攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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ううっ華のJK佐山が眩しい!(陰の者視点)

 結局、一年13組の出し物は演劇ってことで話がまとまりそうだ。週末にまた時間をとって、その時にクラス内投票で確定させるみたいだけどまあ、この時点でもう決まりだろうなって気はしている。

 関口くんほどのルックスと知名度を活かさない手はないものなあ。本人は苦笑いしてたけど、あれちょっと内心嬉しかったと俺ちゃん思うんだよね。

 

 探査者としての動きを活かして演舞を披露したりするの、さぞかしウケるだろう。その線で俺にまで期待の眼差しが向けられたもの。

 演舞とか、まあ真似事はできなくもないけど。一応俺、探査者になってすぐの頃に得た称号《魂を救う者》の効果で格闘技関係の習熟速度が10倍になってるからね。

 

 最初の頃はそれを活かして格闘技系の動画見まくって、そしたらすぐに同じ動きができるようになったからインチキすぎる……って唖然としたんだよなあ。

 まだ半年前のことなのにやたら懐かしい。今やすっかり俺ってば光ってビーム放ってたまにプロレス技極めるスタイルだけど、あの時期に身に着けた技の数々は今でも当然使えるよ。

 

「そんなわけだから、仮に演劇に本決まりして、なんか演舞とかやるように言われてもそれなりのことはできると思うかなー」

「公平くん、ホントにすごいね……格闘技とか、そんなノリで覚えられちゃうんだ」

「称号のおかげだよ、こればっかりは。それにプロの格闘家の人達みたいに、実戦の中でより上手く使えるかってのは別の話だし。むしろ技を身につける度、やっぱりプロは違うなーって思い知ったよ」

 

 夕暮れ時の帰り道。電車から降りて梨沙さんと二人、歩いての道のりの中で語らう。

 梨沙さんは、俺が探査者だからって無理に演劇を押し付けられそうなことに大分不安がっていた。前からのことだけど、本当に人のことをよく気遣ってくれるよね、この子。

 

 なんなら抗議だって全然するけどとさえ言ってくれる彼女に、まあまあ俺も嫌なら言うし、演舞とかも真似事なら出来なくもないからといろいろ説明したのが今ってわけだった。

 コマンドプロンプトどころかアドミニストレータとしての覚醒さえもしていなかった、本当に最初期の話だから多少話したところで問題はないわけだ。

 

「照明として光れってのは、まあさすがにみんなも冗談だしね。本当に言われてたらちょっと無理かもって言ってたよ、普通に」

「そんなの当たり前! 物理的に光るからってまるで道具みたいに言ってさ、みんなして公平くんのことなんだと思ってるのかっての!」

「あははは……ミラーボール的なアレかなあ?」

 

 ぷんぷん怒る梨沙さんが、可愛いやらありがたいやら。

 俺としてはジョークで済む範疇とは思うんだけど、あんまり擦られるとちょっと困るかもって類のネタだからね、ミラーボール山形なんて。

 

 もちろん、どうしてもと言われればやるけどさ。でもそれって俺、クラスメイトではなく単なる小道具扱いでは? となるのもあるし……

 そういうちょっとしたモヤモヤを、こうして梨沙さんが毅然とした態度で表明してくれるのが、なんだかとても心強いよ。

 

 夕暮れ時の町。もうじき梨沙さんの家に着く、住宅街の道。

 沈むオレンジに照らされて輝く彼女を、俺は目を細めて見ていた。

 

「公平くんはさ。本当に優しくて、お人好しで、素敵な人だから、頼まれれば応えたくなるんだよね? でもさ、嫌なことは嫌って言っても良いと思うなあ」

「……俺はそこまで立派なもんじゃないよ。嫌なことは嫌って言うし、割と損得勘定で動くこともあるしさ。大丈夫、無理したりはしてないよ」

「ホント?」

「ほんとほんと」

 

 振り向いて俺をじっと見る彼女を、俺もじっと見る。視線を合わせて、やがて俺たちは照れたように笑い合う。

 いやー、なんかむず痒い! シチュエーションもあってなんかこう、すごく青春してる気がするぞ!

 

 湧き上がるエモーションに、そこはかとなくムズムズする歓喜を堪えて。

 俺は梨沙さんへと、笑いかけた。

 

「それにさ。なんだかワクワクしてるんだよね、文化祭。中学の時は基本、あんまり楽しむとかはしてなかったから、こういう行事」

「え……そうなの?」

「なんか知らんけどボッチだったからねー。たまに知り合いが絡んでは来たけど、あれは今のクラスで言う関口くんポジションの子だったから友人とも言い難かったし」

 

 アレな中学時代を暴露するのも苦しいけど、この際だし話してみる。あの頃、何故かマジで俺は一人だった。

 いじめられてるとかではなかったと思う。女子達からは暗いだの陰キャだの言われてたけど、男子達からは遠巻きにされていた記憶もないし。

 

 なんだけどただ、ひたすらにぼっちだったのだ。俺と似たような陰キャ少年だって何人かいて、彼らも彼らでグループを作っていたのに俺はそこにも属していなかった。

 たまに桜井ってクラスの人気者がやたら話しかけてきてくれたんだけど、あの子もあの子でリア充グループのトップちゃんだったしな。

 

 そう言えばあいつのお兄さん、探査者してるんだよなー。

 基本無関係だしたまにすれ違う程度だけど、桜井は元気してるかいずれ尋ねてみても良いかも知れないね。

 

「とまあそんな具合でして。だからグループになれる友達と一緒に文化祭ってのが今回初めてだから、ワクワクしてるんだよね」

「そうなんだね……じゃあさ、目一杯楽しもうね! 華の青春、楽しまなきゃ損っしょ!」

 

 そのへんのブラックヒストリー山形を披露したところ、それさえ照らす女神の笑みを梨沙さんは浮かべた。

 ううっ眩しい! 生まれながらにしての光に闇が祓われていくようだ。

 いや暗黒生命体か何かかな、俺は?




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