攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
白日の元に晒された、アレクサンドラが行ってきたシャルロットさんへの仕打ち。
惨いを通り越した拷問虐待に、この場にいる俺達の誰もが怒り、そしてやつを許すまいと睨みつけて行動に移っていた。
エリスさんと葵さんが同時攻撃を仕掛ける。愛知さんがシャルロットさんの前に立って彼女を庇い、騎士団達も我先にとプレーローマ・アンドヴァリへと突撃していく。
加えてシャルロットさんの《光魔導》による鳥籠まで顕現するほどだ……やつの頭上に、単純な鈍器として扱うがごとく振り下ろされる!
けれど。
プレーローマ・アンドヴァリはそれら激昂の攻撃乱舞に対しても、悠然と嘲笑を浮かべつつ問題ないと言わんばかりの対応をしてみせた。
本来はミュトスのものである権能を、行使してみせたのだ。
「権能発動。《水と豊穣、調和よ来たれ》」
「っ、これは……!?」
発動するウーロゴスの部分。元々は水の女神として調和と協調を司っていた力の一部が解き放たれる。
変化は劇的だった……やつに向かっていったありとあらゆる者達の動きが止まり、スキルもまた、発動を停止させたのだから。
一目見て、俺にはソレが分かった。一体いかなる種類の権能なのか、その結果何が起きたのかも。
高らかにプレーローマ・アンドヴァリが嗤う。少女のような、甲高くもおぞましい声。
「うふふふふふふッ!! 面白いですねえ人間は、自分のことでもないのに、どうでもいいことに怒って無謀なことをしでかして!!」
「こ、これは……スキルが、封印された!?」
「そ、それに身体が重い……そんな、昂ぶりが、鎮まって……!」
「あ、あ、う……お、おれは、これは、いったい……」
エリスさんの《念動力》や、シャルロットさんの《光魔導》がその効果を失った。スキルを強制的に封印されたんだ、そういう力場を今、あの女は自分の周囲に生成した。
それだけじゃない。葵さんや騎士団の面々の様子が、目に見えておかしくなっていくのも俺は確認する。
精神介入……! 俺のシャイニングリラクゼーションと似たタイプの、そこにいるだけで強制的に戦意を失わせる効果まであるか。
その上でやつの力だけは高まっていっているあたり、封印したスキルや戦意をすべて、エネルギーにして吸収しているものと見る。
これがウーロゴスの、ミュトスの権能か。
水と豊穣、調和と協調。それをやつは、限りなく自身にのみ機能する形に歪めて発動させたんだ。
本来はもっと穏当な、真に地域一帯を平和平穏にさせるためだったろう力を。あろうことかこの女は、自分だけを高めるためだけのものに改竄して使ったんだな。
ミュトスが見れば大いに嘆くだろうな。こんな、周りすべてを貶めて踏みつけて自分だけがのし上がるようなやり方は。
どこまでも他者をコケにするやり口ばかりの女はそして、高まった力で瞬間的に移動した────俺の眼前、至近距離!
「さっきはよくも、偉そうな説教を延々と垂れてくれましたねえ……死になさい!」
「…………」
「あなたもスキルは使えないでしょう? 手足をもいだ後、生きたまま肉と骨と臓器を解体して差し上げましょうっ!!」
とんでもなくスプラッタなことを言って、俺に手刀を放つプレーローマ・アンドヴァリ。
俺のスキルまで封印したと思って、先程までの力は使えないと判断したのか。言っていることのおぞましさはともかく、そう考えるに至ったのは理解できるしこう動いたのも分からなくもない。
だけどな。前提条件が間違ってるんだよ。放たれる手刀を無造作に掌で受け止めて掴む。
なるほど大した力だ、特にエリスさんの力まで吸い取ってるからか先程までとはたしかに圧が違うな。戦闘力だけなら下手すると、最高神クラスまでいってるかもしれない。
……だからどうした?
「ッ!? ────こ、これでも、まだ足りないと!?」
「それ以前の話だ、プレーローマ・アンドヴァリ。お前は俺のスキルを、封印なんてできていない」
「な…………にを、馬鹿な!!」
「公平さん!」
今度こそ余裕のない驚愕に顔を染める。ようやく底を見せたな、ずいぶん大物ぶっていたがこうなればもうこちらのものだ。
そう、俺はスキルを封印されていない。別にコマンドプロンプトだからって話ではなく、これはむしろアドミニストレータだからだ。
オペレータのオリジナルであるアドミニストレータは、それゆえにステータスの"つくり"が一般の探査者とは大きく異なっている。
仮に彼らのスキルやステータスの一部を封じる力場を作ったとて、アドミニストレータのそれまでは封印できないんだ。そして封じようにも、そのへんの知識がないプレーローマ・アンドヴァリにはどうしたって封じることはできない。
そのへんのからくりなど知る由もないアレクサンドラが、俺に対して引きつった顔を向ける。
切札のつもりだったのかもしれないな。それさえ通じないと分かってすっかり狼狽したやつが、震える声で問いを投げかけてきた。
「あ……あ、あなた、は……一体、なに、もの」
「山形公平、探査者だ。もっとも普通のとはちょっと違うけどな────我が力はこの世界のコトワリそのもの。いかなる干渉とて我が存在を揺るがすこと能わず……!」
すっかり怯えたその顔をまっすぐ見つめて、俺はアレクサンドラの両腕を取り体勢を整えた。
ヒトでなければモンスターでもない、概念存在でもないモノ。ならば俺もこのくらいはさせてもらおう。せめてシャルロットさんに与えてきた痛みの、万分の一でも味わうが良い。
ほんの少し、けれど混じり気のない本気の怒りを込めて、光とともにこの技を放つ。やつの両腕を、やつの背後に回して組み付き、そのままテコの原理でひっくり返すように体を持ち上げて。
俺の十八番。人型相手には大体極めてる技だ、避けられるものなら避けてみてくれ。
「ダブルアーム・スープレックス!!」
持ち上げた身体を、ブリッジの体勢になるように後ろに投げ飛ばす。もちろん加減はしてるが、それでも意識は飛ばせる威力だぞ!
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