攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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サークルという組織─平和のなかで平和を否定する者─

 アンドヴァリについてはひとまず置いておく、というか悪魔達自身もあまり詳しくないようなので、だったらより詳しい方に質問をシフトしていくことにした。

 サークルとの関係。ならびにカレチャやウラノスコーポとのつながりについてだ。

 

 どちらかって言うとこっちのが重要なんだよね、普通に。

 何しろもう数日後には例のカレチャOBOG施設に突っ込むし、AMWを四基もサークルに提供したウラノスの意図についても気になる。

 ここからはヴァールが主体となって、質問を展開していった。

 

「それでは次に、サークル関係について聞かせてもらおう……カレッジサーチャーズとサークルのつながりについて、お前達悪魔はどこまで関与している? 委員会そのものさえ関係しているのか?」

『カレッジサーチャーズについては、悪魔は関わっていませんよ。以前にもお話しましたがサークル自体、元々は委員会や概念存在と一切無関係の団体でした。そこに委員会の悪魔、アドラメレクが接近して性質を一変させただけです』

『ふん……そのアドラメレクとて、藤近功の野心に火を付けただけだがな』

 

 そもそもの話、組織間の関係性はどうなっているのか。ここらで改めて整理するための第一問に、悪魔セーレは整然と答えた。悪魔アガレスも追随してうなずく。

 ただ、藤近功……サークル幹事長のパーソナルにまで言及してきたのは意外だ。アドラメレクとかいう委員会の悪魔が主体となってサークルを、単なるOBOG組織から反社会的勢力にまで変質せしめたのかと思っていたんだけど違うのか?

 

 アガレスは腕を組み、眉を寄せ、不機嫌そうにしつつもどこか苦笑いするように口元を歪めた。

 未だ敵対的な悪魔だけど、この場面ではもう質問に答えないことには埒が明かないと理解してくれたんだろう。続けて彼は教えてくれた。

 

『それも5年前にはすでに燻っていた導火線だ。はっきり言って委員会や悪魔などがいようといまいと、やつはいずれことを起こしていただろう』

『アンドヴァリにも負けない過激派だもんねー。腹心の海方陸もそんな藤近に心酔してさ、見てる分には面白いけどあんまり関わろうとは思わなかったんですけどー』

「そんなにヤベーのかよ、お前らにそこまで言われるって大概だぜ。どんなやつなんだそいつら、藤近に海方ってのは」

 

 怖ぁ……悪魔に自分達がいなくてもアイツいずれやってたわって言われちゃうのかよ、藤近功。腹心らしい副幹事長を心酔させているとも言うあたり、相当なカリスマ生を持つ傑物ではあるみたいだが。

 シャーリヒッタが呆れ返って藤近と海方の人となりを問うた。認定式の日にも結局現れなかった者達だ、少しでも情報を仕入れておきたい思いは俺にもあった。

 

 一方、問われてセーレ、アガレス、オノスケリスの三体はふむと考え込んだ。答えたくないというのではなく、どう答えたら良いかという印象を受ける悩み方だ。

 彼ら彼女らからしても、一言で言うには難しいのか。慎重に言葉を選ぶように、三悪魔が語る。

 

『……そうですね。私から見た藤近と海方の印象は、親分と軍師と言ったところでしょうか』

『藤近は気風の良い男で人を従わせる理屈に疎いが、それを自前の威厳と貫禄で補う気質だな。反面海近は神経質で気難しいが理屈や策謀に明るく、何より藤近を唯一無二の大将として崇めている』

『なんていうかー、ほら戦記とかでたまにあるじゃん? 任侠的な親分が軍師を手にして無茶苦茶な大成するお話。アレの主人公と右腕って感じじゃない? まー私ラブコメとギャルゲーのほうが好きなんですけど! 暗かったり残酷なお話とか嫌いなんですけど!』

「悪魔でそれはなんだか意外ね……なるほど。戦乱の世で名を挙げるタイプのコンビってわけか。そりゃ大ダンジョン時代に覇を唱えるかもね」

 

 ハッピーエンド主義者らしいオノスケリスに目を丸くしつつもアンジェさんが三体による評をまとめる。乱世でこそ光るタイプ、か……戦国チックなコンビなんだな。

 

 となれば、大ダンジョン時代はさぞかしこの二人にとって退屈な代物だろう。モンスターの脅威やら能力者犯罪組織のやらかしこそあれど、それらに対抗するのは基本的に探査者だ。

 非能力者の方々はあまり荒事に関わる余地がない世の中なのは間違いないからね。

 

 なんせ100年近く戦争、紛争がどこにも起きていないんだ。どこか一国だけの平和ならともかく、地球全土で"そう"な時代なんて相当珍しいんじゃなかろうか。

 ……まあ、その遠因に邪悪なる思念の存在がある時点で俺としては複雑な気持ちなんだけど。滅びゆく世界、ゆえにその瀬戸際には静謐なる安穏が漂うのだと考えると、本当にギリギリのタイミングだったのだと言わざるを得ない。

 

 ともかく。そんな非能力者にとっての平和は、けれどそれに馴染めない人だって当然生む。藤近や海方、そして二人に付き従う瀬川以下サークル構成員達は、そういう集いでもあるんだろう。

 今度の湖畔施設の捜査で、もしかしたら藤近とは顔を合わせることになるかも知れない。その時には以上のことを念頭に置いて見定めさせてもらうことにしようか。

 

 平和に生まれ平和に育ちながらも、平和を否定する選択に至った者の本質を、ね。




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