攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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エリスが変態ストーカー被害者仲間を見る目でヴァールを見ている……!

『問7。なぜそのような思想に至ったのか。チェーホワ統括理事に個人的な恨みでもあったのか』

『応答7。恨みは一切なく、むしろ人間として心から尊敬している。人として生まれたからにはああなりたいとさえ思っている。しかしだからこそ、そんな偉大な存在がいつまでも一代社会を支配しているようでは人類に先がないとも考えた』

 

 

 ──資料を読み進めていくうちに分かってくる、サークル幹事長藤近功の思想、思考。

 それに伴い見えてきたのは、やつがある意味、ソフィアさんとヴァールに対してリスペクトしていたというまさかの情報だった。

 

 いや、思えば決戦の際にも似たようなことは言っていた。大ダンジョン時代社会を構築し、世界を停滞させた張本人として名指しで否定しつつも、反面彼女に対して偉大な守護者と称したり女帝と賛美したりと、どことなく矛盾した物言いをしていたのは記憶に新しい。

 その時は非難ばかりが耳につき、何を言っているんだこいつはと思ったんだけれど。どうも本気で、本音で彼女達に対してそんな想いを抱いているみたいだな。

 次の応答を見る。

 

 

『問8。それで大ダンジョン時代社会の転覆を目論んだのか?』

『応答8。チェーホワ統括理事という、大ダンジョン時代そのものとも言うべき存在を乗り越えるため、そうでもしなければならないと考えた。それも、先程も言ったが自分達では不可能だろうから、今回の行動を通して後世の者達に少しでも奮起を促したかった。我々の行いがいつの日か、どれだけの時間と犠牲を払ってでも、彼女を倒してくれる誰かに繋がるものと信じている』

 

 

 こちらも、やはり思った通りの内容だ。

 藤近は明確にWSO統括理事ソフィア・チェーホワを尊敬すべき偉人として見つつ、しかし同時に世界を停滞させているモノ、いつか人類が乗り越えるべき存在としても認識しているんだな。

 そしてそれを成すにあたり自分達そのものでは不可能と考えて、せめて次代、自分達の後を継いでくれる者の出現を夢見て無謀な蜂起に至ったのだ。

 委員会の力を借りてまでして、サークルは大ダンジョン時代からの脱却を望んでいたということか。

 

 ここに至り、俺やリーベ、シャーリヒッタ、そしてヴァールは顔を見合わせた。困惑と驚き、そして何より納得しつつだ。

 なるほど、藤近とサークルという組織はそういう存在だったわけか。三人、思い思いに口にする。

 

「えーっと、つまり藤近はソフィアのことを、人類が乗り越えるべき壁として見ていた、ってことですよねー?」

「100年続く大ダンジョン時代が、ずっとソフィアによって統治されている現状を停滞と呼んで……そこから脱却することで、人としての進歩が成ると思っていた、か。興味深いですね公平サン、そんなのまるで」

「まるで……人から見た概念存在のようなもの、だよなあ」

 

 藤近の思うソフィア・チェーホワへの印象、想い。それは極めて小規模ながら、まさしく現世存在と概念存在の関係性に酷似しているように俺達には思えていた。

 

 現世に生きる知的生命体が、畏怖や畏敬の対象としつつといつかは必ず乗り越えなければならないモノ──いつかの巣立ちにおける、ソレは神であり悪魔であり、親のようであり師のようであり。そして何より障壁であるモノ達。

 それが概念存在というモノの本質であり役割だ。

 

 それを踏まえると、藤近から見たソフィアさんの像は、極めて概念存在に近いものを感じるんだよね。

 大ダンジョン時代を統べる存在に対しての敬意や畏怖、リスペクトと同時に裏腹の、いつか彼女を超えて先に進まなければいけないというある種の使命感。

 そんなものがきっと、藤近功という男を突き動かしていたんだろう。

 

 正直なところ、それであそこまでやれてしまえるのは妄執に近いと言う他ない。

 いくらソフィアさんに複雑なコンプレックスを抱いていたとしても、個人的な面識も何もあったもんじゃない人を相手によくテロ組織を成立させるまで至ってしまえたもんだよ。

 

 エリスさんも同じ考えに至ったのか、呆れた様子でヴァールを見据えた。

 ある意味、彼女が一番この手の話に共感できるかも知れない。すでに妄執の権化とも言うべき男に、80年もの間付け狙われていたんだものな。

 

「思い出すのも忌々しいですけど、あの火野を彷彿とさせる執着ぶりですね……変態ストーカー被害者の会でも結成します? ハッハッハー」

「冗談でも止めてくれ、おぞましい。ワタシのことを過大評価し過ぎなのだ、この手の連中はどいつもこいつも……誰もが精一杯成すべきことを成しているのと同じように、ワタシもただそうしただけだと言うのに」

「それでここまでやっちゃえるのが、ソフィアさんたる由縁なんですよ。ファファファ! ま、やってることはともかく人を見る目だけはあるのかもってとこかね、その藤近ってのもさ!」

 

 倶楽部幹部、火野源一。藤近とはある意味、類友とすら呼べるだろう敬愛する存在への行き過ぎた執着、妄執。

 長い付き合いだからって二人して、変なのに絡まれすぎである。マリーさんが言うように好意的に解釈するなら人を見る目があるってことになるんだろうけど……

 

 付きまとわれるほうからすれば冗談じゃないよね。

 せめてまっとうなやり方で執着してくれればと、軽くそんなことを思っちゃうよ。




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