攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
四つのAMWという、サークルに新たな懸念が加わった。
とはいえそれを受けて俺達に追加でできることなんて特になくて、精々それが実際に持ち出された際には気をつけましょうねくらいの話しかできないのが実情だ。
とはいえまだできることはあると、俺、ヴァール、シャーリヒッタにアンジェさんは話し合いの後、ダンジョンに潜ることにした。
それもいつものような形でない。ヴァールが個人的に所有しているダンジョンコアをホテルの中庭に埋め込んでの、いわゆるダンジョンの再利用を行っての探査である。
「再利用でもモンスターは普通に出てくるんだよなーっと……ダブルアーム・スープレックス!」
「C級ダンジョン程度のモンスターしか出てこないがな。軽い運動をするにはもってこいだろう。《鎖法》、鉄鎖乱舞!」
どこの地形情報を読み込んでるんだか、通常は土塊の通路なのがホテルのそれに変化している。進んだ先に見えてきた部屋も、どこぞかのホテルのリビングっぽい豪華さだ。
そこに襲い来るC級モンスター、オークキャプテンにプロレス技を極める俺。並行してヴァールがスキルによる鎖を顕現させて空を舞う敵、ビッグトマホークを絡め取った。
牽制と制圧。ヴァールはあくまで動きを止めたに過ぎない。
本命は次、シャーリヒッタとアンジェさんの攻撃だ。
「サンキューだぜヴァール! オラッ、《鎌術》! 根刮ぎブラッディパレード!!」
「負けてらんないわね、私も! 《剣術》、竜断刀GRAVITY・シグルド!!」
ヴァール同様にスキルで、すなわち《鎌術》で形成した身の丈以上の大きさを誇る鎌を振るい、技名? か何かを叫ぶシャーリヒッタ。
そもそもこの子の場合、称号《処刑人》の効果で何もせずともモンスターはやがて死んでいくんだけど……パーティバトルともなればさすがに身体を動かしたいみたいだね。
そして同時に刀を抜き放つはアンジェさん。こちらもスキル《重力制御》を纏わせた刃で、ビッグトマホークに斬り掛かっていく。
威力重視の大斬撃。元よりシャーリヒッタの威力だけでもC級モンスター相手にはオーバーキルすぎるものをさらにA級上位による攻撃が加わったもんだから、直撃を受けた敵は跡形もなく消滅しちゃったよ。
なんならヴァールの鎖が地味に締め付けて継続ダメージを与えていたからね。怖ぁ……絶対死なすトリプルコンビネーションじゃん。
思いの外、殺意が高かった一連の連携に震えつつ俺は彼女達に近づいた。こっちが受け持っていたオークキャプテンなら最初のスープレックスで即輪廻だ、あとはゆっくりと三人の戦いを見学させてもらってたよ。
特に俺が思うに、やはりアンジェさんの技の合わせ方はバッチリだったように思うかな。
技を一発出しただけで何をと思われるかもしれないんだけど、他二人が精霊知能だからね。
シャーリヒッタとヴァールは演算能力含めていろいろ特別製だから、そこに高レベル探査者とはいえ只人のアンジェさんがガッチリ噛み合わせたってのはそれだけですごいことだと思うわけだ。
「お見事! シャーリヒッタとヴァールはともかく、アンジェさんもスマートに二人に合わせてましたよ」
「おうよ、すげーぜアンジェ! さっすがマリアベールのばあちゃんの孫なだけあるな! やりやすかったぜェ!!」
「うむ……ワタシとシャーリヒッタは同じ精霊知能だ、互いの演算能力をもってすればパーフェクトな連携も容易い。しかし人間であるアンジェリーナがここまでついてくるとは思わなかったな。見事だ」
「そ、そうですか? へへへ……ランレイや千尋達と組んで動く中で、そういう動きも学んだ自信はありますから!」
俺達からの賞賛に照れて笑うアンジェさん。これまでのサークルとの戦いの中、ランレイさんや神奈川さんと連携して行動してきたことでコンビネーションに関する動き方を身に着けたみたいだね。
特に彼女の場合、能力者犯罪捜査官チームのリーダーとして個性的なメンバーをまとめてもいるから。そういう経験が急激なまでに、アンジェさんに周囲をも見た柔軟な動きを可能にさせているように思えたよ。
とまあ戦闘のことはさておき、モンスターのいなくなった部屋を見る。
ホテルの一室を模した、テーブルもあればソファもある広々とした室内。快適なのはもちろんのこと、ダンジョン内ということで秘密の話をするにはちょうどいい。
何より今から呼び出すモノが不意に逃げ出そうとて、ダンジョンの入口にある結界に阻まれて絶対に逃げ出せないからね。
ダンジョンは外からも中からも、オペレータ以外の者は決して通すことはない……人も、概念存在も。
それゆえに今回、ダンジョン内を話し合い、いや事情聴取の場に選んだわけだった。
全員、ソファに座って落ち着く。ヴァール曰く"忙しい時に気分転換するために買ったダンジョンコア"とのことだがこりゃ納得だ。
弱めのモンスター相手に軽い運動ができて、しかも倒したあとにはこうして誰もいない空間でのんびりできる。日々忙殺されているだろうヴァールにとってみれば、ちょっとしたバカンス地みたいなもんなんだろう。
そんな場所をありがたく提供いただいたことに感謝しつつ、俺はワームホールを開いた。
腕を突っ込み向こう側の空間にいるモノを掴み、仲間達に呼びかける。
「さて……それじゃあ出すぞ。悪魔セーレと、アガレスと、そしてオノスケリスの三体だ。アガレスとオノスケリスについては抵抗も予想されるから、ヴァール」
「任せてくれ。暴れる予兆を見せた時点で拘束する」
「ついに悪魔と対面ってわけね……ちょっと緊張しちゃうかも」
「なんかあったら消し炭にしてやるから安心してくれよ、アンジェ!」
《鎖法》を発現して備えるヴァール。緊張しつつも刀に手をかけるアンジェさん。そして悠然と構えて不敵に笑う、概念存在への絶対権限を持つシャーリヒッタ。
この三人がこうまで警戒するのも無理からぬ相手だ……そう。今から俺達はいよいよ、先日に捕まえた悪魔達から事情聴取を行おうとしているのだった。
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