攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
なんか知らないところでいろいろ話が噴き上がっていたらしい、悪魔カテゴリ内での会合。
北欧大神たる織田も、ベルゼブブって大物悪魔から話を受けていたようで……その内容を簡潔に、分かりやすく俺にも教えてくれた。
「ベルゼブブからいろいろ話を聞いていますが、悪魔カテゴリとしては現世介入さえ辞さないほどに激怒した空気が蔓延していたようで……ずいぶんと頭を抱えていましたよ。いくらなんでもそれはまずいと彼自身、理解していたがゆえにね」
「彼らが現世に介入しちゃうと、神やら精霊やらって他のカテゴリもそうしだすだろうしな。収拾がつけられなくなるし、何より本末転倒だ。現世介入にキレて現世介入するなんて普通に意味分からんし」
「ええ。ですので引き続き静観するべきだ、とは私からもアドバイスしておきました。他の派閥トップとも協力して、ひとまず現世のことは現世で収めさせるムードを形成すべきだと」
「さっすがオーディン、話が早い!」
同胞の一部が極端なことをして、藪をつついて蛇を出そうとしている。その身勝手さが許せないのは分かるけど、だからってじゃあそれを止めるために自分達も介入するね、では同じ穴の狢だ。
さすがにそれはベルゼブブはじめ、悪魔のトップ層も望んでいるわけではないらしい。織田のアドバイスを受け止めて、どうにか全面的な現世介入だけは避けるように動くつもりみたいだった。
……正直なところ、遅かれ早かれ概念存在による現世への介入は避けられない時が訪れるとは、正直俺も見ているけどね。
現世から見て、大ダンジョン時代が終わりを迎えた時。すなわちモンスターやダンジョンが一つ残らず消え去った時。
その暁にはそれこそ満を持して、概念領域からの干渉が始まるだろうなって演算はすでにしているからね。
「おそらく数百年後。概念存在は間違いなく現世に本格的に手を出すだろうし、そうなると今の委員会が実現を目論む社会に近いものになる可能性は十分にある」
「ふむ? システム領域としては、大ダンジョン時代が完全終了した後については干渉する気はないのですか?」
「そりゃあね。異世界からの魂をこの世界に受け入れるために今は干渉しているけど、それが終われば後は現世と概念領域だけで世界を回す、本来あるべき姿に還すべきだし。だからこそ、今のこのタイミングでの介入は勘弁してくれってなってるわけで」
「あくまでシステム領域から見たイレギュラー、それに対応するためだけの今現在ということですか……やはりコマンドプロンプトなだけはあり、上位存在らしい考え方をしていますね」
興味深げに感心する織田。数百年後の展望について思いを巡らせているのか、ちょっと遠い目をして考えている様子だ。
遠い未来。今あるすべてが変わり、俺だってとっくにシステム領域に還ってコマンドプロンプトとしての活動をしているだろうその頃に、ようやく500年前から始まった一連の事件の後始末がすべて終わる。
システム領域が正式に現世から手を引き、本来あるべき世界の流れに戻るのだ。オペレータは残るだろうから、大ダンジョン時代以前の世界のあり方とはやはり異なるものになるだろうけど……
どうあれ現世からはモンスターやダンジョンはすべて消える。後のことはすべて現世だけで決め、現世だけで歩む正常な形の世界に戻るんだ。
きっと、平和な社会にはならないだろう。オペレータを使った戦争や紛争だって起こり得るし、概念存在による介入も始まるかもしれない。
ただ、正直なところコマンドプロンプトとしてはそれもまた、現世の在りようの一つとしてしか受け止められないんだよね。
なんなら言っちゃうとこの100年、地球全土でほぼ戦争がないこの時代のほうがよっぽどイレギュラーだし。
モンスターという世界共通の敵と、その打倒に根ざした社会を構築させるシステム領域の意志が存在しているからこそ成立しているある意味、歪な時代。
それが大ダンジョン時代である以上、システム領域が手を引けば平穏もまた終わるのは自明の理とすら言えるだろう。
だけど今、そんな時代を到来させるわけにはいかない。
まだまだダンジョンは多くモンスターもいるんだ。彼らの浄化も始まったばかりなのに、概念存在の余計な茶々など入れさせることは断じて認められない。
「率直に言うけど、悪魔カテゴリには自重してほしいんだよね……委員会は現世の探査者達がどうにかするから、頼むから静観していてくれってさ。もちろん神やら精霊、妖精達も同様だ。織田には、そのために動いてもらう場面が今後あるかも知れない」
「望むところですとも。私としましても、現状の大ダンジョン時代が概念存在によって掻き回されるのはまずいと今なら理解しておりますので。創造神達とも相談の上、不穏な動きを見せるモノ達には継続して掣肘を続けていきましょう」
「助かるよ。これ以上事態がややこしくなるのはごめんだからな」
すっかりこちらの意図を理解して、その上で協力的な織田には頭が上がらない心地だ。
つくづく成り行きとはいえ、この最高神をこちら側に引き込めたのは大きかった。下手したら逆に、オーディン筆頭に現世介入がされてたかもしれないと思うと余計にだ。
好奇心の強さは敵に回せば厄介だけど、味方にするとこんなに頼りになる神もいないし。織田と友好関係を結べた判断を半ば自画自賛しちゃうよ。
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