攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

139 / 2048
謎の大ダンジョン時代

 リーベ曰く。

 大ダンジョン時代が訪れて初めて、レベルという概念がこの世界に発生したらしい。何ならステータス機能はオペレータに向け、レベルを含めたスキル、称号を認識させるために急造したものなのだとか。

 ついでに言うと、それまでスキルというものはアドミニストレータただ一人が使うものであったが、アドミニストレータの不在と代わる形でオペレータ制度が導入されたと同時に、人間用にカスタマイズしたものを大量に作り、探査者にばら撒いたのだと言う。

 

『廉価版とか、ローエンド……と言いますと語弊を招きますかね? ともかく、本来想定されていたスキルというのは公平さんのスキルの方なんですよ。あなたが持っているスキルはすべて、かつて歴代アドミニストレータが使用していたものですねー』

 

 この恥ずかしいポエミーな方が本来の姿かよ! とか。

 アドミニストレータ不在ってそもそも何があったんだよ、とか。

 結局大ダンジョン時代ってなんなんだよ、とか。

 

 聞きたいことは山程あるんだけど、その辺はすべて一繋がりで説明できてしまうらしく、そうなるとその他の諸々も全部、白状してしまうことになるため勘弁してくれと言われてしまった。

 まあ、レベル300になったらすべて話すって前から言ってたし……経験値5倍にダンジョン踏破ごとに確定レベルアップも合わされば正直、あとちょっとで普通に到達できそうだから、仕方ないといえば仕方ない。

 

 その代わりマジで、一切包み隠さず洗い浚い喋れよ? と釘だけ刺しておくと、リーベにしてはしおらしく、それは必ずと確約してくれた。

 何なら契約書でも取り交わしたいくらいだ。脳内にいるやつとどうやって交わすんだって感じではあるけれども。

 

「さて、インチキ効果のトンチキぶりについてはともかく次、行こうかね? 私的にはこれが一番、このラインナップの中じゃお気に入りなんだけどね、ファファファ」

 

 マリーさんがそう言って、応えた香苗さんがスライドを次に移した。望月さんも併せて三人、彼女たちはつい先程まで、モンスターについて色々、話をしていたところだ。

 やれアンデッド系はかかる手間の割に実入りが少ないだの、獣系は遠巻きに観察してると縄張り争いで同士討ちしだすことがあるだの、オークが手持ちの武器を折られてさめざめ泣いているのを見たことがあるだの。

 

 果てはダンジョンコアを食べられないか試した結果、見事に病院送りになったモンスターみたいな食欲の探査者にまで話は及んでいた。

 正直面白かったしもう少し聞きたかったけど、今はこっちが優先だね。残念。

 

 

 称号 昨日の荒野は明日の沃野へ

 解説 風は光を纏い、光は闇を祓い、やがて緑はよみがえり地に水は降る。荒野が希望に満ちていく

 効果 決戦スキル保持者が半径1km以内にいる時、該当者のすぐ近くに転移できる

 

 

 なんとも希望に満ちた文言の解説だが、効果はこれまたとんでもない。ワープだ、ワープ。到達先に必ず仕込み杖抱えた凄腕お婆ちゃんが待ち構えているワープだ。怖ぁ。

 この効果に関しては正直、現状だと使いどころに困るのは事実だろう。何せマリーさんしか決戦スキル持ちがいないし、この人だってずっと俺の近くにいるはずもない。

 そもそもホームは遠い海の向こう、イギリスな御方だし。

 

「そこなチビスケがデカかった時、距離を詰めるのには役立ったね。まあ、決戦スキル持ちと組む時の奇襲用としてなら面白い使い方もできようもんさ」

「ワープ自体はすさまじい性能でしたからね。ドラゴンの喉元に一瞬で転移して、連撃で一気に攻めて、マリーさんに繋げて」

「そしてトドメ、ですか……すごいです、公平様!」

 

 三人がそう、褒めてくれるのが救いだ。たしかに使用したのは試しの時に一度と、それを除けば再構築される前の迷惑アイちゃん相手の時だけだったが、その時は見事に連携の要になってくれたように思う。

 なんだかんだで瞬間移動は強いんだよねえ。

 

「まあ、肝心な時に役立ってくれたからアリですよね」

「きゅっ! きゅっ、きゅっ、きゅ〜!」

「ふふ、自分のことなのに何でかしら、喜んでるわね?」

 

 話をあんまり理解してないんだろう。かつての自分を追い詰めた能力の話なのに、両腕を広げて何かをアピールしている。

 こんなおっきかった? お前が? そうだね大きかったね、ちょっと問題になったくらい大きかったね。

 

 望月さんが優しく頭を撫でた。ゆるふわ系お姉さんと小動物の組み合わせはいけない、俺に効く。きっとそのうちガンにも効くようになりそうな光景だ。

 

「さて、次でひとまず最後ですか。毎度ですが、まるで聞いたこともない効果ばかりですので、話し甲斐のある会ですね」

「ファファファ、まったくさね。こういう会ならまた機会があれば参加したいねえ」

 

 香苗さんとマリーさんが嬉しいような、そうでもないよな微妙なラインの会話をしつつ。

 PCは最後のスライドを表示した。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。