攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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籠の中の聖女。翼を折られたシャルロット

 明かされたシャルロットさんの素性。モリガナ姓ということもありもしかしたらって感じだったんだけど、本当にエリスさんの縁者だったのか……!

 つまりは七代目聖女である彼女こそ、初代聖女の末裔であると言えるのだろう。気づいてプレーローマ・アンドヴァリの話に呑まれていた騎士団の人達が、次々に声を上げ始めていた。

 

「シャルロット様が……初代様の、妹様のひ孫……!?」

「いやそもそもそちらにいらっしゃる青髪の方が、我らにとって神にも匹敵する偉大なる方、初代聖女エリス・モリガナ様であらせられるのか……!!」

「天より来たりて二代目ラウラ様に薫陶を授け、第二次モンスターハザードを食い止めし後には天へと帰還されたという神話上の存在。なるほど事実はそういうことでしたか」

「初代様と六代目様。そして七代目様が一堂に会していらっしゃるのか。お、俺は……奇跡を目の当たりにしているのか……?」

「怖ぁ……」

 

 うーん見事に信仰的な反応。うちの伝道師さんやら使徒さん達やらを彷彿とさせる感涙に咽ぶ感じの反応が目白押しである。

 たしかにこう、ダンジョン聖教に属している方々からすればかなりエモーショナルなシチュエーションなのだろう。エリスさんてばその来歴から神話的な存在になってるみたいだし、その末裔が当代聖女のシャルロットさんだなんてものすごい奇縁と言うしかない。

 

 もっとも、その奇縁は目の前にいる先代聖女、アレクサンドラが意図的に仕組んだことなんだけど。しかもそれに際して彼女を己の意のままとすべく、どうやら相当おぞましい行為に手を染めていたみたいだし。

 騎士達の声に一切反応することもできず、エリスさんは顔を真っ青にしてシャルロットさんを見ている。

 

「しゃ、シャルロットくん……き、君が、あなたがアイナの……」

「……………………はい。初代様。私はアイナ・モリガナの曾孫であり、それがゆえにあの女に引き取られ、聖女教育と称した拷問を受けてきました」

「……なんて、ことを」

 

 静かにうなずくシャルロットさんに、ことの成り行きにも一切の油断なく警戒していた愛知さんまでもが、絶句して彼女に視線を投げかけている。

 真実を知って、これまでのシャルロットさんの言動への謎がほとんど解けたのだろう。俺も同じだ、だからこそかける言葉が見つからないし、プレーローマ・アンドヴァリに怒りを抱くしかできないでいる。

 

 そうしてシャルロットさんは、端的に語り始めた。

 自分が受けてきた仕打ちの数々。ダンジョン聖教を裏から操るために加えてエリスさんへの個人的な嫌がらせのためだけに行われた、あまりに惨い行為についてを。

 

「ろくな食事も睡眠もないまま、聖女としての教育に加えて探査者としての訓練を毎日、毎日行わされました。私が力尽きてモンスターに半殺しにされるまで延々と戦う日々、加えてアレクサンドラのストレス解消のため、殴る蹴るからスキルのターゲットにもなりましたね」

「す、スキルまで!? 馬鹿な、殺人未遂じゃないかそんなのっ!!」

「実際、毎日が虫の息でした。モンスターよりあの女から受けた傷のほうが多いくらいですが、器用に顔だけは避けていましたね。でも私の体は傷だらけですよ。ほら」

「────な、あ」

 

 なんでもないような口振りで淡々と語りつつ、法衣の腕を捲って見せる。細く小さな腕、そこに刻まれた、凄惨な傷跡の数々。打撲痕、創傷、火傷、骨折の痕。

 今度こそ言葉を失い、俺も、エリスさんも葵さんも愛知さんも、騎士団の人達もみんな、みんな顔から血の気が引いていった。

 

 スキルさえ使って、シャルロットさんを甚振ったのか……! それもおそらく腕だけじゃない、バレないように顔だけは避けつつ、けれど全身が同様になってしまっているものと見ていいのだろう。

 

 酷すぎる。あまりのことに、俺達は一気に沸騰した。

 

「……アレクサンドラァァァッ!!」

「《念動力》!! 犯した罪に、等しき罰をっ!!」

 

 葵さんがこれまでにないほどの怒りの雄叫びをあげて突進し、エリスさんも《念動力》で伸ばしたナイフの切っ先を振るい一気にプレーローマ・アンドヴァリへと距離を詰める。

 遠距離攻撃は先程同様、ワームホールでいなされてしまう。それゆえに近接戦闘を挑んだ形になるな。

 

 正直に言えば俺も殴りかかりたかったけどそこはぐっと堪える。やつの権能によってさっきみたく、味方に危害が加えられそうならそれに対処できるのは俺だけだ。

 因果操作があれば良かったが……元いた戦線の状況が確認できない以上、軽々にアドラメレクの封印を解くわけにもいかない。

 香苗さんに念話で呼びかけるのも考えたけど、戦闘中に気を散らしてしまうとマズい。

 

「シャルロット、下がれっ!! 君はもう戦うな、後は任せろ!! 君の無念は私達が晴らすっ!!」

「お断りします。アレを殺すことだけが私の生きる理由なのです。《光魔導》、バードケージ・ヴィクティムカプリコーン」

 

 後方では愛知さんが、シャルロットさんを押し留めて退かせようとしている。真実を知った今、言動や素行の問題性など関係ない。

 傷つきボロボロになった少女をこれ以上戦わせまいと、どうにか保護しようとしているんだ。

 

 けれどシャルロットさんは止まらない。止まれない。

 もはやアレクサンドラを殺すことだけしか頭にないんだな……スキルを発動させて、光り輝く鳥籠を現出させる。

 すべてを知った今、ソレはあまりに悲惨で悲壮な心象風景の顕現でしかなかった。




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