攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
エリスさんに対して、煽るような発言をしてみせるプレーローマ・アンドヴァリ。
嘲笑を浮かべたその眼差しにあるのは、疑いようもない憎悪と憤怒……そして侮蔑だ。
すべてを奪った? エリスさんが、この女から?
言っていることの意味が分からないのは俺だけでなく他のみんなも同様みたいだった。特に言われた当のエリスさんは困惑しきりの様子。
一体何を言ってるんだ、こいつは?
戸惑う空気が流れる中、舌打ち一つしてプレーローマ・アンドヴァリは続けて言い放った。
「ムカつきますねえ……ええ、ええそうでしょうとも。直接奪ったわけでないのですから、そりゃあそういう反応にもなりますよねえ。あなたはただいろいろな悲劇のトリガーになっただけなのですから」
「悲劇、トリガー……私が? 一体何の話をしているんだ!?」
「良いでしょう、教えてあげますよ。あなたと出会った10数年前から、私はずっと真実を叩きつけてやりたかった」
空高くから見下し、やつは怒りの相貌をさらに深める。もはや殺意にも近しいその視線に、自然と俺達はエリスさんを護るように動いていた。
俺、葵さん、シャルロットさん。そして愛知さんが彼女を取り囲み、もしもの際に対応できるよう陣形を組んたのだ。
何しろ相手はワームホールによる強襲を可能とする敵だ。対応しきれるのは俺しかいないだろうが、さりとてその俺も今は因果操作を行えない状態にある。
元いた戦場にて、悪魔アドラメレクの権能を今もなお封印し続けているのだ……結界スキルも同時展開中だ。
さすがにそこに重ねて因果操作は身体に負担がかかりすぎる。仮にもかつて太陽神だったようなヤツを封印するなんて簡単なことじゃないってことなんだな。
できてさっきみたく威圧するか、はたまた山形くんビームでワームホールを対処して周囲の人達を護るか、だ。
ちょっとマズイな。
相手の出方では逃さざるを得ないかもしれない。にわかに旗色の悪さを感じ取っているうちに、そしてやつは、アレクサンドラは語り始める。
──それは、衝撃的なカミングアウトから始まった。
「そもそもお教えしましょうか。私の名はアレクサンドラ・ハイネンにあらず。日本人の父の姓を生国ドイツ風に取り繕っただけの、アレは偽装の名前です」
「な、に?」
「そして本当の名前は、ヒノ。私は本来、アレクサンドラ・ヒノという名前なのですよ。いえ、日本風に合わせるならヒノ───火野・アレクサンドラと言うべきでしょうか。火野源一という男の種で生まれたんですよ、私は!」
「……………………は?」
一瞬ならず耳を疑う。ハイネンという姓が偽名、というか本姓をドイツ風にしていただけで、本来はヒノ……火野、というのか?
火野。そう呼ばれて思いつく人物など俺には一人しか思いつかない。それはエリスさんもそうだろうし、葵さんもそうだろう。俺と同じに驚きで頭が真っ白になっているみたいに、口を半開きにしている。
元倶楽部幹部、火野源一。
エリスさんを追い求めて80年もの間邪悪に生きてきたあの男が、アレクサンドラの実父だと言うのだ。
予想だにもしていなかった暴露に唖然とする中、アレクサンドラ・ハイネンいや、火野アレクサンドラは続けて語った。
「……母は、元より委員会傘下組織の一員でした。そのつながりで当時から委員会メンバーだった火野と出会ったのですが、見事に一目惚れしましてね。65歳ほどのあの男に、20歳そこそこの小娘の身で言い寄ってどうにか一夜だけ褥をともにしたそうです」
「まさか、それで君が……生まれた……?」
「いかにも。ですがあの男はそれと知らぬまま母の元から去りました。当たり前ですよねえ……昔から今に至るまで常に変わらず、あの男、父と呼べたはずの火野源一の心には、たった一人の女しかいなかったのですから。あの男は今も、私が実の娘だとは知らないでいますよ。うふふふ」
「怖ぁ……」
あまりにもあんまりな話に、つい口から漏れちゃったよ。
いやマジで怖い、なんだコレ唐突に修羅場ってるんだけど。
じっと、エリスさんを見るプレーローマ・アンドヴァリの目は、凪いでいるがゆえに静かな憎悪を灯しているのが嫌でも分かってしまう。
行きずりの関係。火野自身さえ預かり知らぬところで生まれたアレクサンドラは、それゆえにエリスさんを父を取った女性として見なしているのか?
いや、だとしてもそれはあまりにお門違いというか……火野が勝手にエリスさんに執心していたわけで、それをエリスさんに転嫁するのも違うだろう。
そもそも火野自身にも自覚がないってのは、それは告げないでいたアレクサンドラのほうにも問題があったんじゃと思わないでもないけど……いや、このへんのことはなんともよく言えないな、俺には。
ともかくエリスさんに夢中だった火野が、一夜だけ共に過ごした女性との間に生まれたのがアレクサンドラで。
彼女は自身の側に父がいなかったことを、エリスさんのせいだと認識している、というのだけはたしからしいことだった。
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