攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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いざ、最終決戦へ!(二階建てバスに乗りながら)

 乗り込んだバスは大型の、しかも二階建て構造という俺的には珍しいものだ。

 正直、まだまだ深夜ってこともあって微妙にソワソワしていたんだけど、一気にテンション上がっちゃったよね。二階建てバスとか乗るの初めてなんですけど!

 

「す、すごい……上に行こうか、下に行こうか」

「上だ、山形公平。我々が最後に乗り込んだからな、先頭座席しか空いていないだろう」

「ハッハッハー、いわゆる引率の席だね。私もなんだけどなんでみんな、こういう乗り物に乗る時って奥に固まろうとするんだろうね?」

 

 一階でも二階でも絶対楽しいやつじゃん、とウキウキルンルン気分なところ、冷静冷淡なヴァールが指し示すのは二階の階段。

 見ればたしかに一番前の席が空いていて、そこから奥は割とギッシリ人が詰まっている。一階のほうもチラ見すると、そっちに至ってはもはや座席の空きもないほどだ。

 

 ぎっちり詰め込んだなあ。エリスさんが微妙に俺にも共感できる疑問をつぶやく中、促されるままに空いている座席へ向かう。

 たしかにみんな、奥のほう奥のほうに行きたがるきらいがある気はするよね。奥から詰めるのがマナーだって話とは別に、我先にと乗り込んで奥を陣取る人も見かけなくもないし。

 

 ちなみに学校とかの座席も、概ね後ろの席のほうが前の席より人気高めだ。まあ前の席だと先生の目につきやすいってイメージがあるからね。

 でもあれ、むしろ後ろのほうが先生からは見えやすいって話も聞くけどどうなんだろう? ともかく、前方座席はなんとなし人気のないポジションなイメージはまとまりついている感じだ。

 

「まあ、ものの一時間くらいの席に人気もへったくれもないんだけどねー、と。あ、どうもです香苗さん、みなさん。おはようございますー」

 

 そんな席に座りつつ、すぐ後ろの席に座る見知った顔に挨拶する。

 そうだね、我らが香苗さんだね。今しがた座ったアンジェさん、ランレイさん、葵さんと通路挟んで横の座席に、セーデルグレンさんとシャルロットさんと並んで座っている。

 

 ヴァール、エリスさんも着席する。俺達は俺達で、通路向かいの席にはマリーさんと神谷さん、サン・スーンさんが座っていたりして。

 さらに後方ではシャーリヒッタやミュトス、神奈川さんにステラもすでに着席済みだ。要は割と近場に仲間が集結している形だね。

 

 軽い会釈をするとみなさん、笑顔で手を振ったりうなずいたりして応えてくれる。周囲の探査者さんやおまわりさん達の好奇の視線ももう慣れてきたし怖いことも……いややっぱちょっぴり怖いや、すぐに大人しく席につく。

 真後ろの席、香苗さんが喜色満面の声色で挨拶に返事をしてくれた。

 

「おはようございます公平くん。いよいよ決戦ですね……探査者として、そして伝道師として悔いのない働きができるよう務めますので何卒お見守りください」

「朝にもなってないのにフルスロットルですね……」

「溢れんばかりの信仰心に朝も昼も夜もありはしませんから。救世主様バンザイ!!」

「ハッハッハー、いつも通りで逆に安心すらするねー」

 

 あまりにも相変わらずな香苗さんの伝道師ぶり。

 もうあと1時間もしたらプレーローマ・アンドヴァリとの決戦だってのに、いつも通りすぎてエリスさんの言うように安心感さえ覚えるよ。

 

 まあ、隣のセーデルグレンさんやシャルロットさんなんかはすっかりドン引きというか絶句していて、お互い顔を見合わせているんだけどね。

 分かるよ……いつでもどこでも伝道師って文言がガチでそうだとは思わないじゃん。

 

「本当にどこでもそんな感じなのか……さすがのこのトップランナーもかつてない規模のリアルタイムアタックを前に緊張と高揚が待ち構えているのに、さすがだよかつてのマイ・ライバル」

「時と場所と場合は考慮しても良い気はしますが、私の口からはなんとも言えませんね。ただ、アレクサンドラとの決戦にあってもまったく変わらないその言動に安心感を覚える、という初代様の御言葉には納得できるものはありますが」

「私が普段通りのいつでもどこでも伝道師なのは当然でしょう? 何しろ救世主様への信仰がいつでもどこでも私を導いているのですから! セーデルグレンもシャルロットさんも、我らが救世主山形公平様を信仰すれば同じ境地に至れますよ!」

「えぇ……?」

 

 躊躇なくトップランナーと聖女を勧誘しにかかる香苗さんがヤバい。下手するとプレーローマ・アンドヴァリ相手にも伝道しかけるんじゃないか、次第によってだと。

 一周回って変な感心すらしているセーデルグレンさんはセーデルグレンさんで、すっかりダンジョン探査RTAと同じ要領で敵の地下アジトを速攻踏破するつもりみたいだし。実はこの人もあんまり他人のこと言えないんじゃないかなと思っちゃう俺ちゃんだ。

 

 結果としてシャルロットさんが一番まともというか穏やかな感じのコメントを残すばかりになってるのはかなりの異常事態だと思う。

 認定式の時なんか過激派より過激派してたんだけど、いろいろ落ち着いた真のシャルロットさんはまさしく深窓の令嬢って振る舞いしてるんだよね。

 エリスさんとどことなく雰囲気も似ていたりして、さすが血縁だなって感じ入るよ。




【予告】
2024/12/29〜2025/1/3までの6日間は昼12時にも更新いたしますー
また、新作というか派生作品「大ダンジョン時代クロニクル」を2025/1/1から投稿予定ですー
こちらは「ヒストリア」で軽く触れたモンスターハザードについてをメインで取り扱う季刊更新作品で、概ね盆と正月ごとに集中連載予定ですー
よろしくお願いしますー

「大ダンジョン時代ヒストリア」100年史編完結!
https://syosetu.org/novel/333780/
よろしくお願いいたしますー

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