攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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痛み分けの決着、されど互いに戦意は漲る

「うっふふふふふ……そう、でしょうね。できないでしょうねえ。悪徳という正義を、認められないっ。愚かな子供の、底がとうとう知れました……っ!!」

「プレーローマ・アンドヴァリ……!」

 

 俺から距離を取り、荒く息をしたままそれでも嘲り笑うこの女。火野アレクサンドラ。

 ダンジョン聖教騎士団を容易く洗脳して意のままにしてみせた、あまりの悪辣さに俺は息を呑まずにはいられなかった。なんでこうも、邪悪な真似ばかりができる……!?

 

 睨み合う俺とプレーローマ・アンドヴァリ。

 そうしている間にもエリスさん達が、洗脳されている騎士達に対して手を打とうと動いてくれていた。

 

「な、何をしてるんだ!? どきなさい、君達!」

「アンドヴァリの力……!? 聖女はこちらのシャルロットさんでしょうに! 目を覚ましてください、覚まさないなら済みませんが倒しますよ!?」

「権能か……! どうにか対抗できる方を召喚するが、しかしスキルが封印されていては、どうにも……!!」

「アレクサンドラ、逃げますか」

 

 やはり騎士達の突然の奇行に驚くエリスさんや葵さんが、それでも彼らを傷つけないように意識を飛ばして無力化していく。

 このまま放置してたらプレーローマ・アンドヴァリの思うがまま、下手しなくてもこちらに向けて刃を向けさせられていたかもしれない。

 それを思うと一旦、全員の意識を刈り取るってのは有効な手段だね。

 

 ただ、スキルが封印されているのが痛い。愛知さんやシャルロットさんもエリスさん達に加勢するものの、やりづらそうにしているな。

 特に愛知さんの《召喚》なら、洗脳にも抗えるほどの権能を持つ概念存在を喚び出して一気に片をつけられたかもしれないんだけど……

 そこまで見越しての権能発動なのかもしれない。まずいな、ジリ貧に近くなっている。

 

「ふふ、ふふふっ……! こ、ここまで消耗させられるとも思っていませんでしたが、だからこそ収穫はありましたよ……!!」

 

 権能に権能を重ねたためか、この女自身も結構弱まっているのを感じる。だけどそれだけに、やつの打った手はこちらにもクリティカルだ。

 スキルを封じ、騎士団を味方につけて俺達を阻ませる。そして俺の権能もアドラメレクの封印に使っている以上、重ねての行使はできない。

 

 現状は相当にプレーローマ・アンドヴァリに有利だ。と言って、やつも俺のスキルまでは封じられてないためここから反撃してくる気もないみたいだが。

 痛み分けのまま、逃げるみたいだ……ゆっくりと高度を上げていきながら、やつは俺達へと告げた。

 

「追ってきても良いですよ? その瞬間、私は騎士どもに自害を命じますが。私とて無闇に人死にを出したくはありませんが仕方ありませんよねえ? そうまでしないとあなたのような浅薄な子供が嬉々として追いかけてくる。ぜんぶ何もかもあなたが悪いんですよ、あなたのせいで犠牲者が増えるんです。あーあ、とんだ救世主ですねえ!」

「ふざけた詭弁を言うな……! そこまでして永遠に生きたいのか!? 他者を踏みつけにしてまで、夢や希望を叶えたいのか!!」

「叶えたいに決まっているでしょう。なんの苦労も知らないガキが、馬鹿丸出しの綺麗事を言わないでもらえますか?」

「苦労していたら何をしても良いのか!? そんなわけがあるか! どんな理由があろうとお前のやっていることに正当性なんてない!! お前の自分勝手な夢に、人を巻き込むな!!」

 

 やはり、ダンジョン聖教騎士団を人質として使ってくる。モラルや良心良識を完全に投げ捨てたその物言いに、俺はいよいよ許せないものを覚えて叫び糾弾した。

 夢を抱き、叶えるために邁進する。ソレは良い。だけどそのために何をしても良いなんてことがあっていいわけないし、ましてや他者を犠牲になんてもっての外だ。

 

 たしかにこいつは苦労してきたのだろう。親によって舗装された悪への道、その中でも見えた神谷さんという光明……委員会とダンジョン聖教の板挟みに、あるいは悩み苦しんだことだってあるのかもしれない。

 だけどそれでやったことはなんだ? 委員会として倶楽部創設を唆し、シャルロットさんに虐待を加え、ダンジョン聖教を騙して。挙句の果てにサークルなんかと組んで国家転覆、社会崩壊を目論んで。

 

 終いには他者の権能を取り込んで神様気取り。これのどこが立派な夢なんだ。

 何一つだって正当性がない。なんの筋も通っていない。不老不死なんて壮大すぎて、どんな手段でも縋りたくなるものなのかもしれないけれど、だからなんだと言うんだ。

 そんなことが、何をしても良い理由になんてなるわけがない。

 

 ……けれど、今回はもはや逃さざるを得ないのだろう。こうまで人質を取られた時点で為す術がなくなった。

 洗脳レベルの権能まで有しているなんて、ミュトスの神格の高さが仇になったな。

 最後に、やつをまっすぐ見据えて俺は告げる。

 

「お前を止めるぞ、プレーローマ・アンドヴァリ……その権能を本来の持ち主に還すところまで含め、すべてのツケは払ってもらう」

「……小賢しい子供が。あなたも、シャルロットもエリス・モリガナもソフィア・チェーホワも。私に刃向かうならすべてを滅ぼしましょう。この社会をこれまで好き放題してきた、ツケを支払うのはそちらですよ」

 

 最後に冷ややかな目で睥睨し、アレクサンドラは天井さえ突き抜けて天高くへと飛び去っていく。

 …………いろいろと見えてきたが、逃げられたな。悔しさと惜しさ、そして苛立ちを一瞬瞑想することで落ち着けつつ、俺は深く、深くため息を吐いた。




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