攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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静かな湖畔にポリとワル達

 着々とマスメディアとのつながりさえ持つようになってきている救世の光に、いやマジで変な方向にいかんでくださいよと願い祈りつつの道中。

 車が走ること30分ほど。湖西側にあるカレチャOBOG施設の付近まで特に問題なく俺達はやって来ていた。

 

 湖沿いの、自然公園のすぐ近くだ。普段なら景色の一つとしてふーんで済ませてしまいそうな光景なんだろうけど今日はあからさまに雰囲気っていうか様相が違う。

 めっちゃパトカーとか来てるし。めちゃくちゃオペレータの気配感じるし、湖にもボートとか大集結してるし。

 

 有り体に言って包囲網だ。ものすごい人の集まりっぷりに、俺は思わず唖然としていた。

 

「怖ぁ……」

「対サークル、対ダンジョン聖教過激派において動員している人員の半数近くを動員するとかメールにはありましたね。首都圏から相当数来ているのでしょうし、近隣に住む探査者達も駆り出していると思われます。総力戦の構えですね」

「それだけ、ここが正念場だという認識があるわけですか……」

 

 言いながらその集団のすぐ近く、お巡りさんの警備に従って駐車場に車を停める香苗さん。

 すぐさま降りて包囲網に近づいていく。それと同時に件の施設も見えてきて、俺は気配を探りつつも肉眼で観察した。

 

 学生寮みたいな雰囲気のアパートだ。近くにはガレージハウスが建てられていて、シャッターは締め切られている。

 アパートの窓もカーテンで中を確認できなくされてるんだけど、時折いくつかの部屋のそれが軽く揺れて、微かに人の目が覗いてきてるのが見えるね。

 

 間違いなく誰かしらはいる。気配の上でも何人か、オペレータの気配もあるし悪魔憑きっぽい特異なものも感じる。

 いるな、サークル。オペレータはともかく悪魔憑きは弁解の余地なしだ、幹部か否かはさておき、関係者は絶対にいるのがこれで確定した。

 

 さらに近づいていく。見知った顔が見えてきて、俺と香苗さんはそちらに合流した。

 ソフィアさん……ではない。ヴァールだ。周囲にいつものメンバーも多数いてくれている。

 

「お疲れ様です! 山形公平、ただいま到着しました」

「同じく御堂香苗、到着しました。お疲れ様です、状況は?」

「ああ、来てくれたか二人とも。すまんな平日、学校や仕事もあったところを」

 

 さっそく挨拶すればヴァールも応じてくれる。

 手にはおそらくアパートの見取り図だろうパンフレットを持っていて、お巡りさんの何人かとやり取りしていた最中だ。そしてその、近くのお巡りさん達は俺達を見るなり目を丸くしている。

 

 たぶんこないだから連日テレビで変な取り上げられ方してる噂の変質探査者少年シャイニング山形が伝道師もろとも現れたってんで面食らってるんだろう。お騒がせしてすみません。

 続いて俺たちの到着に、周囲にいた仲間達も集まってくる。

 

「公平サン! お勤めお疲れ様です! 御堂香苗もよく来てくれたな、百人力だぜ!!」

「お疲れ様です山形様、そして御堂さんもー。いやーここの湖、夕暮れ時が綺麗ですねー。元・水のうんちゃらかんちゃらとして感じ入ったりなんかしちゃったりなんかしてー」

 

 まずはシャーリヒッタとミュトスの二人、山形家からの参戦だね。

 どちらもシステム領域の中でも最強の精霊知能として、余裕たっぷりって感じとても頼もしい。ミュトスなんてかつては水の女神だったからだろう、うちの県の誇る雄大なマザーレイクにすっかりご満悦だ。

 

 県民としても嬉しい、実に嬉しい。厳密には今いるここじゃないけど別の地点からみるこの湖の夕焼けは"夕照"とまで呼ばれる程に美しいからね。

 存分に堪能してほしいところではあるんだけど……まずはこの一件にケリをつけてからだね。

 

「ハーイ、二人とも! 今日も一緒にワルどもを叩きのめすわよ、よろしくね!」

「公平さん、そして香苗さんもよろしく頼む……! 今日こそあの瀬川聡太のバリアを貫通し、我が斬撃脚の味を刻みつけてくれるわッ!!」

「おっかねえよランレイ……あ、どうも神奈川です。今日はよろしくお願いします」

 

 次いでやって来たのが能力者犯罪捜査官たるアンジェさんチーム。対能力者戦のエキスパートさん達だね。

 もちろん神奈川さんの後ろには目に見えないけどステラもいる。言うまでもないけど神奈川さんのサポート、しっかりしてくれるだろう。

 

 この時点でもすでに頼れる仲間達なんだけど、加えて予想外の助っ人もいてくれる。

 この間、アンドヴァリ絡みでやり取りのあったダンジョン聖教先々代聖女、神谷美穂さんが騎士を数人連れて、挨拶に来たのだ。

 

「山形さん、御堂さん。お疲れ様です」

「神谷さん……それに、そちらの方はたしか、翠川の時の」

「お久しぶりです。オーロラ・ウィリアムズです……倶楽部事件の時は大変、お手数をおかけしました」

 

 騎士のうち、一人の女性には見覚えがあった。オーロラ・ウィリアムズさん。

 神谷さん付きのダンジョン聖教騎士団の方で、倶楽部事件の際には単独で彼らのアジトに潜入、幹部の翠川に殺されそうになりつつもスレイブモンスターのデータを入手してくれた、いわば突破口を開いてくれた功労者だ。

 

 しばらく姿を見なかったけど、そう言えばこないだの神谷さん暴走の時にさえいなかったのは変だな。

 ふと思い返して首を傾げていると、苦笑いしたウィリアムズさんが神谷さんをちらりと見、俺達に説明してくれた。

 

「先日も神谷様がお世話になりました……せめてお付きを連れてくださいと言っていたのですが、神谷様は結局お一人で行ってしまわれまして。私どもとしましても必死に捜索していたのです」

「えぇ……? そ、そうなんですか」

「はい。それが蓋を開けてみればまさか、関西にまで行ってらっしゃったとは。認定式の一件から足を伸ばしても首都圏近郊だと思っていたのがとんだ誤算でした。当代のシャルロット様の派閥からも、特になんの連絡もなく」

「お恥ずかしい限りです……ウィリアムズさん達にも迷惑をかけ、一人で先走った挙げ句にあの体たらく。もうあのような醜態は晒しませんとも。ええ」

 

 怖ぁ……マジで周囲の人にも何も言わず、一人でアンドヴァリを倒しに行ったんだな、神谷さん。

 シャルロットさんとも別口で動いていたもんだから連携もへったくれもあったもんじゃなく、それだけに関西にいた、なんて知った時にはさぞかし肝も冷えただろう。

 お疲れ様です……




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