攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
終始織田に気圧されてビビり倒しのオノスケリスちゃん。まあ気づいたらいつの間にか場所が変わっていて、しかも目の前に最高神がいて威圧してきてるんだから無理もないか。
初手ビビらせの計画は完全に上手いこと言ってるわけで、これ以上はちょっとやりすぎかなーって俺が思い始めたあたりで彼は魂による威圧を解除した。
俺が許せるギリギリのラインを、すでに把握しているのか。当然だよな……貪欲なまでにあらゆることを知りたがるこの神が、盟約を結んでいる相手の心情をある程度推察していないわけもない。
つくづく初対面の際、彼をこちら側に引き込んだ咄嗟の判断が光るね。こればかりはさすが俺って自画自賛してもいいかも知れない。
オーディン神の真に恐ろしいところは強さでも魂の格でもなければ知識そのものでもない。知ることに飢え、学ぶことに飽きることのないその欲望そのものだ。
単純に考えれば常に考え続け、インプットし続けているわけだからね。成長し続けていると言ってもいい。
そのなかで得た智慧なり洞察力なりも含め、敵に回せば極めて厄介なことになっていただろうなって思うよ。
そんな彼はひとしきり笑ってから、スマホで従者の皆さんを呼び出した。
主の召集にもちろん即応しますとばかりに、すぐに部屋に入ってくる屈強な戦士が数人とメイドのイヴさん。状況を呑み込めないままに俺の背中に蝉みたいにしがみついてプルプル震えるオノスケリスの首根っこを掴んで引っ剥がし、主の指令を待つ。
「さて、小悪魔を小突くのもこのあたりとして────我が従者達よ、件の悪魔が来た。ほどほどにもてなしつつ、ほどほどに働かせてやれ。下らぬ抵抗など考えない程度に忙しくさせてやるのだ」
「畏まりました。今後よろしくお願いします、悪魔オノスケリス」
『ぴぃやぁぁぁっ!? 抵抗なんかしませんけど、忙しさとかいらないんですけど! 働きたくないんですけど、働きたくないんですけど!!』
「えぇ……?」
全力で遊び呆けたい欲を出してくるじゃん、この少女悪魔。怖ぁ……織田すらちょっと眉をひそめている。
マジで現世の娯楽を楽しみたいだけってのはこれまでにも散々アピールされてるもんだから、そこは疑ってはいない。今さらこいつが委員会のために動くなんてのも考えづらいしね。
だけど一応でも保護されるんだからさあ、享楽に耽ってばかりいるのもどうかと思うんだよね、お貴族様じゃあるまいに。
縋るような目で俺を見るオノスケリス。どうも変な懐かれ方をしている気がしてならないが、さすがに甘やかす理由もなければ義理もないぞ。
「必要経費だ、オノスケリス。お前の我儘にこうまで応えてくれるなんて、むしろ感謝すべき立場なんだぞ。元委員会の悪魔なんだから」
『ううっ……正論で殴らないで欲しいんですけどぉ……もちろん北欧の最高神様には感謝感激雨あられなんですけど……』
「たまに顔は出すから、日々の暮らしのなかで困ったこととか辛いこととか、織田にも言えないような相談ごとがあるなら言ってくれ。メールなりメッセージアプリなりでもいいから」
『…………それなら、まあ。あんた結構、ううんかなり話しやすいし。もしかしてナンパとか慣れてたり? コミュ力、実はある?』
「ないです……」
俺の説得に渋々、というか自分の言い分が単なる我儘だって自覚はあったみたいですんなり聞き入れる。
こいつを捕縛して織田に預ける立場柄、一応相談くらいは乗るよと言ったところナンパ師扱いされてしまった。んなわけあるかい。
ま、今のやり取りから見てもこいつはなんやかや、うまくやるだろう。
引っ立てられるオノスケリスに軽く手を振って見送る。ドナドナが流れそうなくらいのどんより加減で引きずられながらも俺を見続ける彼女がなんともはや、無駄に悲壮感があったけど……
どうせ一週間もすればすっかり馴染んで日々を楽しく過ごしてそうな気がするので心配とかは特にないな。そもそもそんな間柄でもないし。
「やかましいのが去ったな……悪い、織田。恩に着るよ」
「いえいえ、この程度で恩着せがましいことを言う気にもなりません。あの悪魔について、また何かありましたら随時連絡しますのでよろしくお願いします」
「ああ、助かるよ。ありがとう」
やっとこ静かになった謁見の間で、再び織田と向かい合う。
流れでそのままあいつを引き渡したけど、現状話はまだ途中だ。サークルや悪魔、AMWについて……彼とは議論できることがある。
AMWについては、こちら側で対処すべきだろうから話としては報告程度のものでしかない。サークルそのものも壊滅してるし、後は残党を叩くだけだしな。
となるとやはり、悪魔についてだけど。ここで織田のほうから発言があった。今度は彼からの報告になる。
「委員会の悪魔については、むしろこちらから話すことがいくらかあります。概念領域のほうでの動きと、連動した話になりますね」
「何かあったのか、向こう側で」
「ええ──悪魔カテゴリ内で大規模な会合が開かれましてね。委員会に所属していると思われる悪魔に対し、それ以外の悪魔による弾劾と糾弾が行われたのですよ」
「…………へえ?」
意外な動きに耳を傾ける。概念領域は悪魔カテゴリ内でも何やら、政治的な動きがあったみたいだ。
委員会に属している悪魔達、彼ら彼女らに対して……同じカテゴリの他の悪魔達から、糾弾の声が上がったらしい。
「大ダンジョン時代ヒストリア」100年史編完結!
https://syosetu.org/novel/333780/
よろしくお願いいたしますー
【お知らせ】
「攻略! 大ダンジョン時代 俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど」コミカライズ発売中!
ぜひともみなさまお求めよろしくお願いしますー!
コミカライズ版スキルがポエミーも好評配信中!
下記URLからご覧いただけますのでよろしくお願いします!
pash-up!様
( https://pash-up.jp/content/00001924 )
はじめ、pixivコミック様、ニコニコ漫画様にて閲覧いただけますー!
加えて書籍版1巻、2巻も好評発売中です!
( https://pashbooks.jp/tax_series/poemy/ )
よろしくお願いしますー!