攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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普通に考えてマジで地下にダンジョンとかできたらやばいよね、地盤とか

 採石場というからには、なんかこうダンジョンの亜種というか、土塊の道と部屋が穏やかに連なるような風景を想像していた。

 何しろ元々は普通に人が出入りして、石を掘削するような場所だからね。そんなやたらめったら複雑化させる意味なんてそんなにないと思うし、あったとしても極端な迷路みたいにはしないだろうし。

 

 だけど資料に記された、今現在こちら側で把握する限りのその場所の構造は……

 驚くほどに道が分かれてうねり、部屋がアチラコチラに繋がり連なる大迷宮の様相を呈していたのだ。思わず絶句するよ。

 

「なんだ、これは……」

「ダンジョンよりダンジョンしてやがる、めちゃくちゃだぞ!?」

「ていうか広っ。え、これ普通に大きなテーマパークくらいあるんじゃ。しかもこれで全部じゃないの!?」

「元からこんな規模だった……わけないわよね。コソコソと地下にこんな、帝国みたいなの作ってたんだ」

 

 あちらこちらから刑事さんと言わず探査者さんと言わず漏れ出る困惑と驚きの声。そりゃそうだ、単純に規模が大きすぎるもの。

 地図に対して縮尺も記載されてるんだけど、どうもこれがマジでデカくて野球ドーム10個分くらいはある。つまり採石場そのものは単なる入口であって、地下にはその何倍もの広さにもなる巨大迷宮が拵えられているわけだね。

 

 どう考えても真っ当な、人間の手によるものじゃない。

 権能由来のものだろう。俺は小声で、リーベやシャーリヒッタに話しかけた。

 

「悪魔一体だけじゃ無理だな……何十体も集まって作ったか。あるいはダンジョンよろしく異空間って線もあるけど」

「大都市の地下なんて電車とかいろいろ人の手がすでに加えられていると思いますから、普通に異空間につなげてるとは思いますねー。おそらくは概念領域のなかでも現世に近い、境目の部分にでも作ってるのかとー」

「三途の川とか黄泉比良坂とかみたいなところですね、公平サン。あのへんならぎりぎり、普通の人間でも迷い込むことがあってかつ、帰還できるエリアでしょうし」

「ああ、まあそんだけ広いと他所の敷地と被るもんな、普通だと。しかし無茶するなあ、連中も」

 

 考えられる選択肢としては二つ。マジで地下を掘削してそんな巨大迷宮を作った可能性と、どこか異なる領域に拵えた迷宮と採石場を繋げたって可能性がある。

 そしてリーベの指摘通り、マジで現世の地下にそんなの作ったんなら他の土地の地下や地盤に影響が出ないわけもなく。ここに至るまで一切ことが露見していなかった時点で、別領域に採石場の地下をつなげたと考えるほうが理に適うのだ。

 

 とはいえ概念存在が現世と結ぶことができる概念領域なんて多くはなくて、基本的に二つの領域の狭間へのショートカットを作るくらいのことまでしかできないだろう。

 つまりは現世にとっての出口であり、概念領域にとっての入口とも言える層。あの世とこの世の境目とか、煉獄とか、黄泉路とかって言われる部分だね。

 

 ああいう接地面部分も、概念領域の中では意外と使われてないところの多い場所だから。こっそりアジトを拵えて、そこと採石場を繋げての拠点としているのかも知れない。

 普通ならどこぞかの神によって見つけられていてもおかしくないけれど……委員会側にアドラメレクほどの格の悪魔がいたなら、そのへんもなんなり偽装隠蔽できるか。あいつ元太陽神だったって話だし、立場的には織田にも匹敵しかねないものな。

 

『──見ての通り、極めて大規模かつ複雑な様相を呈している。こうなっていたのでは単純明快に突入して敵を捕縛して終わり、とは行きにくいのが実情だ』

『探査者の方には馴染みのある、パーティ単位によるダンジョン探査の形を取ります。四人から五人で一組パーティを組み、少しずつ前進制圧。長丁場になりますが、それでも一日から二日かけて全域を制圧できるものと予想されます』

「ここに来て、まさか探査者達のノウハウが活きるか……」

 

 まさかの探査者パーティによる制圧作戦。普通のダンジョンに比べても複数のパーティによる同時攻略になるため、いつもの探査業と同じところもありつつ違うところもありそうって感じだね。

 話に聞く太平洋ダンジョンがこんな感じで、いろんなパーティがいろんなところから進入して探査を進めているそうな。今回の場合入口は一つだろうけど、感覚としては似たような形になるかもしれない。

 

 ああ、そういえば太平洋ダンジョンといえばサウダーデさん同様に太平洋で活動しているS級探査者、ロナルド・エミールさんも今回の決戦に参加してくださるんだったな。

 海方陸の持つAMW、マキシムとミレニアムを25年前に使っていた英雄が、やつの《氷魔法》の相手を直々にしてくれると聞いているけど、現役で太平洋を知るその人なら間違いなく今回のこの、特殊な条件下での戦いにも大きく力を発揮してもらえるだろうね。

 

『制圧目的は無論、敵構成員の打倒と捕縛。および中核メンバーであるアレクサンドラ・ハイネンと海方陸、瀬川聡太の逮捕だ。中核メンバーについてはワタシはじめ選抜した探査者によるパーティを組んで対応する』

『選抜パーティについてはなるべく速攻での中核への到達を目指してもらいます。他の探査者の方には迷宮を隈なく調査しつつ、スレイブモンスターから一般構成員の対応までをお願いしたく思います』

 

 なるほど、つまりは実質的には二手に分かれるわけだ。プレーローマ・アンドヴァリやサークル幹部を狙い撃つ選抜組と、迷宮そのものの攻略と途中出てくる構成員やモンスターを倒す調査組と。

 選抜組なんだろうなー、俺。




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