大盤振る舞いだな、ヴァール。
そう、ことは一刻を争う。連中の情報が手に入ったことを、向こう側が気づかない保証もないからね。逃げ出される前に一網打尽にしたいのは当然の話しだろう。
アンジェさんも瞳を好戦的な色に輝かせて獰猛に微笑んだ。
認定式の日からこっち、虱潰しにサークル拠点を襲っては少なくない数の構成員を捕らえてきたんだけど、どうにもめぼしい情報は持ってなかったからね。
今回カレチャから俺に情報が持ち込まれたのは、こちらとしても本当に渡りに船だったのはたしかだ。
「よーっし、燃えてきたわ! いい加減チンピラ叩きのめすだけなのも飽きてきたし、ここらで一丁やってやろうじゃない!」
「もちろんアンジェリーナチームにも参加してもらうつもりだ。その間、首都圏はエリスや葵に任せる……しかし、ここで懸念が一つ発生したことを伝えなければならない」
「懸念?」
気炎を吐くアンジェさんを頼もしく見つめつつ、しかしヴァールは深刻な面持ちで告げた。彼女に懸念と言わしめる事態がどうも、起きたようだな。
それも結構ヤバい事態かもしれない……固唾を呑む俺達に、ヴァールは静かに、密やかに言う。
「……昨日、並行して倶楽部とのつながりについて捜査していたウラノスコーポから大量の逮捕者が出た。アメリカはニューヨークの本社、AMW開発部門のほとんどだ。案の定だが倶楽部に技術提供をしていたようだな」
「そうなのか? やっぱり関与してたか、ウラノスコーポレーション」
「たしか、スキルブーストジェネレータでしたよね? 葵のAMWにも搭載されてる、アレがいくつか取引されてたとか」
アンジェさんの確認にうなずくヴァール。
俺としては特に動揺のない話だ。まあ、倶楽部とウラノスコーポレーションの間に何かしらのつながりがあったのはこれまでの流れで把握してるからね。
先月半ば、倶楽部壊滅後に親元で相手した偽りの神の器。おそらくはアレにウーロゴスを入れるつもりだったんだろう、その存在の中にはスキルブーストジェネレータが三基、埋め込まれていた。
倶楽部幹部である火野老人、青樹さん、翠川の三人がそれぞれ持っていたバグスキル──《玄武結界》、《次元転移》、《座標変動》を増幅させて、本来ありえない存在をこの世に縫い留めるためのある種の楔にしていたのだ。
当然それに対して、WSOは即座にウラノスコーポに捜査の手を入れていたみたいだ。それで昨日、ついに大量検挙と相成ったんだな。
しかしてヴァールの顔は険しい。そもこの場でそんな話をする以上、無関係の雑談であるはずもないのだ。
彼女はそして、衝撃的な話を明かした。
「だが話はそれだけに留まらない。押収した資料から、サークルにも技術提供が行われているのを確認した」
「……何?」
「サークル内の能力者に向けて、四つのAMW──"ノイエヴァルキリー"と"ルートディバイダー"、そして"マキシム"と"ミレニアム"が貸与されているようだ。つまりは敵方に三人から四人、AMW保持者がいることになるな」
「なっ……ん、ですってぇ!?」
とんでもない話に、思わず叫ぶアンジェさん。
俺も同じ思いだ……AMW! フーロイータと同じ、特定スキルを極端に増幅させる人間達の技術の結晶!
それがまさか、犯罪組織の手に渡っているなんて!
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