攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
──そんなこんなで数日後。10月上旬の水曜日、放課後。
さすがに探査活動も友人達とのひとときも今日はない。一目散に家に帰った俺は準備万端で待ち構えていたリーベ、シャーリヒッタ、ミュトスと合流し、揃って家族に挨拶していた。
明日行われるプレーローマ・アンドヴァリとの決戦に向けて、これから首都圏へと転移するのだ。
そして作戦会議を行った後、明朝にはやつらの根城である採石場にて最後の戦いに臨む。今回ばかりは学校も数日は休んでの大仕事だからね、家族にもちゃんと話しておかないと。
「よし! というわけで行ってくるよ父ちゃん母ちゃん、優子、アイ」
「週末には帰れると思いますのでよろしくお願いしますー」
「時間があったらまた、土産も買って帰るからよろしくだぜっ!!」
「それでは行ってまいります、山形家のみなさん!」
きっちり忘れ物も何もなし、あったとしても空間転移で取りに戻れば一秒かそこらだ。
なんなら寝る時だけ帰るなんていう裏技みたいなことだってしちゃえるぞ。しないけど。
俺達はいつも通りの平常心。いくら最終決戦だって言ってもこの半年間、これで三度目だもんよ。
いい加減慣れるっていうか、油断はしないけど緊張するほどでもなくなっちゃってるところはある。なんもかんも邪悪なる思念と倶楽部とサークルとダンジョン聖教過激派が悪い。
『僕を雑魚どもと一緒くたにするなよ! 本当の意味で最終決戦って言えるのは僕との一騎打ちだけで、後はその気になれば君一人で秒殺できるのをわざわざ人間に任せたってだけの舐めプ最終決戦モドキだったろうに!』
脳内のアルマが何やら主張してくる。真の最終決戦は自分との戦いだけだとか言われても、いやお前そんなこと主張してどうするつもりなんだよって感じだよね。
あと舐めプだのモドキだの言うな! 本来あるべき形で事態を解決してもらうのは世界のためでもあるし人類のためでもあるんだよ、俺が一人でなんでも解決したってなんの値打ちもないだろ!
物分りが悪いというか、根本的なところで興味がないからかすーぐに俺一人でさっさと終わらせろ的なこと言ってくるけど、そもそも本来は俺や精霊知能が絡むこと自体イレギュラーの極みなんだっての。
倶楽部だって、今回のサークルや過激派だってシステムの悪用さえしていなければ、なあ。
つくづく変なことに手を染めるよ、ワルの人達も。やるせない気持ちをそこはかとなく抱く。
そんな内心はともかく、挨拶を受けてうちの家族もいつもどおりに見送ってくれた。
「おう、気をつけろよ公平。リーベちゃんにシャーリヒッタちゃんにミュトスさんも! 危なくなったらすぐに逃げてこいよ!」
「命あっての物種なんだからね、四人とも。悪党退治はそりゃ立派だけど、まずは自分のことを最優先になさいよー」
「これが終わったら少しは落ち着くと良いね、兄ちゃん達も……気をつけてね。頑張って」
「きゅう……きゅきゅきゅう、きゅうー!」
父ちゃん、母ちゃん、優子ちゃん。そしてアイ。
いつものノリとテンションに、それでもいくばくかの不安と心配を孕んだ様子の家族達に、俺もまた力強くうなずく。
命あっての物種。まさしくそのとおりだ、どんなことがあっても無事に帰ってきて、また楽しい日常に戻らないとな。
それに優子ちゃんが言ってるように、そろそろマジで少しくらい落ち着け状況って感じだし。
いくらなんでも連戦が続きすぎだ、俺が探査者になってやっとこ半年って程度なのになんでこんな大掛かりな事件が続いちゃってるんだよ。
ワルだって別に示し合わせたわけじゃないだろうけど、もうちょっと空気読んで間を空けてから悪さしてほしいよね。
過激派とサークルを今回の決戦で潰しきれば、多少収まると信じたいところだよ……名残惜しむように翼をはためかせて抱きついてくるアイを優しく撫でながら、平穏を望まずにはいられない俺ちゃんである。
委員会そのものは未だ健在だけど、日本国内でダンジョンコアを悪用していた倶楽部、サークルとそこに便乗した形になるダンジョン聖教過激派を叩けば、ちょっとは平和になるだろう。なるよね? なると良いなあ。
そこはかとない平和への願望を密やかに抱きつつも、俺はそれじゃあと精霊知能達に号令を発した。
「行こうか。今回の転移場所はホテル前、人目がつかないよう用意してもらった屋外テントの中だ。泊まり込みになるから、ホテルにチェックインする必要があるからホテル内だと怪しまれるかもだし」
「座標もメッセージで受け取り済みですー。ヴァールも待ってるみたいですねー、チェックインして荷解きしたらそのまま作戦会議みたいですー」
「すでに向こう方には連絡もつけてあるからな。さすが、あの子は準備が良い」
「至れり尽くせりってやつですね! よっしゃ、やるぜミュトス、オレ達の力をみせてやろうぜ、なあ!」
「はいっ! 粉骨砕身ガンバルンバ!! です!」
気合十全なシャーリヒッタとミュトスが気炎を吐き、俺とリーベはこれからの予定について軽く確認する。
転移したらヴァールに従って動くんだけど、段取りを把握しておくのは大事だからね。
それじゃあ、出発進行だ。
家族が見守る中、リーベがワームホールを開く。決戦へと導くその穴に、俺達は飛び込んでいった。
「大ダンジョン時代ヒストリア」100年史編完結!
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