攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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バリケードは拠点防衛戦の基本であり花形(諸説あります)

 走ること1時間と少し。予定していた首都圏外れの採石場から少し離れた、市街地の空き地にバスは到着した。

 ゾロゾロと降りればすぐに見えてくる、WSOが用意したテントがいくつか。まだ夜明け前だからあれだけど、日が昇り始めたら否応なしに目立ちそうな光景だ。

 

「ここからは選抜チームと迷宮攻略チームに分かれて行動する。選抜チームはこちらだ、ついてきてくれ」

「攻略チームも班分けして動くよ、ファファファ! あんたらはこっちだ、ついてきなよ」

 

 ヴァールとマリーさんに促され、揃って集った探査者達がそれぞれ、自分の受け持つ担当役割のほうに流れていく。

 件の採石場、その下に広がる別空間と思しき大迷宮……未だ全貌明らかでないラビリンスを調査攻略する大多数の探査者と、並行して敵幹部を直接叩きに行く選抜された探査者達と。

 

 昨日の会議で決められた通り、俺や俺の仲間達はみんな選抜チーム側だ。よってヴァールに従ってその背を追えば、並み居るテントの中の一つ、特に大きな白いものの中に入る。

 そこにすでにいたのが警察の島根さんと郷田さん。警察庁は能力者犯罪警察局のツートップが揃って、出迎えてくれたのだった。

 

「ようこそみなさま。本日はよろしくお願いします」

「うむ。さっそくで済まんが現況はどうなっている」

 

 恰幅の良い礼服に身を包んだ、40代50代の男性二人が敬礼とともに挨拶してくる。けれどそれにもほどほどにうなずくだけでヴァールは、すぐさま本題に入った。

 もうここまで来たら猶予なく動くばかりだからね、さっさと作戦会議に移りたいんだろう。お二方もそこは当然理解していて、すぐに俺達に資料を配布して読むのを促してきた。

 

 特にタイトルとか表紙もない、1枚のペラ紙。

 まだほんのり温かいそこにプリントされた採石場周辺の写真には、そのイメージとは似つかわしくない大量の木材や鉄鋼材が、壁のように並べ立てられているのが分かる。

 これは……バリケード?

 

「ここから山に向けて1km進んだ先にある採石場では、急ピッチで防備が固められています。サークル構成員らしき者達が総勢100名、バリケードを組んでいるのを確認しています」

「情報漏洩。あるいは敵に動きを読まれていたか……この段となってはなんでもいいな。ともかく向こうも腹を決めて正面衝突するつもりということであれば、ある意味話は早い」

 

 想定していたけれど、やはりこちらの動きは察知されていたのか。どこから情報を入手したのかそこは気になるところだけれど、もはや拘るタイミングは逃しているのもまた、事実。

 敵が迎え撃つ気満々だと言うなら、こちらも真っ向から叩き潰すほかにないのだ。ヴァールも戦意を高め、正面衝突への意気込みを語る。

 

 俺の近くに並ぶシャーリヒッタが、腕組みして強気で不敵な笑みを浮かべた。これもまたやる気満々のご様子。

 この子も大概好戦的なところがあるよねー。なんならアンジェさんも呼応してものすごく怖い笑顔を満面に浮かべているし。

 

「下手に逃げを打たれるよりは、真っ向から叩き潰すほうがはるかにやりやすいもんなァ。さんざん二の足踏まされて来たが、こうなりゃもう互いに退っ引きならねェ。まさしく決戦だぜ!」

「そうね、変に散り散りに逃げられるよりもこうやって白黒つけるのがやっぱり手っ取り早いもの。それでも逃げようってやつもいるだろうから、そういうのは迷宮攻略チームにお任せするのよね」

「あ、あわわひややや……も、ものすごい数の犯罪者……そ、そんなのをまとめてけ、蹴れちゃうんだ。えへ、えへへ、えひぇひぇひぇ……!」

「えぇ……?」

 

 隣でランレイさんがあわあわしてるけど、完全に口角が上がってるのも見逃せない。

 いやこの人が一番やばいよ、素振りと顔が明らかに一致してないもの。誰より真っ向勝負できることに喜んでるだろ間違いなく!

 

 バトルジャンキーの宴みたいになりつつある空気に、普通にそこまで争いごとが好きじゃない面々がさりげなくドン引きするそんな中。

 一人、とにかく冷静な神奈川さんが挙手をして島根さん、郷田さんに問いかけた。背後にピッタリくっついている透明なステラについては、この際スルーしようか。

 

「俺らの目標はあくまで幹部格……なんですがね島根室長、郷田局長。アレクサンドラや海方、瀬川達の動向については何か掴めていたりしますか?」

「アンドヴァリと瀬川については報告は上がっていません。ですがサークル副幹事長の海方については、地上にいて例のバリケード部隊の陣頭指揮を取っているのが確認できます」

「こちら、遠目にですが写真もあります。マキシム、ミレニアムと思しき二丁拳銃は変わらずやつが所持しているようですね」

 

 俺達選抜パーティの目標、標的である敵幹部陣。その居場所を問えば、すぐに1枚の写真が差し出された。みんなで覗き込む。

 高く重なり積まれた木材や鉄鋼材の隙間、微かに見えるその男の横顔。間違いなく先日のサークルとの決戦時に見た、副幹事長海方陸のものだ。

 

 黒いロングコートに指ぬきグローブ。スラッとした長身のイケメンゆえに似合うファッションに、しかも二丁拳銃。

 マキシムとミレニアム。かつてロナルド・エミールさんの愛用武器だったAMWを引っ提げた、この男とはまず真っ先にかち合うことになりそうだな。




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