攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
神にならんとするアレクサンドラ……プレーローマ・アンドヴァリの心境。既存の神というものに対していかなる想いを抱いたがゆえの"プレーローマ"なのかは俺には分かりかねたけれど、織田としては多少推測できるところがあったみたいだ。
面白そうに、いや事実面白いのだろう。満面の笑みを浮かべてワインを口にしている。
「クククッ! 過去いくらでもいた手合ですが、ここまでやらかしてみせた輩もなかなかいますまい」
「あ、やっぱいたんだ……ええと、神の力を得て自らが成り上がろうっていう?」
「いかにも。やり方は多種多様でしたがね──神を謀る、自らを鍛える。あるいは道具に頼るか、はたまた力を譲り受けるか。強い感情から成り至ることも稀ながらありますね。とはいえ今回のようなパターンは初めてでしょう、さすがに」
「異世界の神から切り離された、落とし物の権能を取り込んでの変生だもんなあ」
長い長ーい人類の歴史だ、そりゃ神なり悪魔なり妖怪なりになろうって輩も少なからずいるだろうし、実際にやろうとして成功するなり失敗するなりしたケースだってあるはずだ。
そういうのにも概念存在の、とりわけ最高神である織田は明るいようで。だからこそ今回、まったく新しく極めて珍しいパターンで変生を試みたアレクサンドラへの興味と関心は強いんだな。
ただ、そうした過去のケースと今回のアレクサンドラはやはり規模が違う。
現世と、精々は概念領域を巻き込む程度のはずだった話にウーロゴスやスレイブコアなどを組み込んだ結果、ものの見事にシステム領域まで関与する話になってしまった。邪悪なる思念打倒を最優先に掲げていたため、掲げざるをえなかったためとはいえ、ここまでのことをやらかすまで放置してしまっていたのはなかなか、痛恨ではあるね。
「今やアレクサンドラはプレーローマ・アンドヴァリとして、少なからず大きな権能を行使できる段階にある。こないだ正面から戦ったけど、あれはかなり厄介だ……異世界の神、すなわちミュトスの本来の権能を歪んだ形で使っているあたりが、特に」
「敵対者のスキルを無効吸収し、己の力として加える権能。加えて聖女を信仰する者に限り、強い洗脳を施す権能ですね。どちらもいかにも質の悪い能力だ、たとえS級探査者であっても太刀打ちはできますまい」
「空間転移や触手による遠距離攻撃なんてのもあったけど、やっぱそこなんだよなあ。事実上俺や精霊知能以外だと、著しく行動を封印される羽目になっちゃって」
加えてその結果生まれたプレーローマ・アンドヴァリの力、権能の厄介さも大概だと頭を掻く。
まずもってスキルの無効化と吸収が無茶苦茶だ。A級モンスターにスキルを無効化するスキルキャンセラーというモンスターがいるけど、はっきり言ってその比じゃない。何しろ無効にした分だけ自分の強さを増幅させられるんだからな。
これっていうのがミュトスの権能を元にしてアレクサンドラの精神性を反映した、まったく新しい権能なわけなので……完全に因果もなければデータも存在しない、この世界にあるはずのない力に成り果てているってわけだった。
こうなると現世存在ではもう、S級探査者であっても敵わない。そもそもの土俵にも立たせてもらえないんだから、戦いようがないのだ。
おそらくはヴァールなりエリスさんなりを一番警戒していただろうアレクサンドラの意志をものの見事に反映した、いわばオペレータ殺しの権能。
そんなのを引っ提げてこられると、もうこっちとしてはシステム領域側から対応するしかなくなるんだよね。織田が深刻な表情を浮かべ、俺に問うた。
「つまりはやはり、あなた自らが対応すべき相手であると?」
「ああ、間違いなく……倒すだけなら、シャーリヒッタなりミュトスなりでもどうとでもできる相手ではあるんだけどね。あの女の魂からウーロゴスを引き剥がすのは、俺かワールドプロセッサにしかできないから」
「なるほど? 倒すのは前提としてプレーローマ・アンドヴァリを火野アレクサンドラに戻すことまで含め、そこを勝利条件に定めているのですね」
察しの良い彼にうなずく。いかにもその通りで、履き違えてはいけないのが勝利条件だ。
俺達はあくまでウーロゴスを回収してミュトスに返却することが一番の目的であって、何がどうなってもとりあえずプレーローマ・アンドヴァリさえ倒せれば後はなんでも良いってわけじゃない。
仮にやつを倒したとて、ウーロゴスを失う形になってしまったらそれはそれで条件未達で敗北と言えるだろう。
そこを踏まえると、戦闘のなかで直接あの女からウーロゴスを引き剥がせる俺こそがやはり、相手をするのに最適なんだ。
「加えて精霊知能達には万一ウーロゴスの分体が現れた場合に、そちらに対応してもらいたいって都合もあるよ。アレクサンドラのことだ、すべての権能を自分の下に集中させると思わせて何体かキープしといて、認定式の時みたく投入してくる可能性もなくはない」
「裏をかいてくるところまで読みますか。あなたがそこまで警戒するとは、どうやらそのアレクサンドラとやらは相当に性格が悪いご様子だ。クククク」
「茶化しにもなってないな……正直、本当に悪辣だからなあ」
からかうような織田だが、あの女のやらかしを直に見てたらたぶんもうちょっと真顔だろう。
やることなすことすべてがアウトなんだもんよ。俺だってさすがに、こいつ性格悪いなーくらいは思ってしまうよ。
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