攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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騎士団長、騎士団長?……つ、捕まってる

 ──シャルロットさんの完治と、それに伴うパワーアップならびにダンジョン聖教との事実上の和解は、すぐに他の方々にも伝えられた。

 別室に移ったと思ったら、戻ってくるなり突然矢継ぎ早にいろいろ進展したため、当初は誰もが戸惑いと混乱をもって迎えたんだけれども。シャルロットさんが陥っていた状況とそれからの脱却についてまで説明すると、みな納得してくれていた。

 

「シャル……あんた、なんでそこまで頑張れちゃうのよ。たった一人、誰にも苦しみや痛みを言わずに」

「シャルちゃん……! 良かった、ホントに良かったよう……!!」

「アンジェリーナ、ランレイさん……」

 

 特にアンジェさんとランレイさんのショックと喜びようは大きく、知らぬ間に助かっていた少女の無事を祝いつつも複雑な面持ちでいる。

 今までともに戦ってきた仲間が、実は無間地獄のなかで尽き果てそうな命を孤独に抱えていました。なんて酷い話に気付けなかったことへの忸怩たる想いもあるのかも知れない。

 正直そこはシャルロットさんの忍耐力と覚悟、腹の括り方が異常だったんだから仕方ないと思うんだけどね。

 

 他にも愛知さんが一層、シャルロットさんを護ろうと気炎を吐いたり。激高する神谷さんをマリーさんとサン・スーンさんが宥めたり。

 はたまたシャルロットさんを巡るアレコレで日本政府と正式な会談をすべくヴァールが島根室長、郷田局長を通してあくせく動いていたりと、そこからも様々な動きを見せたものの。

 その日の目的であるところのサークルや過激派への対応と、シャルロットさんの治療というのは概ね果たせたので俺は、そこはかとない達成感なんか覚えつつ昼飯食って帰宅したわけだ。

 

 ──そしてそこから数日後。

 学校終わりの放課後、俺は首都圏に向かいアンジェさんチームに随伴する形でダンジョン探査に参加していた。

 サークルのアジトの跡地にあったもので、やつらについての手がかりがないか攻略ついでに探査するのだ。ダンジョン自体の難易度はE級の、特に何も手こずる要素のない小規模なものだった。

 

「ぴぎゃぎゃぎぎぎぎいいいい!!」

「《剣術》、竜断頭・ベイオウーフ────っと。技すら使う必要もないんだけど、まあ身体の調整にはね」

「ぐぎぇぎぇぎぇぎぇぎぇぎぇぎぇぴー!!」

「《闇魔導》! 双魔星界龍撃拳!! ……いかなる相手にも手を抜かず全力で応じるべし。これぞ我らシェン一族は始祖カーンより伝わる第一の教えなり!!」

 

 土塊の部屋の中、襲い来るモンスターを難なく撃退してアンジェさんとランレイさんが残心の構えを取る。

 たとえ格下相手であっても油断はしない、探査者として戦士として丁寧な姿は参考になるね。

 

「お見事です、二人とも!」

「どんな相手にも全力ってのは、さすが骨から戦士って感じだな……俺にはまだまだ至れん心構えかもしれん」

「アンジェリーナもランレイさんも、やはり相当実力が向上していますね。愛知九葉、あなたの目からみて二人はどうなのです? S級への見込みは、ありえますか?」

「もちろんあるさ、シャルロット。こと近接戦闘および対人戦においては彼女達はすでに、S級探査者の領域間際だと言っても良い」

 

 それを離れたところから見る俺と神奈川さん、ステラ、そしてシャルロットさんと愛知さん。

 そう、いつもの面々に加えて今日はこちらのお二人も一緒に来てくれていた。

 

 これはヴァールによる采配だ。日本政府とWSOがダンジョン聖教について話し合いをした末、まとまった話だと言う。

 シャルロットさんがこれまでにしてきた暴走行為の数々。日本としてはそれをもってことが片付き次第彼女を国外追放するつもりだったんだけど、事情を知ったヴァールが間に挟まったことでそれが一変したのだ。

 

 

『ダンジョン聖教は今後、WSO統括理事が直接監査監督する形で対サークル、対過激派戦線に加入する。それをもって日本政府との間にあった密約は解消とし、七代目聖女はペナルティとして日本政府に対して謝罪と賠償責任を負うものとする』

 

 

 ──と。要はダンジョン聖教をWSOが面倒見るから日本政府との間にあった密約は破棄、よって国外追放の件も無し。

 ただ表沙汰にはできないけれどシャルロットは日本政府にしっかり詫びを入れた上で諸々の賠償責任を果たしなさいよと。そういう形の盟約に落ち着いたという。

 

 これに日本政府は多少反発を見せたようだけど、そもそも表向きには存在してない密約についての因縁を引っ張り続けると、むしろ自分達が不利になりかねないと早々に判断したそうで。

 ダンジョン聖教どころかWSOともつながりが持てるなら政治的な長期視点で考えるとそっちのほうが良いってんで、割とあっさり呑んだという。

 

 あ、でも認定式の日に俺に斬り掛かってきた騎士団長の人は密約解消とともに普通に警察に連行されていった。

 鉄火場とはいえ素で人間相手に危害を加えようとして、しかもその場面を結構大勢に見られてたからね。俺としては大事にする気がないもんで不起訴処分にはなりそうなんだけど、それはそれとしてこってりと絞られているとのことだった。

 

「本来ならば、私もこの国の法による裁きを受けるべきなのですが……」

「さすがにダンジョン聖教聖女を、表沙汰にはできない密約が絡む事件で訴えるのは日本としても具合が悪いからな。そのあたりも含め、統括理事がいろいろ便宜を図ってくれているようだ」

「申しわけない話です。せめて今後は少しでもお役に立てるよう、力を尽くさねばなりません」

 

 愛知さんに向け、これまでの償いの意志を見せるシャルロットさん。この人はこの人で、アレクサンドラを巻き添えに敵構成員を半殺しにしちゃったからね。

 ある種の政治的判断、超法規的措置によってなあなあで済まされそうなところはあるんだけれど、本人としては罪悪感があるみたいだ。しきりに自身の責任を意識し、口にしていた。




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