攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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多少の予定変更もなんのその、ここまで来たら不退転!

 ついに現れたS級探査者、アイオーンことロナルド・エミールさん。ともにスレイプニルから着地した後、俺に近づいてくる。

 ベナウィさんと同い年くらいだと聞いていたんだけれど、明らかに若い……香苗さんやアンジェさんよりいくらか歳上くらいにしか見えない、服装がラフなシャツとジーンズなのもあって、下手すると大学生かな? って思っちゃうくらいだ。

 

 けれど放つ気配、秘められたる力は紛れもなくS級探査者のそれで、しかもソフィアさんから聞いていた通りモンスターのものすら感じられる。

 かつて第七次モンスターハザードを引き起こした、委員会参加組織による"改造兵器人間"製造実験だったか。モンスターの因子を人間の体内に埋め込むというおぞましさ極まる計画の成功例とのことだけど、なるほどこういうことかと納得させられるだけの説得力がこの、目の前のオペレータにはあった。

 

 ともあれ、名乗られたからには名乗り返さないと。

 一瞬瞑想して気持ちをフラットに落ち着けてから、俺は簡単ながら挨拶をし返した。

 

「はじめまして、B級の山形ですエミールさん。アイオーンと名高いあなたに、このような場であってもお会いできて光栄です」

「ロナルドで良いさ、山形くん。アイオーンってのもできれば勘弁してほしいな、いくらなんでも大それすぎなニックネームだし。それこそベナウィくんみたく親しみやすいやつがよかったなあ、俺も」

「は、はあ」

 

 なんか、若干のんびりしてるというか。余裕を忘れないタイプの人なんだなとロナルドさんを見る。

 力あるがゆえの冷静さと言うべきか。見た目は若くとも泰然自若とした様は、なるほどベナウィさんほどの年齢なんだなと思わせるものだ。

 

 驚くべきアンチエイジングっぷりについても気になるところだけれど、今は海方のバリアと最後のウーロゴスについてが先決だ。

 それぞれ状況を確認する。

 

 海方のほうは突如現れたサウダーデさん、リンちゃんのダブル武術によって《氷魔法》の壁を次々破壊されていっている。

 時折なけなしのスレイブモンスターが氷壁の合間から放たれるんだけれど……そこはスレイプニルの上からベナウィさんが《極限極光魔法》で軒並みぶち抜いている。

 

 明らかにオーバーキルでさっきからちょくちょく異様に眩しいし、相当加減はしているものの採石場はすっかり月面みたいになっている。わあ、クレーターまみれ。

 それでいてウーロゴスのほうにも遠距離から威嚇射撃を行っていて、精霊知能三姉妹達のフォローも行っている。

 

「────うおっと! こいつぁベナウィ・コーデリアの《極限極光魔法》だなァ! 万一にもウーロゴスに当てんじゃねェぜ、まだ人がいるからなァ!!」

「ふ、フルオープンアタックおじーちゃんおばーちゃん……強さはともかくすごい気迫でしたー。年の功ですかねー?」

「最終的にロケットランチャーまで持ち出してきたのはなんのアクション映画かと思ったぞ……とはいえ、エミール! ロナルド・エミール! サウダーデやフェイリン、ベナウィも来てくれたのだな!」

 

 三人もすでに召喚者のフルアーマー御老体達は倒したようで、今はヴァールが引き続き鎖でウーロゴスを拘束しつつリーベが《破砕光粉》で表面を削っている。

 さらにそこからシャーリヒッタが鎌を用いて中身を切り開き、電池役のオペレータを取り除いては地上に送り届けていた。

 

 つまりはほぼ、勝負がついている状況だ。これなら問題なくミュトスによる力の取り戻しが可能だろう。

 さっきは海方の突然の登場で出鼻を挫かれたけど、改めて彼女へと指示を出す。

 

「ミュトス! 君はそのままウーロゴスのところに行って三人に加勢してくれ。その後はシャーリヒッタの指示に従うように頼みたい」

「は、はい! 合点承知です! ……けど、山形様達はここからどうなさるんですか? このままあの氷のバリアを打ち破って、地下に突入なさるので?」

「そうなるとは思うよ……迷宮攻略チームも構成員とスレイブモンスターの相手で多少消耗してるし、態勢を整えるのに少し時間がかかるだろう」

 

 言いながら周囲を見る。乱戦状態だった戦場も、海方周辺に残党が集まったことでひとまず落ち着きを見せている。

 大半の構成員は捕らえたようだな。だけど本来迷宮攻略に取り組むはずだった面々も、さすがに消耗してないとも言えず、あちらこちらで休憩したり傷の手当をしている光景が見られた。

 

 敵も、それなりに厄介だってことだね。

 余裕があれば海方とウーロゴスを片付けた後、一旦引いて態勢を整えてまた後ほどと行きたいところだけれど……もはや決戦なんだ。この程度で退いてたらプレーローマ・アンドヴァリには絶対に届かないだろう。

 

 だからもう、俺達選抜メンバーで迷宮を突き抜けるのだ。

 ミュトスの奮戦もあって先程のウーロゴス戦、メンバー内ではさしたる消耗もないからね。

 そうした考えを口にすれば、ミュトスはうなずいて再度ウーロゴスの下へと駆け出した。彼女が《イミタティオ・トリニタス・コスモス》を発動させる光を見ながら、仲間達へと呼びかける。

 

「プレーローマ・アンドヴァリは今回で絶対に倒さないとまずい……これ以上は野放しにしておけない輩だ。だからもう、今この場にいる動けるメンツでそのまま突入する。みなさん、構いませんか?」

「もっちろん! てかここまで来て一旦退却とかありえないから!」

「ハッハッハー。こっちは消耗もしてないし、ロナルドくん達も加勢してくれた。今が畳み掛けるチャンスだね、公平さん!」

「元よりこれは決死行。アレクサンドラを仕留めるための、絶好の機会を逃しはしません」

「私もこのまま突入すべきと考えます、公平くん。攻め時と決めたなら、行けるところまで行かなくては」

 

 誰もが一切躊躇なく戦意と闘志に満ちた返事を返す。まさしく気合十分って感じだな。

 であれば、俺達はこのまま海方以下サークル残党をこの地上で倒し切り、その勢いのまま地下迷宮へと突入する!




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