攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
そして恙無く日々も過ぎ、土曜の朝を迎えた。話し合いをする日を迎えたのだ。
早々に俺とリーベ、シャーリヒッタ、ミュトスは仕度を整え、朝飯を食べて首都圏に行こうとしている。
「まあ夕方には帰ってくるから。土産なんかいる?」
「んー、時間があれば買ってきてくれると嬉しいかしら。でもあんた、ホント便利な子ねえ。ここから関東まで一瞬でワープできるなんて、新幹線いらずじゃない」
「旅行とかだとそれじゃあ風情がないけどなあ。行き帰りの道中ってのも楽しいもんだぞ、公平」
「仕事だからやるだけだよ。楽しい旅ならこんなズルっこしないって」
母ちゃんや父ちゃんと軽く話す通り、今回というか俺が空間転移をここまで便利使いするのは、それが必要なお仕事だからってのはある。
たとえばこれが温泉旅行とかだったらショートカットなんかしない。みんなで電車やら飛行機やらに揺られて過ごすひととき、そこまで含めて旅行だからね。
ま、仕事だっていうなら土産なんか考えるなよって話ではあるかもしれないけどそこはさすがに御愛嬌。
用もないのに首都圏とか行く機会がないわけで、だったらたまに行くんなら土産に何か買って帰りたいよねってなるのは自然なことだと思う。
それこそワームホールがあれば即時郵送できるからね。いやー便利だわこれ。
グローバルな世にあって世界を縮めるに等しい権能だよなあーと空間転移に対して感心しつつも、俺はさてと呼びかけた。
「じゃあ行こうか、みんな。忘れ物とかないようにな、あってもすぐに取りに戻れるけど」
「大丈夫です、父様! 今日はオレの空間転移でみんなをエスコートします!」
「毎度毎回コマンドプロンプト様にご厄介になるのも申しわけないですからね! ちなみに帰りは不肖私ミュトスめがみなさまを快適な空間転移の旅にご案内いたしやす!」
今回、ともに行く精霊知能達。シャーリヒッタとミュトスが力強くうなずいて答えてくれた。
彼女達の厚意で今回、行き帰りの空間転移はお任せすることになっている。これまでは結構な頻度で俺がやってたから、それじゃ悪いということで申し出てくれた形だ。
別に誰が使っても大差なくはあるんだけど、この子達もたまには権能を使いたい時があったりするんだろう。
心を、意志を持ったがゆえの意欲っていうのかな。そういうのは俺としても最大限尊重していきたいから、今後頻繁にお世話になろうかなとは思うよ。
そしてもう一人、リーベのほうを見る。彼女ももちろんうなずいてはいるんだけれど、別なところに関心がいっているみたいだった。
ちょっと苦笑いというか、心配そうな表情を浮かべている。
「優子ちゃん、まだ寝てるんですねー……夏休みモード、抜けきれてませんねー」
「あの子はまったく! ……こないだ私から叱ったけどお父さんからも言ってやってもらえるかしら?」
「んー? まあ……休みの日なんだしそんな言わんでも」
「そんなこと言って甘やかすからいけないんでしょう! 公平やリーベちゃんやシャーリヒッタちゃん、ミュトスさんはきっちり起きてしっかり仕事しようって言うのに、あの子だけ甘やかしたりはできないわよ! 良いからやる!」
「お、おう。わかった」
「怖ぁ……」
久々にマジギレモードの母ちゃんだ、思わず足が震えて力が抜けそうになるよ。おっかなすぎる……去年の夏を思い出しちゃった。
あの時は受験そっちのけでゲームしてた俺が悪いんだけど、優子ちゃんもついにライン越えちゃったかあ。くわばらくわばら。
たしかに二学期に入ってからこっち、優子ちゃんの夏休みモードが解除されきってないなーって感じはしていたので仕方ないところはある。
平日も深夜まで起きてる時があるみたいだし、そろそろまずくないかなーって気はしていたのだ。夏休み中の家事手伝いは案外しっかりやってくれていたものの、学校が始まったらまた元の木阿弥っぽくなってるし。
そんな感じでもうぞろ10月も見えてきたって頃だ、母ちゃんの堪忍袋もさすがに限界か。
知らんし。俺は知らんし! 呑気なことを言う父ちゃんにまでとばっちりが行くのをそっと目を逸らして知らんふりをしつつ、リーベの肩を抱いて立ち上がらせる。
「よし行こう。仕事が俺達を待っている」
「触らぬ神に祟りなし、ですねー。夕方、優子ちゃん大丈夫でしょうかー。もちろんフォローは入れますけどー」
「今回はあの子が100悪いからな、無理してまでフォローはしなくて良い……ただ、いつも通りに接してあげてくれると助かるかな」
「もちろんですよー! かわいいかわいいリーベちゃんはー、優子ちゃんの大親友ですからー!」
十中八九、今日帰ってきたら優子ちゃんが萎れてると思うのでリーベと二人、心配はしておく。
まあ、夏休みモードが抜けてないのはあの子自身の責任なので擁護はしないけど、親から説教される以上こちらからとやかく言うことでもないからね。
代わりにその後、落ち込んだあの子にそれとなく寄り添ってあげられればそれで良い。
リーベのみならずシャーリヒッタやミュトスまでもが微笑んでうなずきつつ、俺は朝から修羅場になりそうな我が家からの離脱を決め込むべく自室へと向かったのだった。
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