攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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おーっとまさかのシャイニング照明キャンセル!先生GJ!!

 サークルとの一大決戦。そしてアレクサンドラ・ハイネンいや、火野アレクサンドラがその正体を本格的に露わにした戦いから数日が経過した。

 9月もぼちぼち下旬に差し掛かる頃。日々の授業を恙無く終えて放課後、俺はクラスメイトのみんなとともに文化祭の準備をし始めていたりする。

 

「じゃあ関口くん、とりあえず台本を一から読み合わせよっか!」

「ああ、よろしく。みんなは小道具の製作だな」

「かっけー剣とか作っから、楽しみにしてろよ久志ー」

「ははは。楽しみにしてるよ」

 

 みんなの机を一旦、後ろに下げて。教室の前半分を広く取ったスペースで関口くん達が打ち合わせしている。

 そのそばで他のクラスメイト達は大きな方眼紙やら段ボールを床に敷いて、絵の具やら油性ペンやらで絵を描いたり色を塗ったりしていたりして。

 俺ももちろんこっち側だ。関口くんのような目立つほうに行くわけないからね。

 

 ──うちのクラス、一年13組の文化祭の出し物は結局、演劇ってことになった。

 我らがクラスばかりか、東クォーツ高校が誇る絶世のイケメンくんが主演を務めるのだ。探査者であることからアクションシーンもこなせるということで気合の入った台本も描かれ、一同は熱を入れて制作に取り組んでいた。

 

 主役ってことで関口くんも相当に頑張っているんだけれど。それはそれとして、不意に複雑そうな笑みを浮かべて脚本を担当した女子のほうを見た。

 本格的に準備が始まってからここ数日、ほぼ毎日見ている抗議の視線だった。

 

「にしても、いくらなんでも"勇者関口物語"ってタイトルはないと思うんだけど……せめて俺の名前をそのまま出すのは止めとかないかな?」

「毎日言ってるね、関口くん。でもネームバリューを前に押し出す以上はこのくらいのほうが良いんだって。関西屈指のイケメン探査者で、アイドル顔負けのルックスなんだもの! 活かさない手はないわ!!」

「そ、そんなものかな……?」

「ちなみに分かってると思うけど劇中では関口くんの魅力を前面に押し出すシーンが随所にあるからそのつもりでね! さすがに脱げとまでは言わないけど、探査者なんだからスキルじゃなくとも技の一つ二つは披露してもらうからよろしく!!」

「怖ぁ……」

 

 脚本担当さんの勢いの強さがやばい。あの関口くんをタジタジにさせるとかどんだけだよ。出演者側でなくて良かったー。

 そう、俺は裏方だ。主に小道具制作と、あと照明担当ってことになっている。照明ってところでああ、シャイニングか……と思ったんだけど、ちゃんと機材を使用したほうの真っ当な照明担当だったりする。

 

 それっていうのも、うちのクラスの担任であるさやかちゃん先生から直々にNGが出たのだ。

 いくらスキルや称号効果で光るからといって、俺をまるで舞台装置の機材のように見なすのは許さない。そう、彼女にしては珍しくキッパリとした口調で言ってくれたのだ。

 

 

『山形くんに限らず探査者の人達を、スキルがあるから称号があるからと都合よく使うのは決して許されないことです! 日々の暮らしを護るためにいてくれる人達を、私利私欲のために利用しちゃダメ! です!!』

『私も反対。関口くんもだけど、二人のスキルや称号をあてにしておかしな要求をエスカレートさせるのってよくないよ。っていうか普通に法に触れるんじゃない?』

 

 

 ──とまあこんな感じ。梨沙さんまで加わっての主張に、クラスメイトのみんなからは少しばかり惜しむ声もありつつ概ね、その通りだとして賛成してくれたのである。

 

 能力者を、私利私欲のために利用しない。これは大ダンジョン時代の大前提であり、WSOが組織されたのと同時に真っ先に掲げられた基本理念の一つだ。

 ソフィアさんとヴァールが、能力者大戦をきっかけに本格的に構築してきた社会、大ダンジョン時代社会。その精神性が100年経って世界中に浸透したがゆえの、見事なまでのモラルの高さだった。

 

 そんなわけで俺にしろ関口くんにしろ、今回の演劇では当然スキルや称号の使用はしない。

 精々が高レベルゆえの身体能力を用いたアクションとか、裏方での力仕事とかまでだ。前者は関口くん、後者は俺だな。そこまでの制限があってもなお、脚本担当さんは関口くんの魅力を引き出すことに躊躇なく専心するつもりみたいだけど。

 

 ルックスが良いとこういう時に大変だよなー、と生温い目で彼を見る。

 関口くんは困り果てたように苦笑いして、なおも反論を試みていた。

 

「う……い、いやでも。俺のワンマンショーみたいになったらクラスのみんなも面白くないと思うし。なあ、みんな?」

「そんなことないって! 自信持てよ関口くん!」

「探査者勇者かっこいいー!!」

「関口ってだけでも客入り見込めるんだ、やる価値しかねえよ!」

「あ、う……」

 

 クラスメイト達を差し置いて自分だけが目立つ構図になっていることに、さすがに気が引けているみたいだけどクラスのみんなはむしろ関口くんしかあり得ないと満場一致の様子だ。

 まあ、見た目がまず良すぎるし。その上タレントめいた知名度もあり、探査者としての将来も有望だし。目をつけられないわけがない。

 

 才能を授かりまくったがゆえの矢面。

 なんだかんだ言いつつも、関口くんは結局折れてうなずいたのだった。




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