攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
そんなこんなで数日後にサークルとつながりが指摘されているカレチャ関係施設にお邪魔することになったわけだが。
それはそれとしてきちんと学校生活も満喫するのが俺ちゃん流だ。
お昼休みを終えて午後、6時間目を迎えて。我らが東クォーツ高校一年13組はいわゆる"総合的な学習の時間"ってやつを迎えていた。
普段はいろいろ、勉強科目に拠らない進路についてとか環境問題についてとかを自主的に学んでレポートとか書く、生徒の自主性を伸ばすための時間らしいんだけど今日はちょっぴり様相が異なる。
というのも、秋を迎えたってことでいよいよ決めなきゃならないことがあるんだね。
さやかちゃん先生が教壇に立ち、相変わらずのほわほわっとしたトーンで語りかけてくる。
「はーい、それじゃあみんな〜文化祭の催事決めをしますよ〜」
「ついにこの日が来てしまったかぁ……」
告げられた言葉に、俺は不安と緊張、そして裏腹の期待と高揚を覚える。そう、文化祭。
うちの高校は11月の頭あたりに文化祭をするそうで、その出し物を今から決めて用意しなくてはならないのだ。
なんなら体育祭もその翌週にやるらしく、なんかえらく忙しいタイミングなんだなと思うよ。
つまりは一年の中でも学生にとっては一大イベントの時期だってこともあり、クラスメイトも浮足立ってあれやこれやとさっそく話し合いを始めていた。
「はいはーい! 喫茶店! それもコスプレ喫茶とか!!」
「お化け屋敷よくない? めっちゃ怖いの作りたーい!」
「出店的なのでよくね? 焼きそばとかたこ焼きとかさ」
「クレープ! たこせん! チョコバナナ!! よーし食べるぞー!!」
「えぇ……?」
すぐさま良い感じのがいろいろ出たけど最後のは待て、遠野さんだろ言ったの。完全に提供する側じゃなくてされる側だったもの今の。
相変わらずの食欲大明神ぶりである。毎日お昼のお弁当も量がすごいもんなあ。その度に脳内の食いしん坊が見習えだの負けられないだのさすがだね、だのと謎の対抗意識を燃やしてくるからいろんな意味で反応に困るんだよね。怖ぁ……
まあ、それはともかく。無難と言ったらアレだけどよく聞く文化祭の出し物が出てるね。
後はそうだな、なんかあるだろうか……隣の席の松田くんと、後ろの席からわざわざやって来た片岡くんと話す。
「文化祭の出し物かあ……無難なところだと、何か食べ物関係になるかな?」
「だなあ。ていうか俺は文化祭はなんでも良くて、体育祭にどの種目に出るかのほうが気になるんだよなー」
「分かる。リレーとかだと最悪だし、そうでなくとも走る系はちょっとな。山形は関口くんと同じで、そもそも不参加だから関係ないだろうけど」
「まあ、探査者だしねー」
この二人はどちらかと言うと体育祭のほうが気になるタイプか。松田くんはともかく片岡くん、そもそもあまり運動したくないタイプだもんな。
俺ももちろん筋金入りの陰キャですから、片岡くん同様のスタンスなんだけど今年からは事情が違う。バッチリ探査者デビューしたことで、学校での運動関連には一切触れられないのだ。
当たり前の話、探査者と非能力者でいろいろ違いすぎるからね。レベル20ごとに素の状態から倍の身体能力になる塩梅なため、探査者達まで体育祭に参加なんてした日には一人で圧勝になりかねない。
というわけで割と昔から、学生探査者にあっては体を使う授業は見学または自習、体育行事においても不参加で応援にのみ努めるよう、探査者関連の法律で定められているのだ。
「山形は体育祭だとアレだろ、応援役だろシャイニングだし」
「空も飛べるしな。光りながら飛行して13組応援するとかマジでバズるんじゃないか?」
「怖ぁ……いやーそういう悪目立ちはする気ないよ。裏方一番、俺は隅っこの日陰で三角座りしとくかな」
「それはそれで、0か100しかないのかよって感じだなー」
あくまで冗談だけど、軽口を飛ばし合って笑い合う。
なんだか青春してるなーって感じがするよ、中学の時はこんなやり取りする相手なんて一人もいなかったしな。
他のみんなも喧々諤々、楽しそうに文化祭の出し物を話し合っている。
いい光景だ……改めて、なんだか楽しいや。
「そうだ、演劇よ演劇!!」
「ナイス! いいえベストアイディアよ!!」
「え?」
と、そんな折だ。イケメンリア充グループの女子数人が、同じグループ内でも相変わらず話の中心になっている関口くんの腕を取って叫んだ。
なんだ? 一瞬静まり返ってみんなが彼女を見る。演劇? 当の関口くんまでぽかんとした様子で女子達を見ている。
「え? ど、どうしたんだみんな?」
「ねえみんな、演劇とかどうかしら? ほら、うちのクラスにはアイドル顔負けのイケメン関口くんとか有名人の山形くんがいるし!」
「プロの探査者による演舞とか映えそうじゃん! ね、どうかな!?」
名案だ! と言いたげな女子達のテンション。なるほど演劇で俺と関口くんのアクションを目玉にするって考えたのか、やり手だなー。
たしかにアクション俳優を兼業している探査者もいなくはないし、法律的にはいけなくもないだろう。特に関口くんはルックスも良いし、彼目当てで大勢の人が詰めかけることにもなりかねないほどだ。
ただまあ、別口で探査者同士の争いも禁止されてるから、そっちに引っかかりかねないってところは多少考慮すべきとは思うけど。
その手があったか! とクラスメイトの少なくない数がおおーとどよめいた。女子同士で話をしていた梨沙さん、木下さん達とほほう? みたいな顔をしている。
「演劇かあ。関口主役としたら人もたくさん来るかもなあ」
「私脚本書きたい!」
「なんなら照明は山形くんにやってもらうか? シャイニング山形だし、光の扱いはお手の物そう」
「えぇ……?」
なんか一気に演劇に話が傾いているな。
それは良いんだけどシャイニング山形だからって、安直に俺を照明係に据えるのはやめてほしい。弄る機械の多さに泣き出すまであるぞ?
自前で光れというならまあ光るけど、なんか本末転倒は拭えないなあと思ってしまう俺だった。
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