攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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一人だけ明らかに面白い悪魔がいるんですけど!

 認定式の日に捕まえたセーレ。始業式の日にいきなり襲ってきたアガレスとオノスケリス。

 こいつらは紛れもなくサークルに与していた悪魔であり、なんらかの情報を持っているのは間違いない。

 

 それゆえ予てより頃合いを見て、事情聴取はしないといけないねって話はソフィアさんやらヴァールやらともしていたのだけど……現状だと認定式の次の日に、セーレからしかできていなかった。

 基本暇してる俺はともかくWSO側は、もうてんやわんやで毎日捜査の日々だ。陣頭指揮を執っているソフィアさんとヴァールのほうがなかなか都合がつけられない上、矢継ぎ早にカレチャの話が来たもんで後回しになっちゃってたのだ。

 

 そのことについてどうやら多少、気に病んでいるらしいヴァールが無表情のなかにいくばくか、申しわけなさを孕んだ視線を込めて俺に話しかけてくる。

 気にしないで良いんだけどな、この子はとかく真面目だ。本当に生真面目だよ。

 

「ようやく話を聞けるか……すみませんでしたコマンドプロンプト。せっかく捕縛していただいていた悪魔達を差し置き、自身の都合を優先する形になってしまっていて」

「いや、当然だから気にしないでほしい。認定式の日以後、首都圏が一気に忙しくなったのはこっちも分かってるからさ。正直そっちが手詰まりになった段階で聴取を行えると良いかなって思っていたよ」

「っていうか、マジでとっ捕まえたのね悪魔ってやつら。認定式の日のやつは分かってたけど、こないだの隠し拠点のやつまで……」

「さすがは父様だぜ! 概念存在なんざ文字通り赤子の手を捻るようなもんってわけさ!」

 

 アンジェさんも現場チームの代表ってことで、引き続きこの場にいてもらってるんだけど俺が悪魔を三体、捕縛して何処かに保管してるってのはちょっと眉唾的に思っていたみたいだ。

 端正な顔立ちが驚きに染まるのを見る。シャーリヒッタが毎度ながら囃し立ててくるのを軽く笑顔で応じつつ、俺はさておいてとワームホールの中から悪魔達を引きずり出した。

 

 中性的な、美女のようにも美男子のようにも見える耽美な姿の悪魔、セーレ。

 ラフな格好──シャツにジーンズをして髪を多少煩雑に伸ばした、今時の都会にいそうな若い、人の好さそうな顔をした青年。悪魔アガレス。

 そして最後にちょっとゴスロリ目の、ヒラヒラが付いたシャツにスカートを履いた少女悪魔、オノスケリス。

 

 いずれも精神体で肉体はないものの、アバターで来ているため姿形は人間のそれだ。

 半透明のステラめいた薄さで三体、いや二体は久方ぶりの現世に気づいていた。

 

『──ここ、は? どうやらまた、話を聞くために呼び出されたようですが』

『────とう。ってあれ、ここどこ!? えっ、さっきと違う場所じゃん、もしかして本当に異空間行ってた!? こ、怖いんですけど、怖くないんですけど!!』

「どっちだよ」

「セーレはともかく、また濃いのが来たな……」

 

 時間という概念のないデータ領域からの呼び出し。悪魔達からすれば一瞬で場所が変わり、時間もズレたように思えるだろう。

 一度それを体感しているセーレはともかくとして、少女悪魔オノスケリスについては仰天してしまったようですっかり泡を食って騒いでいる。怖いんだか怖くないんだかはっきりしてほしいな。

 

 またしても妙に味付けの濃いやつが出てきたもんで、若干遠い目をしているヴァール。シャーリヒッタはちょっと楽しそうに笑ってるし、アンジェさんは警戒しまくっていてすでに刀に手をかけている。

 ここでもし悪魔達が何かしでかすようなら、問答無用で俺がアバターを消し飛ばす。だから彼女の手を煩わせる話でもないんだけど、さすが一流は常在戦場ってやつだねと感嘆するよ。

 

『────』

『アガレスとオノスケリス。あなた方まで我が契約者に捕まりましたか……アガレス?』

『セーレちゃんじゃん、やっぱ生きてたー! あとアガレスのおっちゃんも! ……おっちゃん? し、死んでる……』

「死んでない死んでない」

 

 お互いを認識して、セーレとオノスケリスが反応するもアガレスからは何も無い。というか動いていない。

 オノスケリスがどこまで本気なんだか顔を青ざめさせて死んでるんじゃないかと危惧しているけどそんなことはもちろんない。

 悪魔アガレス。こいつもちゃんと生きているよ。

 

 今ここにいる悪魔三体のうち、アガレスについてはワームホールに放り込む際、俺が世界停止権能であらゆる機能を封印させていた。

 それゆえ"こう"なのだ……思考もなければ動きもない、時間がそもそも流れていない。完全なる停止状態なわけだね。

 アガレスの腕を掴みつつ軽く説明する。

 

「今、こいつは俺の力で停止させている。こいつの中に流れている世界そのものを停めたんだ。だから言っちゃうと強制的に眠らされてるようなもんだな」

『世界を、停めた……? 時間停止はアガレスの十八番でしたが、まさかそれをも上回る権能とでも』

『やっぱこいつヤバいって! うちの上司とか他所の悪魔王さんとかでもそんな無茶できないんですけど! チートなんですけど、垢BANなんですけど!? チーター思い出してムカついてきたんですけど!!』

「FPSまでやってるのか……マジで現世に馴染んでいるなあ。ま、とにかく解除解除、と。《世界停止は解除されたからアガレスの世界は動き出す》」

 

 オンラインゲームまでどっぷり楽しんでいるっぽいオノスケリスの馴染みっぷりに戦慄するものさえ覚えつつ、俺はアガレスの世界停止を解除した。

 動き出すやつの世界。停止前は俺に攻撃を仕掛けてカウンター食らってたところだし、こいつ視点から言えば厳密にはまだ、戦闘中って認識の話なんだよね。

 

『──おのれシャイニング山形ァァァッ、何っ!?』

「予想通りだな、失礼……すでに取らせてもらってるぞ」

『うおっ!? が、ぐぁああっ!?』

 

 だから当然こうなる。世界が停止していたという認識を一切持たぬまま、勢いだけで振り抜こうとしていた腕を予めガッチリホールドしていたのはこのためだ!

 即座に合気の技法でアバターを地面に叩きつけ、そのまま腕一本で全身を抑え込む。人間を模したからにはこれが通じるのが良いよね、助かる。

 

 苦悶の声を上げて地面に沈む悪魔アガレス。

 さて……大人しくなるだろうか。暴れるようならヴァールの鎖が唸るけれども、どうかな?




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