攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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水面下で動いていたのは敵側だけじゃないって……コト!?

 ワームホールを潜ってホテルの一室へ。もう何度か訪れていることもあってかなり慣れてきた場所、ヴァールの滞在している部屋だ。

 俺、リーベ、シャーリヒッタ、ミュトス。四人揃って問題なく空間転移を果たしたところで、待ち受けていた部屋の主が迎え入れてくれた。

 

「よく来てくれた山形公平、後釜、シャーリヒッタ、そしてミュトス。今日は戦闘になるわけではないが重要な情報について意見交換を行う日だ、よろしく頼む」

「こちらこそよろしく頼むよ、ヴァール。他の人達は?」

「すでに主だったメンバーは全員、警察庁のほうにいる。我々もこの後すぐ向かう予定だ、車ですぐ向かえる距離だからな」

 

 いつも通りの無表情、無感情。真面目でちょっとお堅くて、けれど内面は意外と愛らしい少女なところもある精霊知能、ヴァールだ。

 俺と二、三言葉を交わして、リーベやシャーリヒッタ、ミュトスにも挨拶をする。

 

 今日の話し合いには、俺の仲間達やその関係者が勢揃いする。こないだ関西のほうでサークルと戦った仲間達と、関東のほうでプレーローマ・アンドヴァリと戦った仲間達と。

 今現在、日本で犯罪組織と戦ってくれている友人知人達が集結するのだ。そして改めて情報を整理して今後の対応を考えるわけだね。

 

「アンジェリーナ、ランレイ、神奈川にステラ。御堂香苗にも先んじて首都に来てもらっているし、エリスや葵、シャルロットに神谷もいる。愛知九葉もだ」

「勢揃いだなあ」

「うむ。加えて……ウラノスコーポ絡みの話で、WSO事務総長グェン・サン・スーンが来ている。彼には実のところ、別口で動いてもらっていたのだ」

「……サン・スーンさん!? あの人、帰国されてなかったのか!?」

「日本は一時離れたがな。アメリカのウラノス本社まで行って、捜査の陣頭指揮をしてそこからまた昨日、この地に戻ってきた」

 

 いるだろうなって思った名前が大体挙がっていくなか、最後に予想外極まる名前が出てきた。

 グェン・サン・スーンさん。邪悪なる思念との最終決戦後、神谷さんとともに来日してきた方で説明会や祝勝会にも参加されていたWSOの重鎮だ。

 

 たしか、偽りの神の器を倒した時にお見かけしたきりだったから……一ヶ月ほどはお見かけしてなかったな。てっきりサウダーデさんやベナウィさん、リンちゃんと同じタイミングで帰国したものと思ってたんだけど。

 実際はまだ日本に滞在していて、しかも俺達とは別動の形でウラノスコーポ方面で動いてくださっていたのだという。

 目を丸くする俺に、ヴァールが移動を促しながらも説明してくれた。

 

「移動がてら話すとしよう。サン・スーンは以前からウラノスコーポとのつながりがあってな。その伝手を用いて内情を調べてもらっていたのだ」

「つながりって……ええと、政治的な?」

「うむ。厳密に言えば彼の政治面での師匠だった、マリアベールの前の特別理事レベッカ・ウェインからの継承だがな。あの師弟は早期からAMWに目をつけており、ウラノスコーポの政治面での援助を頻繁に行ってきたのだ。そのこともあり、社の役員達とも懇意にしている」

「そ、そうなんだ。結構古くからのつきあいなんだな?」

「なんなら葵の手元にフーロイータが渡ったのもサン・スーンの功績が大きい。《雷魔導》の使い手を探していたウラノスに、エリスの弟子として捜査官になりたてだった彼女を紹介したのが彼だからな」

 

 ヴァールの部屋を出て、エレベータに乗りホテルのロビーまで向かいつつ話を聞く。

 ウラノスコーポとWSOをつなげた、サン・スーンさんとその師匠だったというレベッカ・ウェインさん。その末に葵さんにフーロイータが与えられるところまでつながっているというのは、まさしく因果の妙って感じで興味深いな。

 

 そんなつながりを活かして、ウラノスコーポ方面の捜査や取り調べにはサン・スーンさんが赴いていたということらしい。

 聞けばアメリカはニューヨーク、ウラノスコーポの本社ビルに乗り込み役員から末端の社員に至るまで大鉈振るいをされたとか。

 うーん神谷さんと言いサン・スーンさんと言い、活力に溢れたパワフルさだなあ。

 

「サン・スーンは辣腕だ。さすがに現役の頃に比べればやることは穏当だが、だからこそウラノスの役員どもには覿面に効いたらしい。特にCEOのエドウィン・ブドレドなどはずいぶんやり込められて大人しくなったと本人は言っている。まあ……要するに老獪だということだな」

「怖ぁ……うちの父ちゃんとはめっちゃ気の合う飲み仲間って感じだったのに」

「政治家になる前は純度の高い探査者で、気性も皮肉屋で露悪的ながら善性の者ではあったからな。あなたの父親は見るからに人の好さそうな御仁なのだ、気に入るのはワタシから見れば理解できる話さ」

「いろいろ……多面的な人なんですねー」

 

 サン・スーンさんを語るヴァールに、リーベが感心して評する。俺も同じ思いだ、なんていうかすごく人間的な、いろんな角度でいろんな見方ができるお人なんだな。

 もちろんあの人に限らず誰しも、俺だって多面的なところはあるんだけれど、サン・スーンさんは特にギャップが激しいように思える。

 

 海千山千の老獪な政治家だったり、パンピーの父ちゃんと意気投合したり。若い頃は気性がまた違うタイプだったみたいだし。

 率直に、人生経験が豊富な方と言えるだろう……そんな人に詰められたんなら、そのCEOさんもタジタジだったんだろうね。




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