攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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巨大鋏にはそこはかとなく浪漫が詰め込まれている気がする

 ウラノスコーポがサークルにまでも協力していた、というか虎の子だろうにAMWを四基も与えていたという事実。

 あまりにも衝撃的なスキャンダルに、ヴァールからの報告を聞いた俺達は固まり、そして困惑していた。

 

「……ウラノスコーポのCEO、エドウィン・ブドレドは近く逮捕される見込みだ。先代にあたるマーク・ブドレドについても確実に委員会との関与が確実視されるためそこも手が入るだろうな。他役員や経理、人事、AMW開発などにも厳しい追求がされるだろう」

「そ、それは分かったけど。AMW四基って……一体何考えてるんだ、ウラノスは」

「分からん。だが……一つ言えるのは、これについては25年ほど前の第七次モンスターハザードからの関係なのだろうということだ」

「第七次? って、たしかアメリカ全土で起きたっていう」

 

 アンジェさんがつぶやく。第七次モンスターハザードなんて、実に四半世紀も前の話だ。そんな頃からウラノスは委員会とつながりがあったのか?

 だとしたらこれ、会社そのものが大きく傾くやつなんじゃないのか怖ぁ……アメリカどころか世界の軍事産業的にはものすごい衝撃だろうなこれ。

 

 詳しく話を聞いてみれば、彼女は静かに訥々と語り始めた。七度目のモンスターハザード、そしてそこに投入されたAMW試作機と一人の英雄の話を。

 前に織田の家に行った時にも聞いたけど、この子はこれまでに起きたすべてのモンスターハザードに最前線で対抗しているからね。誰よりも当事者なのがありがたい話だ。

 

「あの戦いにおいて、ウラノスは間違いなくこちら側だった。探査者の少年ロナルド・エミールに試作型AMW"マキシム"と"ミレニアム"を貸し与え、彼を最前線に送り込んだのだ」

「アイオーンですよね、S級探査者の。今じゃサウダーデさんと並んで太平洋ダンジョン攻略の要になってる」

「うむ。プライバシーに関わる話なので軽くだけ言うが、彼は第七次を引き起こした組織に対して怨念ともいうべき復讐心を抱いていた。それゆえ単独で組織を追っていたのだが、そこにウラノスが接触して支援していた形になるな」

「第七次モンスターハザードの英雄が使っていた武器が、サークルに……」

 

 かつての味方が今日の敵……というほど、ウラノスにそうした意識もないだろうけど。

 それにしても皮肉な話だよ、かつて英雄をサポートして犯罪組織と戦ったAMWが、今度は犯罪組織の手に渡ったってんだから。

 

 どういう経緯でそうなったのかは分からない。今後アメリカのおまわりさん達による捜査の中でそこは明るみになっていくだろう。

 ただ、少しばかりの残念さはどうしても感じてしまうよね、俺としては。きっと太平洋にいるというロナルドさんも、この報を聞けば残念に思うんじゃないかなあ。

 

「ウラノスの意図はともかく、さしあたっての新たな脅威発生だ。AMW……サークルの誰が持っているのかはともかく、使いこなせる者がいるとすればこれは間違いなくややこしいことになる」

「四基の情報は手に入ってるのかよ? なんの情報もなしにかち合えってのはちょっと辛いかもだぜ?」

「多少はある。第七次にて用いられたマキシムとミレニアムについてはもちろんのこと、それ以後に作られたノイエヴァルキリー、ルートディバイダーについても多少は割れている」

 

 シャーリヒッタからの質問に、ヴァールは懐からスマートフォンを出して画面を操作した。

 そのまま視線を向けながら、軽く読み上げてくる。

 

「拳銃型AMW、マキシムとミレニアム。本来は別個独立した機体だったようだが、いずれもかつてはロナルド一人の手によって運用されていたものだ。いわゆる二丁拳銃だな、増幅していたスキルは《氷魔法》だ」

「二丁拳銃……! あ、いやそれより《氷魔法》か! 結構なレアスキルだな」

「ああ。そしてノイエヴァルキリーはオーソドックスな西洋剣、増幅するスキルは《俊足》だ。ルートディバイダーはハサミ」

「は? ハサミ? チョキチョキってするやつ?」

「そのハサミだ。巨大な剪定鋏だな、《頑健》を増幅するそうだ」

 

 怖ぁ……西洋剣はともかくハサミて。たしかにアレも一定サイズを超えると武器扱いされるとは聞いたことあるけども、ハサミて。

 思った以上の殺意の高さに震える。いや拳銃の時点で大概だけどね? 二丁拳銃はそりゃカッコいいけども、そんなもん人間に向けられたりしたらたまったもんじゃないし。

 

 加えてノイエヴァルキリーとルートディバイダーに内蔵されているスキルブーストジェネレータの、対応スキルもちょっと気になるな。

 《俊足》に《頑健》。魔導系や魔法系に比べてあまりに汎用的なスキルだ。それは裏を返せば使用者を選ばないということで、敵方の能力者であれば誰が持っていてもおかしくはないと言えるだろう。

 

 逆にマキシムとミレニアムだ。こっちはこっちで《氷魔法》がレアすぎる。持ってるやつなんているんだろうかってレベルだぞ。

 サークル内の能力者に《氷魔法》を持つ者がいるんだろうか? ちょっと聞いてみようか。

 

「ヴァール、気になるのは《氷魔法》の使い手だ。いるのか、そんなの」

「ああ、そこは真っ先に調べ上げた。結論から言えばいない……少なくともWSOに登録されているデータベースには該当するデータはなかった。となれば」

「そもそもモグリの能力者か、最近になってスキルを手に入れたか……だな」

 

 当たり前だけどもう調査はしてるか、さすがだけどしかし、該当はやっぱりなしか。これも厄介だなー……

 正直、本当に厄介なのは過激派のアンドヴァリだけであとは烏合の衆も同然かと思ってたんだけど。これはなかなか大変な相手そうだぞ、サークルも。




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