攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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聖女同士、別室、少しの間。何も起きないわけもなく……

 委員会に屈する形でAMW計画を捻じ曲げ、しかもその過程で実の両親さえも軟禁したというエドウィン・ブドレドCEO。

 どういった心理の下にそんなことをしたのか、それは分かりかねるけれど……結果としてはそのせいでサークルに四つものAMWが渡り、テロリズムに使われてしまったというのが現状だ。

 

 このへんについての動機や経緯は、今後徹底的に取り調べをするなかで明らかにするのだとサン・スーンさんは笑って言った。

 人の良さそうな笑みを浮かべつつも、細めた目の奥底は一切笑っていない。老獪さと怖さを併せ持つ、まさしく海千山千の政治家らしい表情だ。

 

「エドウィンなり役員なりどもにもそれ相応の事情や経緯、理由というものがあるのでしょうが……それでテロ組織にAMWを渡すというのはあまりにも罪が重い。今後、じっくりと連中のすべてを詳らかにしていくことになりましょうなあ」

「当然ながらAMW計画も凍結だな。それが一時となるか永久となるかはともかくとして、今現状の委員会の息がかかったウラノスに、スキルブーストジェネレータ技術などとてもでないが使わせられるものではない」

「無論、件のテクノロジーに関する資料はすべて押収済みです。アメリカ当局ならびにWSOの専属チームによる精査の後、チェーホワ統括理事はじめ理事会にも報告されますのでそのおつもりで」

 

 ひとまずのところは今後の捜査結果待ちってことだろう。つまりは今回の報告は、いわばニュース速報みたいなものなんだろうね。

 より詳細な取り調べの内容等については今後、何かある度にソフィアさんやヴァールに報告が行くみたいだ。それを受けて何かしら、俺のほうにも教えてくれることがあるかも知れない。

 

 システム領域に関わる話なら、そのへんは情報共有してもらったほうが良いからね。

 特にスキルブーストジェネレータについては、スキルを増幅している関係上間違いなくこちらの耳にもいろいろ入ってくるだろうし。

 俺個人としても気になるんだよね。どういう構造でスキルの出力を後付け装置で増幅させているんだか。

 

 気になる話は後のこと、として。

 これにてひとまずの議題をすべて終わらせたみたいで、島根さんと郷田さんがふうと息を吐き、人心地をつけつつ話し始める。

 当たり前だけど結構長かったな……もう昼前だよ。

 

「それではこれでひとまず議題すべてを終わらせたく思います。お疲れ様でした」

「この後は昼食を挟み、午後14時から島根室長と私と統括理事、特別理事と事務総長、ならびに神谷司教と聖女様で午前に共有した情報を巡る総括と今後の連携についてお話したく思います」

「他の方は解散という形でお願い申し上げます。本日はお忙しい中ご足労いただき、まことにありがとうございました」

 

 一部、組織の重鎮を除いては全員解散となり、一気に弛緩した空気が流れる。はー、やっと終わったー。

 いろいろ、本当にいろいろな事実が分かったな。新しい情報もあれば前に得た情報の裏が取れたりした話もあったし、俺自身、改めてプレーローマ・アンドヴァリの今後について予測を立てられたところはある。

 実に有意義な話し合いだったと思うよ。

 

 さて、後は飯でも食って帰るかー、なんだけど……その前に実のところ、シャルロットさんに用事があるんだよね。

 これについてはヴァールやリーベ、シャーリヒッタにミュトスとも相談の上で話そうと決めていることで、つまりはシステム領域からの提案だ。シャルロットさんはそうとは知らないままだけどね。

 

 ヴァールに目をやりうなずけば、彼女も俺を見てうなずく。

 そうして彼女は、シャルロットさんとそこに加えて神谷さん、エリスさんに話しかけた。

 

「シャルロット。少し良いだろうか? ああ、神谷もできればいてほしい、エリスもだ」

「? どうされたのですか、統括理事。聖女のみを集めて」

「ダンジョン聖教に関わる話……アレクサンドラに関することですか!?」

「ハッハッハー、どうどう神谷くん。いきり立つのは止めとこうねー」

「怖ぁ……」

 

 シャルロットさんはともかく神谷さんが相変わらず沸点低くて怖い。アレクサンドラの件に決着つくまでは、この人も気が気じゃないんだろう。

 苦笑いしているエリスさんがそれをなだめる中、ヴァールは無表情無感情の表情のままクールに受け答える。対するシャルロットさんも無表情だから、なんか無機質な見映えになってるなあ。

 

「いや、何。こちらからシャルロットの現状に対して、いくらか提案したいことがあるのだ。場所を移しても構わないか室長、局長。余人を交えず話がしたい」

「もちろんです。防音室がありますのでこの後、ご案内します」

「提案……ですか? それは、WSOとしての?」

「そうとも言えるしそうでないとも言える。あるいはごく個人的な、ワタシや山形公平からの余計な世話かもしれないな」

「山形、さん?」

 

 目を丸くして俺を見るシャルロットさん。統括理事と歴代聖女の話し合いになんで俺が? みたいな困惑と緊張が渦巻いている感じだ。

 まあ、そうなるよね。いかにごく個人的な、余計なお世話でしかない話なんだよと言ったところで面子が面子だからね。緊張しないわけもない。

 

 ただ、そう身構えないでもらいたいところではある。これについては本当に、あくまでも提案でしかないんだから。

 それでも、この提案を呑んでくれると俺としては嬉しいかな……と。隣に並ぶリーベを見つつ、俺は思った。




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