攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
ホテルを出て、俺たちを待っていた車に乗り込む。さすがに今回はリムジンとかでなく大型ワゴンだ、目立たなくて助かるよ。
ここから警察庁の施設までは本当に10分かその程度らしく、呑気に駄弁るような距離でもない。そのため無言に近い淡々としたやりとりだけをして、目的地へと問題なく辿り着いたのだ。
「怖ぁ……県警本部より大きい。怖ぁ……」
「公平さん、相変わらず国家権力の威容に敏感ですねー……」
県警本部の3倍くらいはぱっと見、規模が大きく見える威風堂々たる施設の姿に思わず零す。日本の治安を護る警察って組織の本丸だ、パンピー山形くんとしたら怖くないわけがない。
いや後ろめたいこと何もしてないけどね? なんかこう、圧倒されるものがあるんだよね日本人として。呆れたリーベに指摘されるが、こればかりは仕方ないと主張したいところだ。
さておき、俺達を乗せたワゴンは施設内の駐車場にて停まる。WSOのエージェントさんが運転してくださったことに感謝をしつつ降りれば、勝手知ったると言わないまでも慣れた様子のヴァールが先導してくれるのでそれに揃ってついていく。
道中、お巡りさん達とすれ違う度にみんなこの子に敬礼してるのがすげえってなるよ。
「ヴァール、お偉い人だもんなあ」
「世界最高と言って良い指導者ですしねー」
「すげえ妹だぜー」
「どえらい方ですねえ」
「小声でボソボソと、わけの分からないことを言わないでくれるか……?」
リーベやシャーリヒッタ、ミュトスと並んでヴァールをついつい讃える。感覚が麻痺しがちな今日この頃だけど、WSO統括理事ったら本来雲の上も上、天上人そのものみたいな方だからね。
探査者になる前はもちろんのこと、探査者になってからも正直、こんな立場の人とここまで密接なつながりを持つとも思ってなかったもの。奇縁もここに極まれりというか、事実上マッチポンプみたいなもんだけどすごい成り行きだなって思うもの。
後ろでヒソヒソ賞賛する俺達に、当のヴァールは無表情ながらジトッとした目で軽く見てくるが悪い気はしてなさそうだ、ちょっと頬が赤い。
感情表現は穏やかだけど、可愛いところは結構見せるんだよなーと思いつつ付いていけば……エスカレーターで最上階にまで昇り、通路を抜けて何やら広めの会議室に辿り着く。
部屋の中央に、30人くらい座れるだけの長さの円卓テーブルと椅子が置かれている。いかにも会議に使うって感じのテーブルで、椅子もパイプ椅子でなく革張りの、座り心地の良さげなものだ。
そしてそこには、見知った顔がズラリと勢揃いしていた。そうだね、俺の仲間達だね。
「あ、来た。お疲れ様です統括理事、それとヤッホー、公平にリーベ、シャーリヒッタにミュトス!」
「アンジェさん! お疲れ様です、こないだはありがとうございました!」
「アンジェリーナの姉御! へっへっへぇー、相変わらず姉御は元気そうでやんすな〜」
「姉御は止めてって、反応に困るから! でも元気そうで何よりねみんな、こちらこそ先日はどーも!」
いの一番に反応した、黒いロングドレスと黒い帽子、刀を提げた長身の美女アンジェリーナ・フランソワさん。
もちろん相棒のチャイナ服の美女シェン・ランレイさんや耽美系イケメンの神奈川さん、透明だけどたしかにそこにいる精霊知能ステラも一緒だ。座ったまま各人、会釈をしてくる。
その隣にはダンジョン聖教の五代目聖女、神谷さんと七代目聖女のシャルロットさんが座っていてこちらも軽く頭を下げている。
シャルロットのすぐそばには初代聖女のエリスさんと弟子の葵さんもいるね。前もって聞いていた通り、エリスさんがしきりにシャルロットさんを気にしているようでチラチラ横目で彼女を見ている。
若干挙動不審ですよ?
「……あの、初代様。先程から、私に何か?」
「え、あ、いやその! ななななんでもないようハッハッハー!? ただその、アイナの、妹の面影がちょくちょくあるなと思ってなんだか懐かしく思えて!」
「そう、ですか? ……日本の言葉で言えば、私は初代様から見れば曾姪孫。私から見た初代様は、曾祖伯母という続柄になるようですね。偉大なる初代様の末裔などと、私ごときには畏れ多い話ですが」
「そんなことないよ!? まさか今になって、血縁が目の前に現れるなんて思ってもいなかったんだもの。こんな素敵な幸運ってないよ、本当に……!」
「はっはっはー! ホント、奇跡めいた話ですねー」
完全にキョドってるエリスさんが、居心地悪そうなシャルロットさんとしどろもどろながらそれでもコミュニケーションを取っている。
曾姪孫、そうてっそん? あと曾祖伯母、そうそはくぼ? そんな続柄の名称あるんだって驚きがまず先に来るけど、要は妹の曾孫がシャルロットさんで、曾祖母の姉がエリスさんなわけだね。
エリスさん本人や葵さんが言うように、今になってそんな関係性の人と出会えるなんてとんでもない縁だ。
そこに至るまでの道のりは、決して幸福なものではなかったけれど……感激しきりのエリスさんと、むず痒そうにしているシャルロットさんを見れば、それでも巡り会えて良かったよって気にもなる。
互いにきっと、互いが今や唯一の血縁。
悲しくもあり、けれど喜ばしくもある彼女らの姿に、俺はそっと目を細めるのだった。
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