攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
プレーローマ・アンドヴァリ率いるダンジョン聖教過激派、およびそこに合流したと思われるサークル残党の連合組織。
やつらはWSOと日本警察の懸命なる捜査の結果、首都圏から少し離れた郊外にある採石場に本拠地を構えているらしいというのは先日、すでに判明していたことだ。
となると後は攻め入るだけ、という段階ではあったものの……何しろ敵側の戦力も大概だからね。
万全の準備を整えてから臨まねばならないってことで、この数日ほど俺達含めた現場組は全員身体を休める傍ら、ソフィアさんやヴァールはじめ後方指揮組がバッチリ作戦を整えるという形で待機時間が設けられていたのだ。
そして、その作戦も整ってつい先程、ヴァールからメールで連絡が来た。
最終決戦だ……プレーローマ・アンドヴァリ達との決着に向けての段取りが、告知されたのである。
「今度の水曜日、夕方17時にWSOの貸し切ってるホテルに集合。そこから作戦会議を経て、翌朝木曜の5時にアジトに向けて出発、と。早朝から勝負を決めるんだな、倶楽部の時とかもそうだったけど、敵の寝込みを襲う形になるか」
「プレーローマ・アンドヴァリにウーロゴスに、加えてAMWに悪魔憑きにスレイブモンスター。敵もおそらくは大盤振る舞いですからねー。可能な限り虚を突きたいというのは当然のことでしょう。けどー……」
「たぶん向こうもそのくらいは織り込んでるだろうぜ、リーベ。性格的にもそういう、裏を掻いてくることに慣れてる輩だろうしなァ」
「火野源一の娘、ですからねー」
難しい顔をして悩ましさに呻く精霊知能達。シャーリヒッタもリーベも、プレーローマ・アンドヴァリを直接見たことがないにしてもその厄介さはすでに把握している。
己の野望のためだけにウーロゴスを取り込み、ヒトを捨てたという異常性もそうだし、何よりかつて相対した倶楽部幹部、火野源一の娘だったという点からも一気に警戒心を強めたみたいなのだ。
もちろん、血の繋がりこそあるけど火野老人は火野老人だしアレクサンドラはアレクサンドラだ。親子関係ってだけで人格を決めつけるような真似はしない。
ただまあ、プレーローマ・アンドヴァリと実際に戦った俺だから言うんだけども。まさしく親子と言われればうなずけるほどに、その悪辣さは似通うものがあったと思えちゃうんだよね。
なんなら方向性は違えどエリスさんに執着しているところなんかもそっくりで、他人事ながら背筋が凍りさえするほどだよ怖ぁ……
エリスさんちょっと不憫が過ぎないか? 望んでなったわけでもない不老体質のせいで火野父娘の父のほうには半世紀以上も付け狙われて、娘のほうからは逆怨みと勝手な嫉妬を抱かれて。
挙げ句、当てつけみたいに妹の曾孫を甚振られて玩具にされていたんだ。筆舌に尽くしがたい話だよ。
シャルロットさん当人が一番苦しかったのは言うまでもないけど、今頃になってそれを知らされたエリスさんも相当に苦しくて悔しいだろうと俺には思える。
今は血縁同士水入らずで二人、首都圏でつかの間の交流を楽しんでいるみたいだけれど……
来る最終決戦においてはどちらも、プレーローマ・アンドヴァリとの決着はどうしてもつけたいんだろう。エリスさんからは俺宛に、ぜひとも一緒に戦わせてほしいってメッセージなんかが届いたりもしている。
『足手まといになるかもしれない、それを思うと心苦しいけれど……火野アレクサンドラとは、私やシャルロットくんも決着をつけたいと願ってるんだ。神谷くんともども、どうか公平さんと一緒に戦うことを認めてほしい。よろしくお願いします』
──こんな感じにだ。
聖女として、能力者犯罪捜査官として以上にエリス・モリガナ個人としての強い要望が反映された文面に、俺も一も二もなくともに戦いましょうと返したのは当然のことだね。
エリスさんはもちろん、シャルロットさんも神谷さんもとても頼りになる心強い仲間なんだ。足手まといなんてことには絶対にならない。
やつの権能に対抗する都合、やはりメインで相手するのは俺になるだろうけど、だからといって他の誰をも立ち入らせないほどのことにもなるまい。邪悪なる思念との最終決戦じゃないんだしさ。
だったら快くともに戦うよ。復讐を肯定も否定もしないけど、因縁に決着をつけることも大切だとは思うから。
もっとも、エリスさんもシャルロットさんもこの際、復讐とまでは考えてはいないっぽいけどね。能力者犯罪捜査官として、七代目聖女としてのそれぞれの立場と責務から、それぞれの使命を果たすべく動こうとしているって話なんだろうし。
「俺単独で相手しようかとも思ったけど、人間だけの手でやつを止められるならそれに越したことはないからな。もちろん、やつの権能は封じ込めるけど。ミュトスの元々の権能を都合よく改竄して悪用するのだけは、何があっても認められないしね」
「ダンジョン聖教から出た悪を、ダンジョン聖教の面々で倒す形にもなって落ち着きが良いですしねー」
「オレやミュトスはスレイブモンスターやらウーロゴスに対応するほうが優先ですから、父様のほうにも何人か実力者が付いてるのは安心できます! もちろん父様お一人でも、そんな中途半端ヤローは瞬殺できますけどね!」
「救世の光とダンジョン聖教が組んで、過激派を止める形ですね。御堂さんとかこれ聞いたらまた興奮するでしょうか」
リーベやシャーリヒッタやミュトスも、俺と三聖女vsプレーローマ・アンドヴァリという構図には理解を示してくれている。
っていうか元々は俺が一人でやつと戦うのを想定していたけど、こうなるとたしかにアレだな。香苗さんがまた句読点飛ばしそうなシチュエーションかもしれないな。
怖ぁ……会って間もないミュトスにももうそういう人だって思われてるじゃん、伝道師さん!
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