攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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フルコースって意外と満腹になる気がするんすよ……

 概念領域側の、特に悪魔側の動きについての話も終わり。ひとまず本来予定していた議題についてはすべて語り合った。

 朝から話をしていたけれどもう昼だ。俺は織田の厚意に応える形で、彼の従者の皆さんが作ってくれた料理をいただくことにしていた。

 

「実に有意義な情報共有の時間でした。やはり山形公平、あなたと話し合うと私の知的好奇心は著しく満たされる。素晴らしいことですよこれは……知的生命体にとって、未知なるを追い求め解き明かす瞬間こそ至高の時であるがゆえに」

「そ、そう? まあ、そう言ってもらえるならありがたいけど」

「せめてもの礼です、ささやかながら料理をご用意しましたのでぜひとも楽しんでいってください。現世に来てから、より腕を磨いている我が料理人達渾身のフルコースですとも」

 

 謁見の間から移動して、会食の間とも呼んでいるらしい別室に移って。

 これまた眺めのいい部屋に設置された、高級テーブルにて食卓を囲み、俺と織田は一対一での会食を行っている。

 

 実のところ今日は俺一人での来訪なんだよね。香苗さんもいなけりゃリーベもシャーリヒッタもいないし、ヴァールもミュトスだっておらず完全なサシでの会談だ。

 別に大した話もしないしってんで俺から断りを入れたのもあるし、各人それぞれ別件で用事があったってのもある。

 

 たしか……リーベが知り合いの探査者達と探査活動で、シャーリヒッタとミュトスがシステム領域に戻ってワールドプロセッサとの打ち合わせ。

 ヴァールは言わずもがな首都圏での過激派やサークル残党の捜査にあたっているし、香苗さんも横山さんや御陵さん、鈴木さんといったご自身の元々のパーティメンバーとの探査らしい。

 

 四六時中、固まって行動してるわけじゃないしな俺達も。というか俺だってたまには一人でうろつきたいし。

 そんなわけで偶然ながらこうして、ソロで動き回れるってのは俺としてもリフレッシュできる心地なのだった。

 

「初めて食べるなー、フルコースってやつ。すごく美味しいよ」

「私は最近、こうした形式の食事が特に気に入っていましてね。北欧神話圏においてはどちらかと言うと一品を大量に食べるパターンが多いので、多種多様な料理を少しずつ口にするというのは、ふむ。より広くを知りたいと願う私の性質にも合致しています」

「クオリティよりも量よりも、見知らぬ味を求めるんだ……つくづく知的好奇心の塊だなあ」

「片目一つ捧げるほどですから。我ながらなかなかのものだと自負していますよ。クククク」

 

 相変わらず呆れるほどに知的好奇心旺盛な織田と、特に重要でもなんでもないまさしく雑談をしながらの会食。

 こないだ、リーベやシャーリヒッタや香苗さんと訪れた時よりは量が少なめというか、パーティーと言うよりは会食って感じのフルコースの前菜を、俺は堪能していた。

 

 テレビで見るああいうのって、一皿にちんまりとしか載ってないから食べても満足できるのかなーってパンピー的には疑問だったんだけど……なるほど、いざ食べてみるとこれはこれで結構腹がふくれるもんだ。

 なんせ10皿近くに分けていろんな料理が出てくるらしいからね。トータルで考えると、余裕で満足できそうな量だよ。

 脳内のアルマさんもこれにはニッコリしているね。

 

 

『うーむ。こんな形の食事方式もあるんだねえ。一皿ごとの量はたしかに物足りないが、その分多種多様な料理を楽しめるのは良い。何より出す順番が決まってるのが良いね、完璧な食卓を追求しようって気概を感じるよ……ははは、野菜の鮮度も美味しい! 公平! よく咀嚼して味わうんだぞ!!』

 

 

 とまあ、こんな感じでフルコースって形式に何やら感じ入るものがあった模様。

 よく噛んで食べろよ! などとオカンみたいなことを言うのを、まあ正論なのであいよと内心で答えてモグモグと、付出し? とかいうなんか……小さな器に盛られた生野菜とスモークサーモンにソースがかかったオシャレ感漂う料理を口にしていた。

 

 この後もなんかいろいろ、順繰りに前菜だースープだー魚だ肉だー口直しの菓子だーと出てくるそうだが俺としては、とにかくお出しされたものを美味しく感謝とともにいただくばかりだ。

 俺が20歳越えてたら、お酒なんかも組み合わせてより楽しいフルコースになるんだろうなあ。ますます高まる酒への興味、成人になったらぜひとも味わってみたいもんだよ。

 

「前菜でございます」

「おー。ありがとうございますイヴさん、いただきますー」

 

 アルマの言葉通りによく噛んで味わって食べていたら、そのうちにメイドのイヴさんが前菜の、なんか刺身の上にチーズやら野菜やら載っけたやつが出てきた。旨そう。

 ちなみにこのイヴさん、今朝方ここを訪れた時に真っ先に対応してくださったんだけど、俺を見るなり深々と頭を下げて謝罪してきてマジで心臓が止まるかと思った。

 

 俺や俺の家付近の警備を担ってくれている彼女的には、いつぞやの時間停止系悪魔アガレスの接近を許してしまったことをずっと引きずっていたみたいなのだ。

 時間停止とかどうしようもないし、俺としてはまったく怒ってないので当然許すというか、気にしないでと言ったんだけど……

 

 よりによって往来でメイド服の超美女がそんなことするもんだから、まーた衆目を集めてしまったのだ。

 シャイニング山形、今度はメイドを謝らせる! なんてゴシップ記事を書かれたらどーする! そっちのがよほどまずいわけで、正直勘弁してほしかったよ。

 怖ぁ……




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