攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
俺達の到着をもってメンバーが揃ったようなので、いよいよ席について話し合いが行われることになった。
司会進行役は警察側の代表としてこの場に参加している島根室長だ。近くには郷田局長さんもいるね。
「──それではただ今より、サークル幹事長藤近功をはじめとする、サークル構成員からの取り調べで新たに判明した事実に関しての情報共有を行います。資料を配布しますので、まずはそちらをご覧ください」
始まりの音頭とともに配られていく資料。結構分厚くて30枚くらいがクリップで留められた紙束を、自分の分を取っては次に回していく。
その一枚目、表紙には簡素にこう書かれている──"犯罪組織サークル関係者の事情聴取を受けての資料"。
何枚かペラペラ捲って一通り確認する。ふむ、ほう、なるほど?
パッと見でもいろいろ、サークルについての興味深い真実が浮き彫りになっているみたいだ。この資料を確認できるだけでも、今日の話し合いは十分に価値があると思えるほどの内容のようだね。
島根室長さんが続けて司会を続ける。
「まずは先日に行われました関西での決戦をもって、犯罪組織としてのサークルが事実上瓦解したことを改めてみなさまにお伝えします。S級認定式以来の迅速な動きはすべて、ご協力くださったみなさまのお力あればこそです。この度は本当に、ご助力ありがとうございました」
「私からも言わせていただきます。ご協力いただきまして本当にありがとうございました。この場にいない関係者の方も含めて今後、落ち着いた段階で改めて公式に感謝状を送らせていただきます」
サークルの壊滅を受けて俺達関係者への謝意を示す。郷田局長さんも続けて立ち上がり深く頭を下げた。
この国を脅かそうと動いてきた、テロ組織による破壊活動をどうにか最小限の被害で食い止めることができたんだ。日本警察の上役たるお二人としては、ひとまず胸を撫で下ろす心地だろう。
にしても感謝状もらえちゃうんだ……しかも関係者みんなに。家族に持って帰ったら仰天されちゃうかも。あの公平がおまわりさんから感謝状もらった!? 的な感じで。
親戚のみんなや爺ちゃん婆ちゃん、夏子さんにも自慢できるなあ。春香やリューさんとはこないだの帰省以来、たまにSNSでやり取りするようになってるしコンタクトも取りやすい。
何より空間転移で山奥だろうと一瞬だしね。
感謝状を受け取った際には一度、親元に行ってみるのも良いかもしれないなと、なんとなしそんな予定を考えてみる俺ちゃんである。
さておき、いよいよ話は本題に入る。礼を終えて着席した島根さんに促され、俺達は表紙をめくり最初のトピックに目を通す。
やはりこの男からだろう……サークル幹事長藤近功。彼からの事情聴取の様子、いわゆる議事録が記されていた。
「まずは藤近の取り調べから報告します。先に言っておくと、取り調べに対して藤近は極めて穏当かつ非反抗的な態度ではありました。あらゆる質問に対して、笑みさえ浮かべつつも一切の否認もせずに答えていましたね」
「笑み……それは余裕から来るのだろうか。あるいは諦念か」
「どちらかと言えば諦念寄りに見えました。議事録にもありますが、元より自分達の活動が最終的には必ず敗れるものであるという認識があったようです。質問事項5番目、6番目をご覧ください」
意外、とは言い切れない様子だったらしい藤近の態度。決戦の時にも何やら笑い声をあげていたけど、たしかに発言からはどことなく諦めというか、自分達の末路について自覚的だった感じはあったな。
ヴァールの問に答える島根さんが、議事録における問答を簡潔にまとめた部分を示唆した。確認すれば紙面上には、以下のような質疑が問答形式で簡潔に記されている。
『問5。サークルという組織の目的はどこにあったのか』
『応答5。サークルの目的は探査者中心主義社会の打破および問題提起、ならびにWSO統括理事ソフィア・チェーホワによる独裁体制への反抗』
『問6。本気でそれが実現できると考えていたのか』
『応答6。考えていなかった。前述の目的は元々個人的な思想からのものだったが、サークルでそれを成そうとは思っていなかった。委員会による介入があり、武力を得たことから実現に向け動いたがそれでも半ばで失敗するだろうとは思っていた。それでも後に続く者達に向け、動く必要があると感じた』
「…………やっぱり。この男、初めから実現可能な目的なんて掲げていなかったのか。決戦の時にもそんなことを言っていたけど」
「自分達のことを"先駆けの一矢"だとか言ってたもんね、あの男。後に続く者達が必ず現れるーとかなんとか。最初から切り込み隊長がしたかっただけ……って、ことかしら?」
「かもしれんな。ワタシを批判する口振りからは、たとえ今は果たせずともいつか自分達の後継者がソレを成し遂げるだろうというニュアンスの発言も見られた」
サークルの──委員会によるテコ入れがあった後のサークルの目的。それ自体は前から分かっていたことなので、ソフィアさん個人への発言も含めてさしたる驚きもないけど。
それらが最初から自分達では実現不可能だと理解した上で、それでも犯行に及んだのは"後に続く者達"のためというのは、いささかならぬ驚きを禁じ得ない。
大ダンジョン時代社会の否定にせよ、ソフィアさんという100年の統治者の否定にせよ。ソレを掲げるのは自分達であっても果たすのは別の誰かだろうという確信があったのか。
そしてその誰かのために、彼らサークルが先陣を切った、と。
要は今この時点で勝ち切るのではなく、自分達に似通う思想の持ち主を焚きつけるための犯行だった。
パイオニア、とも言えるかな。まさしく先駆者になりたがっていたのが、サークル幹事長たる藤近功ということなのだろう。
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