攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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人を褒める時はやたらストレートに直球をぶつける男、山形くん

 クラスメイトに探査者の実態をちょろりと語りつつ、作業を進める。

 最近は探査業のほうであれやこれやと問題が山積みで、しかももうじきすると最終決戦の予感すらしてきたってんでどうも張り詰めがちなんだけど……だからこそ、こうして日常を過ごすひとときがホッとするよね。

 

 みんなと和気藹々と段ボールを加工する傍ら、黒板の前を陣取っているクラスの中心人物達を見る。

 つまりは演劇の主役にして勇者関口役の関口くんとその友達、リア充陽キャ軍団の皆さんだ。

 

 今回、劇の脚本とかネタ出しはおおむね彼らグループが行っている。さすがのパリピ集団と言うべきか、ものすごく王道でコテコテのシナリオを出してくれているようだね。

 シンプルに魔王とやらを勇者が倒し、友情や正義、信念の大事さを説くという……都合45分程度の尺のなかでずいぶんカッチリと収めた内容みたいだった。

 

「はい、そこで関口くんがセリフ、どうぞー」

「"現れたな、魔王! 勇者関口久志、我が聖剣オネスティキャリバーの錆となるが良い!! "……いや、あの。さすがに聖剣ってその、大それ過ぎて痛いんだが若干!」

「照れないの! 照れるイケメンマジサイコーだけど真剣にやってね!? 良いじゃん聖剣オネスティキャリバー、関口くんにぴったりな荘厳なデザインだし!!」

「えぇ……?」

 

 もっとも、そんな直球の物語を本人役で真正面から取り組むことになった関口くんからしたらとんでもない話だろうけどね。

 照れを隠せないながらもしっかり勇者関口役を演じる彼は役者としても才能があるみたいで心底羨ましい。なんか弱点とかないのかよあのイケメン、青樹さんの影響から脱した今マジで完璧超人じゃんあのイケメン。

 

 そんな彼だが架空の聖剣オネスティキャリバーなる、これまた段ボールの剣を手にして殺陣混じりの練習に取り組んでいる。

 聖剣のイメージだけあって白く塗られて、装飾もバリバリのめっちゃかっこいい武器を手に華麗に舞って型を披露する、C級探査者。周囲のクラスメイト女子の目がすっかりハートだし、なんなら他所のクラスの女子も挙って教室の外から覗いている始末だ。

 

 怖ぁ……もはやアイドルじゃん。

 なんかもう桁が違いすぎて、感嘆の念すら抱きながら軽く練習の動きをする関口くんを眺める。

 いくらか段ボールの剣を振っていた彼は不意に、そんな視線に気づいたか俺を見て言った。

 

「よっ、ほ、せいやっ、と……山形、そんなとこで見てるならなんかアドバイスくれよ。今の動きどうだった? お前の目から見た意見を知りたい」

「えっ、俺? ……いや、その、演劇とか殺陣については門外漢だしちょっと」

「殺陣って言っても真似事で、俺がやってるのは基本的にいつもの探査者としての動きだっての。だったら俺よりずっと強いお前からの感想は、演劇だけじゃなくてこれからの探査業にも役立つだろ。アドバイスくれよ、アドバイス」

 

 ウインクなんかしつつも茶目っ気めかして笑う。関口くんは抜け目ないな、演劇の練習を通して自分の探査者としての動きについて意見を求めてくるなんて。

 この半年で本当に真剣に探査業に取り組むようになったからか、彼の実力はメキメキと伸びているとは時折、全探組の談話室なんかでも耳にする。

 

 元より才能はあったんだけど、これまではいろいろ思想面でのこともありなかなかやる気が出なかったのが、真面目になればこうもなるってことか。

 さすがに探査者としてアドバイスを求められると無碍にもできないが、しかし偉そうなことを言うつもりはまったくないのでさて、どう答えたものかな。

 

 同じ製作チームのみんなに断りを入れてから、関口くんの下に向かう。

 リア充陽キャ軍団に匹敵するポテンシャルってことで役者として参加していた梨沙さんが、喜色満面に俺に近づいて笑顔を向けてきた。

 

「公平くん! アドバイザーやってくれるんだね、ありがと!」

「あ、いや……そんな大したものじゃないよ。一応ほら、同じ探査者だしさ。ちょっとは関口くんに協力できるかなって、それだけで」

「十分だって! あ、私らの演技にもコメントあったら聞かせてほしいなー。特に私はほら、関口くんパーティの探査者役だし!」

 

 もののついでとばかりに無茶振りが来た! いくらなんでも演技については門外漢だよ!

 みんなと練習中ってことでテンションも高めな梨沙さん、その想いにはなるべく応えたいけど応えようがないんだよねさすがに。

 

 ……ただ、練習でも関口くんと並んで梨沙さんは輝いて見えてたのはたしかだ。

 見た目の良さもあるけど、それ以上になんて言うかな、エネルギッシュな溌剌さがあるのだ。誰よりも文化祭に情熱的かも知れない彼女の活発さが、陰キャな俺には余計輝いて見えたのは事実。

 だったらそれを素直に伝えるのも悪くないかと、俺は思ったことをそのまま口にした。

 

「さすがに演技については何も言えないかなあ……ああ、でも梨沙さんの凛とした表情は、すごくカッコよくて素敵だと思ったよ。ほら、普段は可愛らしさが目立つからギャップっていうか」

「そ、そう!? ……えっへへ、やだもー、公平くんってばもー!」

 

 へにょっとした笑顔で告げると、梨沙さんはテンションからか上気した頬でさらに笑みを浮かべて幸せそうに頭を左右に振っている。

 うん、やっぱいつもより高揚しているな……楽しそうで何よりだ。何をするにせよ祭りなんだ、準備期間だって楽しめるならそれが一番だからね。

 俺もなんだか嬉しくて、そんな彼女に笑いかけるのだった。




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