攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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あのアルマをも絶句させる、ステラの提案とは……!?(煽り文風)

 ダンジョンを出て早々、ステラからの呼び出しを受けて神奈川さんともども離脱する。

 空間転移で首都圏、認定式あたりからWSOが貸し切りにしているホテルの一室……空間転移持ちが自由に行き来できるようにとヴァールが用意してくれている空き室へとお邪魔していた。

 

「クーラー入れようか。外はまだまだ暑いから、涼しくできるところなら涼しくしないとな」

「あ、はい。ありがとうございます」

 

 汗ばんでいる神奈川さんが、到着するなりすぐさまクーラーのリモコンを探し出しては電源を入れた。9月も下旬とはいえ、暑さ的にはまだまだ全然猛暑だからね。

 こういう時、探査者ってのは肉体的にもチート入ってるなあって思う。アンジェさん達と比べても明らかに、聖剣を持ってない時の神奈川さんだけ暑さに対して苦労してそうだったもん。

 

 俺に至っては神魔終焉結界による補助を受けつつ、因果操作で気温調節してたりするからね、地味に。

 そんなわけで神奈川さんはそこそこ汗塗れで、クーラーをガンガン効かせて涼しそうにしていた。

 

「ふぅー……そろそろ涼しくなってくれんもんかな、この暑さも」

「そうですね……なんでしたらシャワーとか浴びてきたらどうです? ステラも、さすがにそこまで急ぎの話じゃないだろうし」

『そうですね。千尋、一回クールダウンしてきて。落ち着いて話をしたいの、私達についてのとても大切なことを』

「あ、ああ。じゃあ、遠慮なく」

 

 さすが神奈川さんはイケメンだから、汗に濡れてもやけに爽やかで不快感はないわけなんだけど。

 それはそれとして一人だけ明らかに消耗してるのに落ち着きもさせずにすぐさま本題ってのもよろしくない。

 

 そんなわけで一度汗を流してさっぱりしてきたらと言ったところ、ステラも同意してきた。

 重ねて二人にとって大切なことと言うあたり、はてさてどういう話をするつもりなんだろうな。気になる。

 

 神奈川さんが風呂場に向かう間、残る俺とステラ。

 珍しい組み合わせだな……一応同じシステム領域の存在ってことで関係性はあるんだが、こうしてサシになるのも初めてだから微妙に緊張する。

 一方でステラのほうは落ち着いた様子で、神奈川さんの向かった先を愛おしそうに見つめているんだからこの子も筋金入りだよね。

 

『……千尋が戻ってきたら、改めてお話させて欲しいのですが、コマンドプロンプト様。先にさわりだけお伝えしておきたいのですが構いませんか?』

「えっ。あっ、うん。良いよ、全然。ステラが良いなら」

『ありがとうございます。今現在、私が管理して千尋に預けている聖剣についてなのですが……今後プレーローマ・アンドヴァリやサークル残党との戦いを見据えた上で、提案があります』

 

 そんなステラから話を振られて、若干しどろもどろに応える。仕方ないじゃんよ、普段は神奈川さんとセットな子とのソロトークだもんよ。

 まあ、真面目な話だからすぐに切り替えるけど。俺は彼女の言う"大切なこと"について、神妙に耳を傾けた。

 

『単刀直入に言います。私は、近いうちに────と思っています』

「…………なに?」

『その上で精霊知能として────します。そうすれば、千尋は────はずです』

「ちょ、ちょっと待って! ステラ、自分で何を言ってるのか分かってるのか!?」

『もちろんです。ジョークでこんなこと、あなた様にお伺いを立てたりはしません』

 

 そこから話し始める彼女の、話の内容。

 それは最初は理解不能なものだったが、次第に理解が及ぶにつれて、目を見開き驚きを顕にせざるを得ないほどの衝撃を伴うものだった。

 

 信じがたいことを言っている。

 コマンドプロンプトとしての私でさえ予想だにしていなかった提案を、この、目の前の精霊知能は打ち出してきていた。

 本当にとんでもないことだ……脳内のアルマでさえ、絶句しているのだから。

 

 

『馬鹿げてる……こいつ、この精霊知能。完全にバグってるんじゃないのかこれ、こんな発想。いくら神奈川千尋とやらを愛しているからって、仮にもシステム領域の一員がするようなことじゃないだろ……』

 

 

 食以外のことでこいつをここまで動揺させるなんて、ワールドプロセッサでもできなかったことなんじゃないのか? ある意味すごいが怖ぁ……などとも言っていられない。

 思考回路に異常を来しているんじゃないか、というアルマの軽口を馬鹿にできないほどにステラの提案は常軌を逸している。

 

 もちろん彼女は正気だってのは分かるんだけど、だからこそ余計に衝撃的だ。ここまでのことになるのか、人を愛するという感情で。

 正直なところ、俺個人はまだ恋愛的な感情については未経験だからあまり良くわからない。だからステラの在り方、決断に軽々に肯定も否定もできないけれど、それでも慎重に尋ねる。

 

「ステラ……それは、単なる思いつきで言ってるんじゃないんだな? 本気で、神奈川さんのためになると確信して言っているんだな」

『はい。私と千尋の未来を考えた時に、今まさにここが分水嶺だと信じています。人間の千尋と、精霊知能の私。本来ならば巡り会えるはずもない私達が、それでも出会えたことに意味と価値を持たせるのなら──私達を繋げてくれた《聖剣》にこそ、すべてを捧げたいと思うんです』

「…………そう、か」

『コマンドプロンプト様。どうか見届けて、見守ってください。私と千尋の、見出す答えを』

 

 固く、重い決意。神奈川さんは未だ知らないのだろうけどステラはもう、完全に覚悟を決めている。

 彼のために。そして自分のために。これから先の未来を二人で並んで歩むために、彼女はあえて俺を巻き込む形で神奈川さんと話し合うつもりなんだな。

 

 そうして見出した答えが正解かどうか、決める権利はきっと俺にはない。

 ステラと、これから判断するだろう神奈川さんの二人が決めていくことで。俺はただ、それを見届けて見守るだけなんだろう……ここまで考えてなんか、仲人っぽいなと思ったのは内緒だ!




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