攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

1528 / 2051
S級のなかでは割と常識人寄りだぞ、ロナルドくん!

「S級探査者として有名なかのアイオーンことロナルド・エミールさんほどの方であればすぐさま救世主様のお力の凄まじさを理解されることと信じていましたさすがですしかしながら我らが世をあまねく救い導いてくださる救世主山形公平様の御威光はこれに留まらないものなのですまさしく今しがたサウダーデさんが仰られていたように完全に我々の理解と常識の範疇を超えた領域もちろんこれは良い意味でですなぜなら救世主様はその力をもって善をなし我々迷える衆生に対して常に温かく優しい眼差しとお振る舞いをもって手を差し伸べてくださっているのですから空間転移によって無傷かつ無害な形で排除されたサークル残党達彼らは敵にしてテロリズムに走った紛れもなく犯罪者ですが救世主様はそれでも傷つけたくないと穏便な形での捕縛を選ばれたのですまったくなんという気高さと気品でしょうかいかなる者も救うべしと振る舞われる御方の御姿に不肖この伝道師はなんとしても後世にありとあらゆる救世主神話伝説を伝えなければとより一層の決意を新たにできるのです!!」

「怖ぁ……」

 

 開口一番これだよ、分かっていたけど止められない勢いに、俺ばかりか周囲の仲間達も思わずギョッとして彼女を見た。

 そうだね。伝道師さんだね。ロナルドさん達の登場から若干ソワソワ感というか、伝道への熱意でキラキラしたものを帯び始めていた彼女なんだけど、ついにここで来たか! って感じだ。

 

 地上で拠点防衛をしていたサークル残党を、暫定リーダーである海方含め全員無力化してから少し。

 迷宮攻略チームの中でも乱戦を無事に乗り切った無傷な人達とも合流して、彼らのうちのさらに半数が残党を逮捕して回収する傍ら。俺達はいよいよ採石場地下、概念領域へ続いているものと思しき迷宮への入口を前に準備を整えていた。

 

 ウーロゴスのほうもミュトスが参戦し、もはやほぼ決着がついている状況。ていうか今まさに魔天の力を借りた彼女が、天空高く舞い上がりトドメを刺そうとしているし。

 あれが終わったら精霊知能達とも合流し、改めて突入開始だ。俺達はそれまで、ほんのちょっぴりだけど小休止のタイミングを迎えているわけだね。

 

 で、そうなると。少しだけとは言え浮いた時間に、香苗さんが溜まりに溜まった伝道欲を発露するのはある意味予想できていたことだ。

 それでも彼女としても作戦の途中なのは理解しているので、矢継ぎ早に言いたいことを言ったらすぐにスン……となって、改めてロナルドさんへと向き直り挨拶していた。今度は伝道師としてでなく最新のS級探査者としてだ。

 いやー落差がすごい。

 

「ふぅ……お初にお目にかかります、ロナルド・エミールさん。先般、新たにS級探査者として認定されました御堂香苗と申します。アイオーンのご高名はかねがね耳にしておりました、第七次モンスターハザードの英雄とお会いできて光栄です。よろしくお願いします」

「…………ろ、ロナルド・エミールです……ろ、ロナルドでお、お願いします……? え、と。あの、さ、サウダーデさん? エリスさん? か、彼女はその、ええと」

「うむ。相変わらず壮健のようで何よりだ香苗殿。公平殿への熱意溢れるその姿勢、数ヶ月前に何度か味わっただけというのに何やら懐かしさすら覚えるよ」

「ハッハッハー。ロナルドくん、もしかして救世の光チャンネル見てないの? 良かったら後で見てみると良いよ、とても新鮮で斬新な体験ができるからねー」

「え、えええ?」

 

 出会い頭の初っ端から濃厚極まりない伝道師ムーヴをこれでもかと見せつけられた、ロナルドさんが濡れた子犬のような視線を旧知の先輩探査者二人に向けた。

 でもこちらのお二人、サウダーデさんとエリスさんも香苗さんの奇行もとい伝道には割と慣れちゃってるようで、さも当たり前のように笑顔で受け入れている。

 その姿にもさらに面食らったようで、ますますロナルドさんは目を白黒させていた。

 

 この様子だと例の動画チャンネルのことも認識してないみたいだし、こうなるとアレだな、この後に合流するヴァールやソフィアさん、マリーさんともこんなやりとりをするかもしれないな。

 地味にあの人達もいつの間にやら使徒みたいになってるもんな……いやマジで、改めて考えると本気で意味分からん。思わず俺まで震えそうになるもの怖さで。

 

 不意にロナルドさんと視線が合う。

 今の香苗さんのアレコレ云々が内容についてはともかく、すべて俺について語っていることだけは理解しているんだろうね。引きつった顔で俺に小声で話しかけてきた。

 

「き、救世主とかって言われてるのはサウダーデさんとベナウィくんから聞いていたけど、山形くん。御堂さんはあの、これマジなやつって認識でいいのかな?」

「アッハイ……そういう認識で大丈夫です……ええと、まあ、香苗さんなりに俺のことを高く見てくださっていまして、ええはい」

「高さやばくない!? エベレスト超えて宇宙まで行ってない!? ……いやいや、人の趣味嗜好思想をとやかく言うのは良くないぞー俺。落ち着けよー俺」

 

 すっかり慣れた俺達だけど、普通に考えたらまあ香苗さんのムーヴってやばいやつだよね。ロナルドさんの新鮮味溢れるツッコミがそのことを思い出させてくれるよ。

 まあこの人はそれでも理解というか歩み寄ろうとしてくれているようで、何やら頭を抱えて自分に言い聞かせているけれど。

 なんていうか、すごく良い人だなー。




「大ダンジョン時代クロニクル」第一次モンスターハザード編更新中!
https://syosetu.org/novel/362785/
よろしくお願いしますー

「大ダンジョン時代ヒストリア」100年史編完結!
https://syosetu.org/novel/333780/
よろしくお願いいたしますー

【お知らせ】
「攻略! 大ダンジョン時代 俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど」コミカライズ発売中!
ぜひともみなさまお求めよろしくお願いしますー!

コミカライズ版スキルがポエミーも好評配信中!
下記URLからご覧いただけますのでよろしくお願いします!
 pash-up!様
 ( https://comicpash.jp/series/d2669e2447a32 )
 はじめ、pixivコミック様、ニコニコ漫画様にて閲覧いただけますー!
 
 加えて書籍版1巻、2巻も好評発売中です!
 ( https://pashbooks.jp/tax_series/poemy/ )
 よろしくお願いしますー!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。