攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
元々の予定とは異なる形でだけど、これでようやく地下迷宮の攻略に乗り出せる。バリケードが警察のみなさんによって撤去された後、いよいよ見えたその入口をみんなで取り囲む。
マンホールよりも大きいくらいの穴だ。梯子がかけられていて、底の見えないほどに深い。
これは……間違いないな、確信した。
同じく穴を見ていたヴァール、リーベ、シャーリヒッタに確認を取る。
「概念領域に繋がっているな。見てくれこそ地下への入口めいているけど、これは実質ワームホールだ」
「そうだな、山形公平……以前に侵入して調査したエージェント達によれば、本当に迷路のようなことになっているようだ。心してかからねばな」
「予想通りですけど、だからこそ警戒度は高くなりますねー。何しろここから先は完全に、敵のテリトリーになりますしー」
巧妙に偽装して、一見そのまま地下に潜っていくように思えるがその実、この穴はワームホールそのものだ。降りれば即、どこか遠い別のところに転移するように仕組まれている。
行き先は間違いなく概念領域だろう。現世に最も近い、いわば入口付近……人間であるサークル構成員やダンジョン聖教過激派でも活動できる領域だね。
つまりはリーベの言うように、ここからは敵の懐に潜って攻め入る形になる。確実に敵の罠や待ち伏せがあるだろうし、さらなる激闘が待ち受けているのは疑う余地もない。
気を引き締めて行かないとな。腹をくくる俺の隣、同じく穴を覗き込んでいたシャーリヒッタがヴァールに質問を投げかける。内部が迷宮そのものになっているという、事前調査の結果を受けてのものだ。
「つーかよ、ヴァール。それこそベナウィの《極限極光魔法》でショートカットとかできねえのか? あの火力はこういう時こそ活用するもんだろォ」
「無論、試してはみるつもりだ。そういう意味でベナウィが来てくれたのは渡りに船だったな。あのスキルの突破力、貫通力はさすがに他の追随を許さん」
「いやあ、過分なお言葉で恐縮ですね。まあやってみますとも、私もそういう手っ取り早いほうが好きですしね。迷宮というのは怖いものですし」
ベナウィさんのスキル《極限極光魔法》を用いての、迷宮の構造そのものを破壊して踏み倒してのショートカット。
わざわざ敵の思惑に乗ってやる必要などないという大胆、かつ豪快な提案に、ヴァールもそのつもりだったらしく即座にうなずき答えた。
たしかにシャーリヒッタの言う通り、あのスキルの持ち味は広範囲高火力と何より、射線上のあらゆるものを崩壊させて貫き壊す貫通力だ。
倶楽部拠点に攻め入る時にも、一気に道筋を切り開いて短縮してくれたほどの火力であれば、きっと余分な消耗もなくプレーローマ・アンドヴァリの下にたどり着けるだろう。
……それを敵が予想していなければ、の話だけどね。
あの女は倶楽部の顛末もある程度知っていたみたいだし、ベナウィさんのスキルが自分達の用意したギミックを根底からぶち壊しかねない代物だということは承知していることだろう。
ベナウィさん御当人がまさか、このタイミングで参戦してくるなんてのは予想できていなかったろうけれど。それでも似たようなことをやる敵がいることを想定して策を組んでいてもおかしくはない。
悪魔の権能か、自身の権能か。はたまた別の何かをもってかはともかく、迷宮そのものへの破壊行為についてはなんらかの対策を打っているかもしれない。
そこはヴァールも分かっていて、ベナウィさんに答えつつもしかし、メンバーみんなに呼びかける。
「うむ……おそらく対策はされているものと思うがひとまずやってみてくれ。通じそうならそのままショートカットに至る、通じなければ仕方ない、迷宮を迷いながらでも一気呵成に進むしかない」
「そう、なるよなあ。やっぱり」
「手間だがな。迷宮攻略チームが未だ準備を整えられていないうちは仕方がない」
対策されていて、ベナウィさんによる破壊が通じないことを念頭に置いての指揮。通じれば良し、通じなくても仕方無しとする判断はまっとうかつ潔いものだ。
しかしまあ、資料にあった地図の一部を思い返すだに苦労しそうでげんなりするけどね。マジで迷宮だったんだもんなあ。
本来は迷宮攻略は専用チームで、大規模に行いその間に俺達選抜チームが消耗なく正規ルートを進む手筈だったんだけど。攻略チームがウーロゴスを巡ってのサークル残党との乱戦で多少、体勢を取り戻すのに時間を要するもんだからしかたない。
彼らが追いつくまではどうにか、俺たちだけで進もうか。
「ウェイトウェイトウェイトー! 待って・ア・リトル! ここは我々に任せてもらいましょうか!!」
そう、覚悟した矢先だった。
俺たちに背後から、声をかける探査者が一人、いや複数人。
敵意はないが、場に似つかわしくないほどに明るく自信に満ちた声だ。
なんだ? と振り向いて……俺達の誰もが、その声の主に目を見開いた。
まさかの人が、強気に腕を組んで佇んでいたのだ。
「迷宮もダンジョンも変わらない、ならこここそが私の正念場! ……そうッ! ダンジョンRTAトップランナーッ、リアリスティィィッ・トォップスッピィィィィィィドッ!! 様の活躍の場所だと言うことですよ、統括理事ッ!!」
「…………う、うむ?」
「何をしているのですか、リスティ・セーデルグレン」
「怖ぁ……」
リアリスティー・トップスピード。ダンジョンRTAトップランナーとして名高い本名リスティ・セーデルグレンさん。
香苗さんのライバルをも自称するその人が、複数の探査者達とともに不敵に笑っていたのだ。
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