攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
ついに動きがあった。アパートから何人かが出てきて、俺達包囲網を張っているWSOや警察の面々を眺めだしたのだ。
男が三人……見覚えがある、というか忘れるわけもない連中だ。さっきワームホールから出して俺の背後で透明のまま控えさせていた、悪魔セーレが小さく呟くのを耳にした。
『聡太……元気そうにしてくれていますね。良かった……』
「やはりいたか、瀬川聡太。藤近功や海方陸もいるな」
瀬川聡太。そして近くには写真で見た顔、藤近功と海方陸もいる。つまりはサークルの中核メンバーがずらり、揃っているのだ。
ヴァールが静かに言ったように、資料で見た顔ぶれだ。思った通りにいたな、サークル。
2m近い身長に、ムキムキマッチョの角刈りスポーツマンって感じの体格をしている30歳手前くらいの男、藤近功。
大きな口を自信たっぷりの笑みに歪め、見開いた目はたしかに覇気というか、大物感を放っているように思える。それがハリボテのものか本物なのかは、これから先わかっていくことだろう。
一方でその隣に立つのは180cmくらいの長身で、藤近とは対照的にスラッとしたスタイルの男前だ。歳の頃は瀬川に近い。
海方陸……写真通りの顔つきだ。イケメン風なんだけどしかめっ面をした、誰をも寄せ付けない怜悧冷徹さを伴う表情。
そして最後に瀬川聡太。こいつは以前一度見たことがあるな。20歳半ばくらいなのに少年のような若々しい顔つき、一般的に美少年と言っても良いんだろう。
ただ、今は俺をまっすぐに睨んできてるけど。セーレを奪った俺がよほど憎いみたいだな。これで実はすぐ後ろにセーレがいると知ったら、どういう反応するんだかな。
出てきた連中は全員武装している。特に藤近、海方、瀬川の三人の持っているそれの、異様さが即座に目に付いた。
剣、鋏、二丁拳銃。それぞれにゴッテリした剥き出しの機械が取り付けられている。そしてその中に、偽りの神の器やフーロイータにも共通して見られたとある部品が目に入る。
いつの間にか近くに寄ってきていたアンジェさんが、それら武器を眺めてうわーと呑気な声を上げた。
どんな時でも落ち着き余裕のある、ベテランめいた声だった。
「うわっ、やたらゴテゴテしてるわね……アレよね、AMWは。葵の槍とよく似てるわ」
「たしか……剣型のノイエヴァルキリーと鋏型のルートディバイダー。そして二丁拳銃マキシムとミレニアムだったな……!」
「ふむ? 前情報通り藤近がノイエヴァルキリーを、海方がマキシムとミレニアムを。そして瀬川がルートディバイダーを持っていますね」
「ああ、間違いない。ロナルド・エミールの、アイオーンの使用していた二丁拳銃だ。こうして見ると、さすがに嫌悪感がある……彼が、悪を討つために使っていた銃を今度は悪が使っているのか」
後ろにいた香苗さん達もやって来て、ひとまず現れたサークルの面々を注視する。特に男三人は案の定、AMWを持ち込んでいるみたいだ。
ごてごてした機械の取り付いた、大型の兵装。スキルブーストジェネレータも搭載してあるのが外から見ても分かるそれらこそ、サークルにとっての真の切り札。
大剣ノイエヴァルキリー。
大鋏ルートディバイダー。
そして二丁拳銃マキシムとミレニアム。
とりわけ二丁拳銃について、ヴァールが固い声を出している。
かつては第七次モンスターハザードの折、英雄ロナルド・エミールによって正義のために使われていた武器が……今となっては悪の手先によって運用されているんだ。複雑に思わないわけもない。
正しいことのために使われていた武器を汚す者達を、ただじっと観察する。
すぐに変化は訪れた。藤近が、いきなり大声で叫びだしたのだ。
「ふっふふふ……っ!! よくぞここが分かったな、能力者諸君っ!! どこぞかのカレチャからでも漏れたか? ふははははっ、それもまた一興だ、愉快痛快ッ!!」
「藤近、功……」
「せっかくお越しいただいてなんだが、君らの命令におとなしく従う気はこちらには、ないっ!! 勝てるとも思わんが、最後の最後までキッチリ暴れさせてもらおうかっ!!」
あたり一帯に轟く大音量で、負け戦を笑って行おうとする藤近がノイエヴァルキリーを構えた。同様に海方陸、瀬川聡太も構える。
瞬間……アパートのベランダや屋上に、中から大量の人員が出てきた。全員サークルの構成員だろう、全員武装しているし、中には悪魔憑きもいる。
徹底抗戦の構えだ。
やるか、と身構えているとその前に、現場総指揮の島根局長が拡声器を使って最後通告を行っていく。
『止めろ、サークル! もう無駄な抵抗でしかないぞ、それは!!』
「無駄? ふはははは、結構じゃないか無駄、無駄こそが世界を前に押し出してきた!! 俺達は紛うことなく悪だがそれでも、世界を動かそうという気概は誰にも負けん!! お前らみたいに、なんでもかんでも狭い枠組みに納めようとする連中に一泡くらいは吹かせられるわっ!!」
『止めろ! 怪我人が出るぞ、無益な戦いをするな、投降しろ!!』
「断るっ!! 俺達はこれから先の未来に向けて放たれる一矢! たとえ半ばで力尽きるとも、後に続く者達が必ず現れるだろう先駆けの一矢だっ!!」
島根さんの呼びかけに、拡声器をも超える大音量で叫び返す藤近。こいつ、何を言ってる?
世界を動かす。曖昧な物言いだけど、それがサークルの目的の真意なのか? 停滞した世界とは、いやシステム側からすれば心当たりはあるけど、こいつらにその視座はないはずだ。
どういうつもりでこんなことを言うんだ、こいつは。
戸惑う俺達に構うことなく、すさまじい気迫を放つ藤近は続け様に、俺達のほうを……いや。
俺の隣にいるヴァールを、まっすぐに睨みつけてきた。
「そしてっ!! 世界を停滞させている張本人! WSO統括理事ソフィア・チェーホワよ、よく聞けえっ!!」
「なに……?」
「……今でなくともいつか必ず、あなたの支配にも終わりが訪れる。100年にも亘って世界を護り続けてくれた偉大な守護者よ。世界はいつか、あなたという女帝が作り上げた大ダンジョン時代を不要とするだろう!! 俺達の意志を受け継ぐ、革命の焔がそれを成し遂げるっ!!」
唖然とする。今、あの男は明らかにソフィアさんを名指しで非難した。
サークルの真意、もしかしてそれは……ソフィア・チェーホワの、完全否定にあるというのか!?
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