攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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まるで娘の独立をハラハラしながら見守る両親みたいだ(直喩)

 信じがたいほどに衝撃的なステラの決意と覚悟。

 それを受けて俺は、正直複雑な気持ちになりつつもやはり、最終的な判断は神奈川さんとステラの二人に委ねたいと考えていた。

 凛としつつもやはり不安げな彼女の表情を、和らげるように優しく語りかける。

 

「どんな形であれ、二人で話し合って決めることならそこに口を挟む余地はあんまりないからね……もちろん、他者に迷惑をかけたり自分達を粗末にするようなことでない限りだけど話は分かった。できる限り、やってみると良いよ」

『ありがとうございます、コマンドプロンプト様。この提案はすべて、千尋と私がみんなと一緒に生きていくためのもの。誰にも迷惑をかけるつもりはありませんし、もっと言うならこれは確実に世のため人のためになるはずです』

「あはは、期待してるよ……リーベやシャーリヒッタ、ヴァールがこれを聞いたらどう反応するかが気になるけどね」

 

 要は人に迷惑をかけず、自分達が最大限幸せになれるならその選択も良い。俺のスタンスにホッとした様子でいろいろ打ち明けてくれるステラ。

 まあ、上手くいけば悪いようにはならないだろう。たしかに第三者に対して極端に迷惑がかかるような話でもないし、神奈川さんとステラの二人ならきっと良い振る舞いをしてくれるだろうし。

 

 ただ、精霊知能三姉妹がこのことを知ればどうなるかってのはちょっと不安要素ではあるかな。

 特に社会的立場のあるヴァールの視点は重要で、あの子から見て"その選択"をした二人がどう評価できるかってのは、ダイレクトに今後の現世社会での活動に響いてくるんじゃないかなとさえ思える。

 

 リーベやシャーリヒッタは個人として神奈川さんとステラの行く末を案じるだろう。前例のない話だし、もしかしたら今後他の精霊知能の中にも同じことをしようとするモノもいるかも知れないし。

 ……とはいえ、こればかりはステラが特例中の特例だろう。《聖剣》と神奈川さんの存在ありきでの願望と発想なんだから、類似した状況が今後、起こるかって言うと可能性は低いからね。 

 

「ちなみに。ワールドプロセッサにはこのことはもう報告済みだったりするのか?」

『はい、先日謁見いたしました。話し合いの末に条件付ではありますが承認いただき、その上で実際にことを起こす段では御方からのサポートをもいただけると聞いております』

「そっか。まあ、あいつが知ってて許可を下ろしてない限りは俺を呼んだりしないよな」

 

 当たり前だけどすでにワールドプロセッサには報告と相談済みか。アイツから特に俺に向けての報せとかはなかったけど、話の内容が内容だけにしづらかったのは理解できる。

 ステラから直接、俺に話をしないことには言えなかったんだろうな────今、タイミングよく更新された称号からもそれは伺えるよ。

 

 

 名前 山形公平 レベル1111

 称号 決意に敬意を、選択に言祝ぎを。裁定するは我らに在り

 スキル

 名称 風さえ吹かない荒野を行くよ

 名称 救いを求める魂よ、光と共に風は来た

 名称 誰もが安らげる世界のために

 名称 風浄祓魔/邪業断滅

 名称 ALWAYS CLEAR/澄み渡る空の下で

 名称 よみがえる風と大地の上で

 名称 目に見えずとも、たしかにそこにあるもの

 名称 清けき熱の涼やかに、照らす光の影法師

 名称 あまねく命の明日のために

 名称 風よ、遥かなる大地に吼えよ/PROTO CALLING

 名称 神魔終焉結界─天地開闢ノ陣─

 

 称号 決意に敬意を、選択に言祝ぎを。裁定するは我らに在り

 解説 これもまた新たな可能性、ならば見定め見守ることこそが我々の役目

 効果 なし

 

 《称号『決意に敬意を、選択に言祝ぎを。裁定するは我らに在り』の世界初獲得を確認しました》 

 《初獲得ボーナス付与承認。すべての基礎能力に一段階の引き上げが行われます》

 《……精霊知能も今や一個の生命体ならば、個々人の選択の積み重ねによって歩む道が変わるのは道理。ただ信じて見守りましょう、コマンドプロンプト》

 

 

 案の定ながら、ワールドプロセッサはステラを黙認というか見定める構えのようだ。俺にも同じスタンスを推奨してくるあたり、結構期待している節も見受けられる。

 精霊知能の在り方に一石を投じるものな。ステラの今後次第ではシステム領域に新たな風が吹くことさえ、あるかも知れない一大事だ。

 

 魂を得、もはや生命体ともなった俺達システム領域のモノ。ならばその先にある道筋や可能性もどんどん広がっていくべきかもしれない。

 リーベやシャーリヒッタ、ヴァールがあるいはそうだったようにね。ワールドプロセッサもコマンドプロンプトも、その行く末を見届けるばかりだよ。

 

 ──と、ステータスを確認していると神奈川さんが戻ってきた。ちゃんと用意されていた着替えに身を包み、ドライヤーで髪を乾かし終えているのか水も滴るわけでなく落ち着いた格好でキッチンに向かい、冷蔵庫を開けている。

 そしてオレンジジュースをコップに注いで一息に飲んで、俺たちの座るソファにやってきたのだ。

 

「ふぃー……悪い、待たせた二人とも」

「あ、いえ。お帰りなさい、神奈川さん」

『お帰り、私の千尋。ちょっと落ち着いたら話し合い、始めよっか』

 

 ステラの促しにうなずく。神奈川さんはまだ、ステラの提案を知らないんだよな。

 知ればどんな反応をするのか。そこばかりが気にかかる俺ちゃんであった。




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