攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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腹が減っては戦はできぬ、決戦前に宴だ宴!

 ミーティングも終えて大ホールに移り、ビュッフェ形式の夕食を食べる。

 相変わらずここのホテルは超高級なだけあり、あらゆる料理のどれ一つとってもほっぺたが落ちるほどの感動的な美味しさを誇っていて、俺はもちろんのこと脳内のアルマさんもすっかりご満悦だった。

 

 

『くぅぅ……っ! 素晴らしい、やはりこのホテルは別格だ! サラダから魚料理から肉料理ももちろんのこと、スープまで言葉に尽くせないほど美味しいなんて! 公平、今というこの時を逃がすな、全力で食べろ! バフスキルで胃腸を極限倍率まで広げろ!』

 

 

 できるか馬鹿野郎! 風船じゃないんだぞ俺は!!

 あまりの美味しさに感動して我を忘れているのは分かるけど、だからってとんでもない無茶振りをしてくるアルマさんに内心で突っ込む。

 いやでもマジで美味いのよ。イタリアンサラダは濃厚かつさっぱりした後味のチーズドレッシングによる味付けがされていて、鮮度も抜群で噛む度快音を鳴らして歯ごたえも良い。

 

 魚ってかお寿司もビュッフェならでは、1種類ごと大皿にずらりと並べられているのがテンション上がるよね。

 もちろんマグロとサーモンとぶりを5貫ずつ皿に盛って食べるんだけどこれがまた、プリップリで酢飯と醤油と山葵とによく合うんだこれが!

 

「うん……お肉も良いねサイコーだ……ミディアムレアくらいで肉汁もそこそこ、私は白身より赤身派……身はしっかりしてくれるのが助かるけど、噛めば噛むほど繊維が解れて旨味が舌の上で……」

「し、初代様? 先程からどうなさったのですか、何やら小声でブツブツと」

「あー、これいつもの癖なんですよシャルロットさん。食事となると自分の世界に入りがちと言いますか、一人食レポをおっぱじめちゃうんですよねえ」

「そ、そうなのですか? そうなのですね……」

 

 近くじゃエリスさんが分厚いステーキをホクホク顔で頬張り、咀嚼しつつもブツブツと小声でレビューをしている。率直に言って若干不気味なんだけど、そういえばこの人、こういう特技というか趣味があるんだよね。

 思えば初めて遭遇した時も、なんか丼食べながら一人でブツブツ言ってたし。隣でシャルロットさんがそんな彼女に戸惑った様子だけれど、葵さんにフォローを入れられてそういうものかとうなずいている。

 

 ちなみにシャルロットさんは野菜中心に結構しっかり食べていて、テーブルの対面にて座る神谷さんをホッとさせているというか優しい笑顔を浮かべさせている。

 過去数年にも亘り、アレクサンドラから受け続けた虐待。その影響かこれまでは少食だったそうなのだけれど、今はリーベの力で完治したからだろう、常人と同じくらいの量をモリモリ食べられるようになっているみたいだ。

 俺としてもこれで一安心だ。不意に目が合うと薄く、柔らかく微笑んでくれる少女の姿が、俺を安らげさせてくれるよ。

 

「っしゃー! 明日も早いし大仕事出しで、ここはいっちょカーッと呑んでカーッと寝るわよ、ランレイ!」

「う、ううううん! 飲みすぎないでね、アンジェちゃん!」

「ランレイ、お前が言うなよ……その手に抱えた一升瓶をまずは放せ」

『どこから持ってきたの、ランレイ?』

「ファファファ! フェイリンの嬢ちゃんも大概愉快だったけど、姉のランレイちゃんも面白いねえ! 馬鹿孫と息が合うわけさね!」

「えぇ……?」

 

 他方、他のテーブルでは酒盛りなんかも開かれている。アンジェさんランレイさん、神奈川さんにあとステラが、マリーさんと酒を酌み交わしているのだ。

 ビールジョッキを両手に持つアンジェさんと、焼酎の瓶を抱えてはラッパ飲みしているランレイさんが飛び抜けてどうかしている。普通にビールを飲んでいる神奈川さんや、ちびちびと日本酒の枡を傾けているマリーさんに比べても明らかにおかしい飲みっぷりだよ怖ぁ……

 

 一応透明なステラだけは飲み食いできないから、神奈川さんに寄り添っているものの。なんていうか、これで翌朝二日酔いでダウンとかしてたらさすがに擁護できませんよと言いたくなる有りさまだ。

 俺はそっと視線を逸らす。逸らした先でも、これがまた濃ゆい人達が濃ゆいやりとりをしていた。

 

「明日の決戦ではまたしても必ずや我らが救世主山形公平様がその御力を発揮され奇跡と喚ぶに相応しい威光威厳を見せつけられるでしょうそれを我々伝道師と使徒が語り継ぎ救いを求めるみなさまに広めるこれぞ救世の光の真髄なのです分かりますか分かりますね分かっていただけて嬉しいですよリスティセーデルグレン」

「オーマイガ! オーマイガ! アルコール・イン・ザ・香苗してないのにテリブルカルトファナティック! ね、ねえ愛知くんとかにしたらどうかなその勧誘!! 私はちょっと、トゥモロー準備があるからそろそろ帰るね!」

「分かりました、ではまたの機会として……愛知さんあなたもこれまでの戦いのなかで御方の強さすごさ素晴らしさカッコよさを骨の髄まで脳の芯まで叩き込まれたはずです私には分かりますよその境地まさしく信仰の兆しそうあなたはすでに使徒候補なのですシャルロットさんともどもあなた方をこのまま信徒として迎え入れる用意はできていますよ」

「私を巻き込んだ挙げ句一人でどこかに行かないでください、リスティさん!? 御堂さん、すみませんが私は遠慮しておきます。事情があり、その手の思想とは距離をとっていますので」

「そうですか……残念です」

「怖ぁ……」

 

 そうだね、我らが伝道師御堂香苗さんだね。

 ただでさえ単独で濃いあの人が、これまた濃いはずのトップランナーリスティさんや神話生物ジョッキー愛知さんに絡んでドン引きさせている。おう、ヤベーやつらバトル止めてもろて。

 それでも拒否られたら素直に一旦は退くあたり、変なところでバランスの取れた人だなあ、香苗さん。呆れるやら感心するやらだよ。




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