攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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コメンテーター山形によるプレーローマ・アンドヴァリ評

 ダンジョン聖教過激派の目的、すなわちダンジョン聖教による実質的な世界の支配とそのための"神"の降臨。

 しかもアレクサンドラがその依代になる、というのは既定路線だったようで、つまりは現状のプレーローマ・アンドヴァリと化したやつの姿まで含め、事態は概ね過激派のシナリオ通りに進んでいるらしかった。

 

「おそらくサークルは最初から利用されているだけに過ぎなかった、ということですね……決戦の際、首都圏のほうでアレクサンドラが動いていたことからもそれは察せられます」

「なんのために首都圏にいたのか。そしてまた、なぜサークルとの決戦に参加していた山形さんを狙ったのか。そこまではさすがに分かりかねます。心当たりはありますか、山形さん」

「そう、ですね……」

 

 もとより分かっていたというか、薄々気付けることではあったがやはりサークルは捨て駒に過ぎなかった。それは分かる。

 

 認定式の時も思えば、サークルばかりが出張っていて過激派側の戦力なんてろくにいなかった。

 近くの自然公園に集結してはいたけれど、それにしたって戦線に加わる気もなければ、なんならアレクサンドラはすべてを捨てて一目散に逃げたからね。

 様子見程度に少数連れてきて、言いわけ程度に助っ人を噛ませて、後は高みの見物くらいのノリだったんだろうなって感じはしているよ。

 

 それゆえに先日のサークルとの決戦においても、やつら過激派は参加せず首都圏にいたんだな。

 ただ一点、そこまで徹底して自分達を蚊帳の外に置いていたはずなのに……なぜ、ピンポイントで俺だけを狙ったのか。そこが郷田さん的には気になるところみたいだ。

 問われてうーんと唸りつつ、考える。

 

 これまでのやつとのやり取りから察するに、まず間違いなく委員会側から何か、俺について吹き込まれているっぽくはある。

 じゃなかったらあの状況下でソフィアさんじゃなく、俺を狙う意味が分からないもの。認定式の時にも俺が妖怪相手に大立ち回りしたのを知っている様子だったし、そのこともあり俺の実態をたしかめたがっていたってところかな、予想としては。

 

 だけどそれを、どこまでどんな形で示したものか。ことはシステム領域とか概念領域が絡む話でもあるし、迂闊に事情を知らない人に詳らかにはし辛い。

 軽く演算して、慎重に話し始める。肝心なところはぼかす感じでいこうか。結局推論になるから、多少ファジーでも通るだろうし。

 

「やつは委員会から俺についていろいろ、吹き込まれていたみたいでした。元々倶楽部との戦いでも、その、悪目立ちしていたこともあって。幹部の何人かからは、極端に敵視されていましたし」

「火野と鬼島の二人ですね。どちらも取り調べのなかでは、特に山形さんを特別危険視している節が見られました」

「まあ、そうですね。それでほら、アレクサンドラって嘘か本当か、火野の実の娘らしいじゃないですか。父親の危険視していた俺ってことで、その力を試したかったとかもあったのかもしれません」

「話は聞いています。あの女がまさか、火野とそんなつながりを持っていたとは……火野からも改めて取り調べを行いましたが、本人は目を丸くしてそんなまさかと驚いていました。何につけ嘲りを浮かべていたあの男が、珍しく唖然とした様子でしたね」

 

 倶楽部や委員会がやけに俺を警戒していたのも事実だし、とりわけ火野なんてのはアレクサンドラとのまさかの血の繋がりがあるし。

 そうした部分での因縁もあって、俺を狙ったんじゃないかなあと言うと、室長さんも局長さんも納得したみたいでうなずき、追加で現状の火野について話してくれた。

 

 案の定、火野老人自身は知らなかったんだな……そりゃそうか。40年も前に、行きずりに近い形で一夜だけ過ごした女性との間にできた子供がまさかの六代目聖女だなんて、いくらなんでも荒唐無稽に過ぎるもの。

 しかもその子供が自分の同僚として、倶楽部設立の企画とかにも関わってるだなんて。邪悪で陰湿な老人ではあったけど、その驚きに嘘偽りはなさそうだってのは納得できるよ。

 ヴァールがふむ、と顎に手を当てつつ意見を発する。

 

「そういった経緯もありつつ、そして山形公平を誰にも邪魔されないタイミングで排除できる機会が訪れたのでそうした、といったところか。プレーローマ・アンドヴァリと自称するその力、あなたとしてはどうだった?」

「ん……まあ、出力自体は対処できなくはないものだったと思う。でも空間転移とかスキル無効化とか組み合わされると、S級クラスのなかでも相当な上澄みじゃないと大分厳しいかな。あとアレだ、洗脳能力」

「シャルロット側の騎士団を意のままにしたという力か」

「そうそれ。アレ、見た感じ特定条件付きだから誰彼構わずってわけじゃないみたいだったけど……悪用されると厄介だとは思ったよ。実際、そのせいでやつを取り逃がしちゃったし」

「見事に人質を取られちゃいましたもんねえ」

 

 プレーローマ・アンドヴァリについての戦闘力を聞かれて普通に答える。現状、やつとまともにやり合ったのが俺しかいないからね。情報共有は大切だ。

 特に権能周りが厄介な印象が強かったな、あの女。戦闘力自体はたぶん、S級のなかでもトップクラスならどうとでも対応できそうな範疇だけど権能による補助がかなり質が悪い。

 

 空間転移に、スキル無効化。特にスキル無効化は探査者殺しと言ってもいいふざけた権能で、こんなのされると普通のオペレータはどうしようもないよ。

 そして加えての洗脳能力。俺の、コマンドプロンプトとしての能力で見た感じとある条件でのみ適用できるタイプだったんだけど、あれが個人的には一番やりづらいよ。

 葵さんが言うように、人質戦法が成立しちゃうからね。




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