攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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MESSIAH DISPENSATION─救世主の天啓─

 ついに姿を見せたミュトス第三の形態、災海の力を借りたモード。

 胴体から腰にかけての白銀の鎧とともに、いくつものワームホールから鮫の頭を先端に付けたタコの触手……と、しか言えない異様なモノを喚びだしているその姿は、控えめに言っても多少アンバランスな姿だ。

 

 何しろ手足が素の状態だからな。ガントレットや足甲の類もなく、ゆえにちぐはぐさが印象に残るデザインになっている。

 これは断獄の力を借りたフォームとはある意味、対照的だな。いや、しかしこれは……まさか……

 

「魔天、断獄、そして今回の災海。ミュトス……ワールドプロセッサが本来想定している《イミタティオ・トリニタス・コスモス》とは、もしかして」

「よしよしよーし行くでがんす! まだまだ数は残っているなら、一匹ごとに手間はかけられませんので! ちゃっちゃと力を取り戻して、仲間の皆さんに加勢しますよあらほらえっさ、ほいさっさー!!」

 

 ワールドプロセッサが想定しているところの、本来の"精霊知能ミュトス"。その片鱗を掴みかけたタイミングで、その当人が高らかに叫び眼下のウーロゴスへと攻撃を仕掛けた。

 制御している8つの触手を際限なく伸ばし、ウーロゴス全体に巻き付き拘束したのだ。とんでもない長さを、自身の権能による遠隔操作で意のままに操っている。

 

 同時に俺も気を引き締めてその場から離れた。すぐさま香苗さんの元へと転移し、彼女のことを何があっても守り抜けられるように庇い立てする。

 もっとも、そんな頃には災海の触手がまばゆいばかりに放電し、攻撃し、そして敵を焼き払っているのだけどね。

 

「公平くん! あれが使徒ミュトスの!?」

「ええ。あれこそは三界機構は災海の力を借りたミュトス・災海。そしてそこから繰り出される技」

「三界機構は災海の名の下に今、必殺を告げる────!!」

 

 そうして香苗さんとともに地上から、ミュトスの姿を見上げる。ウーロゴスを触手で巻き取り宙に浮かび相対している彼女は、すでに必殺奥義の口上を述べている。

 そこから放たれる威圧、威力は並大抵のものじゃない。

 

 ミュトス・魔天のディヴァイン・ラグナロク。ミュトス・断獄のアーマゲドン・アポカリュプシスに続くミュトス・災海のそれは……

 まさかの、白銀の鎧から放たれる超高威力の熱光線だった。

 

 

「────メサイア・ディスペンセーション!!」

 

 

 胸元の鎧が展開し、そこから収束された光が解き放たれる。放射状に、ウーロゴスそのものを飲み込むような超極太のビームが放出されたのだ。

 俺の《あまねく世界の明日のために》にも似た見た目と出力の攻撃だ。

 

 ウーロゴスごと採石場の大地を貫く膨大なエネルギー。ちょっとこれは威力高すぎだ、初めて使うのかしらんが加減に失敗してないか!?

 一瞬不安に思うほどの火力の高さ。爆風、爆炎が衝撃ととも近くにいる俺達に襲い来るのを、香苗さんが彩雲三稜鏡によるバリア膜を展開して防いでくれつつも……

 俺はとっさにミュトスに呼びかけた。

 

「抑えてくれ、ミュトス! やりすぎだ、その威力は周囲がまずい!」

「ひええっ!? ストップストップ中止中止ー!! あわばばば、と、トチったー!?」

「まだ大丈夫、俺がフォローする! ──《メサイア・ディスペンセーションの威力は抑えられていたから地表に影響は及ばない》!」

 

 放ってからまずいとミュトスも気づいたんだろう、顔を青くして即座に技を収めようとするのが見えた。同時に俺の因果操作で即座に、後出しからの威力調節を行う。

 この手の因果関係の改竄による威力制御の調整は、増やすならまだしも減らすほうならそこまで負担はないんだよね。

 

 というわけでウーロゴスはきっちり仕留められてかつ、極力地上への被害が少ないギリギリの規模にまで調整……っと!

 

 多少の負荷はあるが言ってられない、あのままだと地上にデカすぎる穴が空くところだ。

 件の迷宮はまんま地下にはないだろうけど、水道管やら地下鉄やらが通ってないとも限らないんだから、穏当に済ませられるのが一番だね。

 

 幾分か穏やかになる熱線、爆風。

 周囲の敵味方をも唖然とさせるそれがたっぷり30秒ほど続いた後、静かになる風景。採石場の一部を大きく焼いたような黒い影だけが遺るその地点に、ミュトスがゆっくりと地上に降りる。

 

 ひどく焦った様子で彼女は、俺と香苗さんの元へと駆け寄ってきた。

 

「し、し、失礼しましたみなさーん!! あのその、出力調整トチりましたー!! ごめんなさいぃっ!!」

「いや、大丈夫気にしなくて良い。それよりウーロゴスはどうかな、取り戻せた?」

「あ、はいそれはバッチリです! これで本来の力のほぼ半分近く、取り戻しました」

「今しがたのような攻撃をしていてもなお、本来の力の半分にも満たなかったのですか……!?」

 

 本人も当然ながら意図しない、ベナウィさんじゃないけどうっかりでの制御ミス。

 半泣きになって謝罪してくるけど、今回はとっさの因果改変でどうにか防げた。これを教訓にして次、気をつけてくれれば良いんだ。そもそも今はそれどころでもないし。

 

 ゆえに多少、無理に話を変えて権能の奪還具合に聞いて尋ねる。どうやら半分は取り戻せたようだけど、となるといい加減見えてきたな、ウーロゴスの総数。

 ミュトスの本来の強さを感じ取り慄然としている香苗さん……が、操作しているプリズムアーク・エヴァンジェリスターが移動した先、さっき同様に取っ組み合いをしている三体目のウーロゴスを見る。

 

 そちらを受け持っているのはエリスさん、葵さん、そしてシャルロットさん。

 彼女達もまた、戦いを有利に進めていた。




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