攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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戦う理由は、いつだって"当たり前の日々"

 極上としか言いようのない料理の数々に、すっかり腹を満たした俺もそろそろ帰って寝ることにする。時刻は20時過ぎ、明日は深夜に起きなきゃいけないことを考えると、もうそろそろベッドに入っといたほうが良い頃合いだ。

 部屋に戻って風呂を沸かして入る。今日もいろいろあったから湯船に浸かるとまるで、体中の疲れが染み出るような錯覚すら覚えるよ。

 デトックスー。

 

「はふーぅ……あー、明日でいろいろ一段落つくと良いなあ」

『つくだろ、そこはさすがに。ここまで大動員して、コマンドプロンプトまでその気なのにこれ以上は長引かないだろうさ。むしろよく今まで逃げ延びていたもんだね、ダラダラとさ。あのプレーローマ・アンドヴァリとかいうの、まるで君の苦手な不快害虫みたいにしぶといよ』

 

 肩までしっかり風呂に入って、息を吐きつつアルマと会話。しれっとプレーローマ・アンドヴァリを例のあの黒光りするアイツと同一視してるの、本人が聞いたらめちゃくちゃ怒ってきそうだ。

 まあ、実際にしぶといというかしつこくはあるよね、あの女もあの組織も。普通ここに至るまでのどこかで決着もついてそうなものだし、なんなら認定式がその時でもその場所でもおかしくなかった。

 

 それでもここに至るまで長引いたのは、こちらの不手際でもあるしやつらの強かさゆえとも言えるだろうね。

 だけどもう逃がしはしない。明日こそ本当に最終決戦だ。サークル残党もダンジョン聖教過激派もウーロゴスもプレーローマ・アンドヴァリも、あらゆる問題を明日に一段落つけてみせよう。

 そのためのこの人数、あの選抜パーティなんだからね。

 

「ていうか個人的にも、いい加減終わらせなきゃ学校のほうでもいろいろあるからな……文化祭に体育祭もだし、中間テストだってもうすぐだ。いつまでも相手してられないんだよな、正直」

『あいつらにかまけてる暇があったら美味しいもの食べに行ってほしいってのはあるね、僕としても。そういえば最近ほら、川向こうの商業施設に新しいラーメン屋ができただろ? あそこ興味あるんだよね、全部終わらせたら行きなよ。っていうか行け』

「命令!?」

 

 まさかのラーメン屋巡り指示はさておき、まあいつまでもテロ屋を相手にしていたくない、していられないってのはある。

 だってもう10月も半ばだよ? 東クォーツ高校の文化祭だって体育祭だってあと半月だし、そろそろ中間テストだってある。学生探査者としては学業だって疎かにしちゃいけないんだから、そうなってくると冗談抜きに邪魔でしかないんだよね、サークルとかあのへんの連中なんて。

 

 探査業方面だってそろそろ日常的な業務だけを行いたいし、このまま冬まで事態が縺れ込むなんてのはなんとしてでも避けたいところだ。

 というわけで俺個人の都合としてもなおのこと、明日で概ね決着つけたいって思いはあるのだった。

 

「ま、概念領域内の本拠地で戦うんだ。やつらとしても逃げ場なんて早々ないのは分かってるだろうし徹底抗戦の構えだろう。白黒つけることになるのは確実だな────っと、称号更新か。久々だなあ、《ステータス》」

 

 不意にステータスが更新されたのを受けてステータスを開く。

 ステラの決意表明を受けた時以来、ここ最近はたまーにアルマと喧嘩するためのメッセージボード扱いしてきていたくらいで、俺個人へのメッセージ的な称号更新はなかったんだけど。

 さて。

 

 

 名前 山形公平 レベル1268

 称号 地には平和を、人には平穏を。そして世界には救いの光を

 スキル

 名称 風さえ吹かない荒野を行くよ

 名称 救いを求める魂よ、光と共に風は来た

 名称 誰もが安らげる世界のために

 名称 風浄祓魔/邪業断滅

 名称 ALWAYS CLEAR/澄み渡る空の下で

 名称 よみがえる風と大地の上で

 名称 目に見えずとも、たしかにそこにあるもの

 名称 清けき熱の涼やかに、照らす光の影法師

 名称 あまねく命の明日のために

 名称 風よ、遥かなる大地に吼えよ/PROTO CALLING

 名称 神魔終焉結界─天地開闢ノ陣─

 

 称号 地には平和を、人には平穏を。そして世界には救いの光を

 解説 すべてそのために戦う者には、等しく報いがありましょう

 効果 なし

 

 《称号『地には平和を、人には平穏を。そして世界には救いの光を』の世界初獲得を確認しました》 

 《初獲得ボーナス付与承認。すべての基礎能力に一段階の引き上げが行われます》

 《……未だ全貌は見えずとも、かのモノの野心を挫くことには意味があります。どうか無理はなさらず、コマンドプロンプト》

 

 

 ────ワールドプロセッサからの、それはエールだ。

 

 委員会そのものには未だ届かないけれど。

 それでも、今ここでプレーローマ・アンドヴァリを止めることには現世にとってはもちろん、システム領域にとっても世界そのものにとってもきっと意味がある、と。

 

 そして何より、先に待つものが破滅だと理解しようとせずに永遠に生きようとするあの女自身にとっても、その過程で地獄と呼ぶにも生温い目に遭ったシャルロットさんにとっても。

 明日、決着をつけることにはかけがえのない価値があるんだ。少なくとも俺とワールドプロセッサはそう信じている。

 

「……よし! なんか力湧いてきた。絶対に止めるぞ、プレーローマ・アンドヴァリもサークルも過激派も!」

『ま、ほどほどに頑張りなよ。どう転んだって君の人生は続いていくんだから。生き急いで食事も楽しめないなんてことにはなるなよ。誹謗中傷するぞ』

「怖ぁ……」

 

 応援を受けて勇気が湧いてきた俺ちゃんに、脳内のアルマさんが痛烈な一言。物理的に何もできないからって誹謗中傷は止めろや、訴えるぞ!

 そこからしばらくアルマと言い合いしつつも、俺は決戦に備えて早めの床に就いたのであった。




次回から第三部最終章ですー
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